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最新のお仕事|Tokyo Art Navigation

写真家の櫛引典久さんの写真と東京都江戸東京博物館学芸員の田中実穂さんの解説で、都内の庭園をめぐる連載「東京の静寂を探しに」。今回は同じく江戸博学芸員の米山勇さんをゲストに、旧岩崎邸庭園にお邪魔しました!

旧岩崎邸庭園は、上野公園から不忍池を越えて徒歩でも行ける庭園で、イギリスの建築家ジョサイア・コンドルによる洋館が目をひきます。そうした洋館や和館、撞球室(ビリヤード場)の見どころを米山さん、庭園の歴史や芝庭・坪庭の役割の違いを田中さんに解説いただきました。

今回初めて芝庭を取り上げましたが、ただ芝生が広がっている場所が鑑賞の対象になるのだろうかと、正直疑問に思っていました。確かに、一般家庭で洗濯物を干したり子どもが遊ぶ屋外の敷地を「庭」と呼びますが、こうした公共施設にある開けた場所を「庭」と呼べるのでしょうか。
ですが、田中さんによる明治期の庭園の変遷、センター長さん(庭園のスタッフさん)による所有者・久彌のエピソードから、石や草木で表現された景色を眺めるだけではなく、建物の延長として洗濯物を干したりお茶やBBQを楽しんだり、遊び場に利用するのも、「庭」の楽しみ方なのだと学びました。

また、現代では全国各地の庭園や植物園、フラワーパークなどをまとめて観光地として捉えてしまい、庭がメインで建物は附属施設だと考えてしまいがちです。ですが、本連載で扱う都立庭園の多くは、住居や迎賓館の一部として造られました。(向島百花園は観光地としてスタートしています)
今回、江戸の園芸文化に詳しい田中さんと建築史を研究する米山さんの共演によって、「建物ありきの庭園」という新しい視点で庭園を鑑賞できました!

旧岩崎邸庭園といえば、ゴージャスな金唐革紙の壁紙が使われていることでも知られています。売店では本物の金唐革紙を使用したしおりやカードケースが販売されているので、こちらもぜひご利用ください。

どんな内容の本でも名作を読んでいる気分になれますよ!

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