大腸がん日記 67日目

手術が終わってからは集中治療室で痛みと寒さに耐えながら一晩を過ごした。繰り返し鳴るモニターのアラームに何度も起こされ、眠った感覚はあまりない。

入院4日目 術後1日目

明け方から、徐々に痛みが強くなっているような感覚。おかしいなぁ、なんで?看護師さんに聞いてみると、麻酔が切れてきているから痛みが増すのだ、と。

え?麻酔ってもう切れてるんじゃないの?
痛みって徐々に和らぐんじゃないの??
ここからもっと痛くなるの???

これを聞いてから、痛み止めの追加ショットの回数をどんどん増やす。追加すれば多少は痛みがマシになる。多少でも痛みが和らぐと、気持ちも楽になるのよね。

そして、次に来たのは吐き気。痛み止めを追加すればするほど吐き気はひどくなる。痛み止めが強い薬だから、副作用の吐き気も強いらしい。
すでに24時間以上、絶飲食だから吐くものは何もないのに、吐き気が止まらない。吐き気を和らげるために痛み止めを止めると痛みが増す。痛み止めを入れると吐き気が増す。このローテーション、地味にきつかったかな。

たぶん朝の9時頃だったと思う。集中治療室から一般病棟へ転棟する前にレントゲンを撮った。ポータブルでベッドの上で撮影するのだけど、体勢を変えるのに激痛が走る。だって、痛み止めの吐き気がツラくて止めてるんだもの。そりゃぁ痛いわ。
放射線技師さんたちの手際の良さには驚いた。痛いよねー、ごめんねー、すぐ終わるよー、はいOK、って感じで本当にすぐに終わった。これぞプロのお仕事。すばらしい!

この日は最大の難所が何度も訪れる。
レントゲンの次は車いすへの移動だ。まさか、この痛みなのに立ち上がるの⁈ってマジでビビったけど、本当に立ち上がって移動した。いや、自分では動けなくて、看護師さんと放射線技師さんに移動させてもらった、が正解。大変お世話になりました。

予想どおりだけど、病室へ転棟したらまた車いすからベッドへ移動するんだよね。もちろん激痛だよね。もう何も考えたくなくなるくらいの激痛。
集中治療室では4人がかりだったけど、病室では看護師さん2人。しかもお一人は私よりもかなり小柄な方。申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、今は無理なんです。自分で動けないんです。ごめんなさい。ここでも操り人形のような状態でベッドへ移動させてもらった。

手術着からパジャマに着替えさせてもらって、布団と電気毛布に包んでもらって、じっと横になる。痛みで眠れない。でも痛み止めを入れると吐き気がツラい。またこの地味なローテーションのときをひたすら過ごす。

次の難所。夕方、病棟を歩く。
まさか、この痛みなのに歩くの⁈ってもう本当にマジでビビったけど、お腹の中が癒着しないように、なんとしても今日中に歩かなくてはいけないらしい。小柄な看護師さんと相棒の点滴スタンドに支えられて、なんとか少しだけ歩くことができた。
このときなぜか、頭の中では「ならぬものはならぬのです」がループしていたのをハッキリと覚えている。八重の桜で綾瀬はるかが言ってたの、懐かしいなぁ。


こんなに山場だらけの一日。痛みと吐き気と寒気が脳の99%以上を占めていたと思う。本当に予想を軽々と超えてくる痛みとツラさ。想定外ってこういうことか。勉強になりました。

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