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あの日、僕は爽健美茶を憎んだ…

この話は、僕がまだ中学生の頃だ。

好きな女の子がいた。まあ、そりゃいるだろうさ。思春期だものね。

僕はウブな男子で女の子と口も聞けない……なんてことはなく、持ち前の話術で誰とでも仲良しになれる特技を持っていた。

まあ、そこから恋愛云々に発展は難しかった、などの話はこちらのnoteに記した。

あの日、僕は爽健美茶を憎んだ…


当時、男女混合で「仲の良いグループ」、みたいのがあった。

僕らはそんな親しい友達同士で集まり、ウブな童貞中学生なので、何するでもなく、ただおしゃべりしたり、ゲームして遊ぶとか、お菓子食べたりしながら、時に恋愛的な“かけひき”もありつつも、そんなことは定期的にあった。

ごく普通の、青春時代の1ページ、というやつだ。

爽健美茶って美味しいよね!」

当時、様々なお茶が売られるようなったが、今でもロングセラーとして続いている「爽健美茶」が発売されたのもこの頃だった。

「へー、そうなんだ」

「あたし、売ってるお茶の中で爽健美茶一番好き!最近これしか飲まない」

みたいなことを、彼女は言っていた。僕はその娘のことがずっと好きだった。

その時は「へー」くらいのリアクションをしたけど、やはり下心というかなんなのかわからないが、モロに「惚れた女」の影響を受けて、僕もなけなしの金で爽健美茶を買ってみた。

ごくり…。一人で爽健美茶を飲む。

うん、確かに美味しいではないか! 素直にそう思った。

しかし、もしそれが大嫌いなヤツのススメだったら、爽健美茶を美味いと思えたかは全く自信がない。人間なんてそんなもんだ。

それからしばらくしてから、また仲間で集まって遊ぶ機会があった。そこにはあの娘も来る。

僕は迷うことなく爽健美茶を買って行った。

「あ、爽健美茶!」

「オレも好きなんだよねー、おいしいよねー」

「だよね!一緒だね」

なんて共感が生まれ、二人の間には親密な関係が深まる……。

なんてことを期待していた。

いや、それは期待や妄想ではなく、もはやノストラダムスの大予言よりも強力な未来予知として、いわば確実な未来線として僕の中で存在していたと言っても過言ではない。だって彼女は爽健美茶しか飲まないんだもの。

しかし、予言は成就されなかった。

なぜなら彼女が手にして、その愛しい唇に運ばれるペットボトルは、

十六茶だったのだ……。

「………!」

ぜっく!絶句。せっくすを知らない少年のゼック!

お分かりになるだろうか? その時の、齢15の僕の衝撃が…。まだ日中だったけど「ぬーすんだバイクで走り出す〜♫」と、15の夜を意味もなく歌いたくなった。

わかってる。彼女は何も悪くない。何一つとして、問題はない。

しかし、僕は傷ついた…。誰も僕を傷つけようとなんてしてやしないのに、傷ついたのだ。

理由なんてない。ただ、若かったのだ…(遠い目)。

僕があの日、心を痛めながらも、懸命に笑っていたこと、彼女は知らない。一緒にいた仲間たちも、誰も気づいてなかっただろう。

無邪気な笑顔で十六茶を飲む彼女から目を逸らし、惚れたものの弱みとして、彼女を憎むことなどできない僕は、ひそかに十六茶を憎んだことを、彼女は知らない。

そして僕は自分の手に持つ爽健美茶に対して、底知れぬ憐憫の眼差しを向け、

(大丈夫だ。オマエは、オレが守ってやる)

という気持ちで飲み干したことを、彼女は知らない。

だけど、よくよく考えると、別に爽健美茶というか、そういう市販のお茶がさほど好きというわけでもなく、結局その後僕は爽健美茶も、十六茶と同じくらい嫌いなってしまった…。

そもそも当時は貧乏金欠だったから、もし100円払って飲みもんを買うなら、不二家ネクターオロナミンCの方が遥かに好きだということも再確認できた。

そう、若かったのだ……(さらに遠い目)。

でも、今は全てを許している。あの娘のこと、なんの罪もない十六茶のこと、爽健美茶のこと、そしてなにより、傷つきやすかった自分自身を。

終わり

*******

息子がある日何気なく放った、

「爽健美茶って美味しいよね〜」

という言葉から、僕の記憶の回路が紐解かれ、フラッシュバックを起こし、封印していた記憶が蘇った。

あの日、僕は爽健美茶を憎んだ…

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読んで分かる通り、爽健美茶に微塵も恨みはありません! ただ、こんな超どーでもいい話を思い出したので文章にしてみました。

なぜ?

理由は一つ。

私は、作家ですから……。

ってことで、こんなかわいい物語ではありませんが、

新刊小説もお読みいただけると幸いでございます。(Amazonレビューも参考にしてくださいね)

ペットボトルのお茶について


ちなみに、なんですが、ペットボトルのお茶、僕は買わないんですよ。

色んな理由があります。それは金銭的なものや、生き方とかポリシー的なもの、そして健康的なものや。

ただ、そのきっかけとなる決定的な出来事があった。

「なあ大島くん。わしは不思議に思うことがあるんや」

その人は僕に向かって言った。

「金がないない言うヤツに限ってな、ペットボトルの茶ぁ買って飲んでるんや。あんなん家で入れたら原価5円もせんで。なぁ大島くん? アホやと思わへんか?」

と、昔ある大金持ちの人から言われたのをきっかけに、僕はペットボトルのお茶を買うことはなくなった。その人は人間的には尊敬できる人ではなかったが、マジで金持ちなリッチな人から言われたそれは、僕の考え方を変えた。

そもそも言われるまで気づかなかったという、自分自身に驚いた。僕はいつもその社長の言うように、金がないない言ってるくせに、いつも小銭だと思って無駄遣いしまくっていた。社長は嫌味を言いつつ、僕に教えてくれたのだ。

ところで日本で当たり前のようにペットボトルでお茶が売られるようになったのはいつ頃なのか?

いや、お茶が「売ってる」ということ自体が昔はなかったと思う。僕が幼い頃はなかったような気がする。

しかしいつの間にか、当たり前になってしまった。何も考えずに買ったいた。

僕が中学生くらいに、ウーロン茶と緑茶だけでなく、上記の話にある爽健美茶や十六茶などが販売されたし、次々と新製品が生まれている。

ちなみに、最初は「缶」だった。実際、上のエピソードも、実は缶の爽健美茶や十六茶だったが、現代風にペットボトルに変えた。

それはともかく、いつの間にかお茶は家で淹れるより、買うもの、ってのがスタンダードになってしまったのでは? 我が家も、いつも両親は急須でお茶を淹れていたが、いつの間にか実家に帰るたびに、冷蔵庫に常にペットボトルのお茶があり、父はいつもそれを飲んでいた。

そうやって、僕らの生活に色んなものが、色んな意図を持って浸透している。当たり前になり過ぎていて、その不自然さや珍妙さに気づけないのだ。

もう一個、僕がペットボトルなどのお茶を飲まない、健康上の理由もあげておこう。僕は自他共に認める健康オタクなので、その辺は色々と詳しいし、そこそここだわっている。

ペットボトルのお茶は「飲む農薬」と揶揄されるほど、農薬まみれの茶葉で作られることが多い。

日本の茶葉に関する農薬量。例えばネオニコチノイド系農薬のひとつであるジノテフランの基準値は欧州に比べ日本では2500倍の量の使用が認められているとされる。

政府や農協は「一生に取り続けても問題のない量だ!」という見解だが、この農薬を長期接種した例は歴史的になく、現代我々が実験段階であり、すでに神経系に影響を及ぼすことはわかっている。

ちなみに、茶葉は収穫後洗わない。野菜の農薬も日本はすごいが、まだ洗って食べるのが普通だろう。

さらにビタミンCも添加されてるが、これは酸化による変色を防ぐ目的だけど、このビタミンCは「アスコルビン酸」という、石油由来のビタミンC。

アスコルビン酸のビタミン剤を飲むと健康で長生きか? という調査がアメリカで数十年に渡り追跡調査され、その結果、ビタミン剤を飲む人の方が死亡リスクが高いとか云々…。

まあ、その辺の細かいことは言ったらキリがないけど、そんなもん飲むより、良質な茶葉を買って自宅で淹れるお茶は、とにかく美味いもんですよ。心も豊かになります。

まあ、もちろん美味しいってだけなら、ペットボトル飲料も最近はますます美味しいし、趣向品としてたまにはいいけどね。

ただ、僕はもう爽健美茶も十六茶も嫌いではないし、息子くんが飲んでいても「よかったね」と思えます。

☆ 出版記念トークイベント

北海道札幌 4月16日(日) 15時〜17時 札幌コンファレンスホール

福岡博多 4月23日(日) 17時〜19時 アクロス福岡

イベント参加2000円 イベント参加+書籍 3500円(札幌、博多)

東京 5月13日(土) 14時〜16時 秋葉原Lounge

大阪 5月21日(日) 14時〜16時 アルファオフィス247(大阪市営地下鉄堺筋線 長堀橋駅 徒歩3分 大阪市営地下鉄御堂筋線 心斎橋駅 徒歩8分)

お申し込みの電子チケットはこちらのサイトから。

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