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カラス

大昔、生き物たちは
それぞれに
自分の気に入らない色を
持っていました。
ある時、白い鳥が
それらの色を1つづつ
引き受けましょうと名乗り出ました。

木々は、朽ちゆく茶色をわたしました。
空は、どんよりとした灰色
雨は、不透明な青
ゾウは、病に侵された皮膚の緑
キリンは、抜け落ちた毛の黄色
魚は、剥がれた鱗の銀・・

そのほかにも、あらゆる色を
引き受けたその鳥は、
真っ黒な姿になっていました。

引き受けたのはいいものの、
自身の変わり果てた姿に
嘆き悲しみ、
しかしながら、
それこそが本当の自分の姿だと
心から感じたのでした。

鳥は、かつて母から聞いた、
小さな体で空のまた先まで飛び続けて
やがて、きらめく星になったという
夜の鷹の話を思い出しました。

自分は、この色では
星にすらなれないと思った鳥は
地上に向かって急降下して、
朽ち果てました。

鳥の仲間たちは、
黒い鳥を囲みました。
笑みを浮かべた顔に
心を打たれて、
一本一本、黒い羽を
自身の体に埋め込みました。

それでも、長い時が経つと、
その子孫たちは
自分の色がなぜ黒なのかも
忘れてしまって、
今日もお腹を空かせながら、
地面を睨んでいます。

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