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モートン・バートレットと精巧な少女人形たち

モートン・バートレット (Morton Bartlett,1909-1992/US)
精巧な石膏人形の制作して、人形の撮影(主に1936-1963)を行ったの写真家・グラフィックデザイナー。
それには、概念があるのだ。アウトサイダー・アートとも、言われるがどうだろう?
「女たちが、生来、持ち合わせる悪徳に業を煮やして・・」変身譚(メタモルフォーゼ)-オヴィディウス(Publius Ovidius Naso,帝政ローマ時代最初期の詩人)の視点だったのかも知れない。-Morton Bartlett(1999- /ドイツの美術評論家)
現実の女性に、ある種の偏見があったのか、異性との交流はなかった。
そして、少なくとも、現実の女性との接点はなく、バーレットは、隠遁を選択し、妻子なく、自分だけの安全な世界に身を置いていたかった、とも言われのだが。

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モートン・バートレットが作った人形(cc)

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(cc)Morton Bartlett

略歴-Morton Bartlett
1909年、シカゴで生まれる。そして、8歳の時に両親を失う。彼はフィリップス・エクセター・アカデミー(Phillips Exeter Academy/Boarding School)は、全寮制の中等教育機関に入学した。その後、その後1928-1930年にかけて2年間ハーバード大学で学んでいる(ドロップアウト-大恐慌の時期だ)。
その後は、ガゾリンスタンドの従業員、ガス管工事の従業員、工芸雑誌の編集から、印刷関連、ギフトカード制作・・多様な仕事に就くが、それが、後の石膏での人形制作の技術を養ったのかも知れない。
そして、第二次世界大戦では、米軍のエンジニアとして従軍した後、フリーランスのグラフィックデザイナー、そして、カメラマンとして生計を立てられるようにまでなる。ボストンの玩具メーカーのカタログも扱っている。
1936年の27歳の時から、人形制作は、1963年まで、27年間、続いた、それは、ボストンのスタジオの移転の時までだった。
この1936年には、アンドレ・ブルトン(André Breton/Andre Breton, 1896-1966/フランスの詩人・文学者・シュルレアリスムの展開)も賞賛した、ハンス・ベルメール(Hans Bellmer, 1902-1975/ドイツ-画家、写真家、人形作家)が、脱着可能な球体関節人形の写真集を出している。
1992年に没後、唯一の財産である作品が売却されたあと、彼の作品は一般の人に知られ著名となる。

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Morton Bartlett

石膏人形について
その石膏人形の細部までのこだわりは、「強迫概念」(OCD:Obsessive Compulsive Disorder)とも言われるがどうだろう?
ただ、制作のために、解剖学や、衣装史を研究している、そして、実在さながらの演出をして、Filmに収めているのだ。
そこには、子供の様々な表情やしぐさが、ストップモーションとして残されている。
その詳細は:
モートン・バートレットは、およそ、等身大の半分程度の15体の子供の人形を作った。
その内の12体は思春期前から思春期までの年齢の少女の人形で、3体はバートレット自身に似た8歳くらいの少年の人形だ。
これらの人形は手足や頭を取り外すことができ、様々な姿勢を取らせることができるのだ。
バートレットは、主に1936-1963年のスパンでは、裸や手製の服を着せた状態で、それらの人形の写真を撮影している。
モートン・バートレットは、自分の作品をほぼ公開することはなかった。
1957年のハーバートの同期会への寄稿と、1962年の「Yankee Magazine」の2ページの特集記事「Mr.バートレットの恋人たち」(9体)程度と言われる。
そして繰り返すが、没後(1992年)、唯一の財産である作品が売却された、そして、人形たちは一般の人に知られる事になる。

そして、バートレットの人形は、後にチャップマン・ブラザーズ(ジェイク・アンド・ディノス・チャップマン/Jake and Dinos Chapman)に影響を与えていると言われる。

(追記)モートン・バートレットをアウトサイダーアートに入れるべきか?
それは、どちらでも良いのかもせれない、ただ、その「作品」は今にも動きだし、少女のしぐさをする様相だ。
人形たちは、30年近くに渡り、バートレットは、その制作者であり、父、母、友人、ある意味、伴侶だったのかも知れない。
ナルシスティック(自己反映)、また、神話としての女性だろうか?
それは、ヘンリー・ダーガーの少女たちとも、また、違う・・。
いずれにしても、現在、その「作品」の評価は、高くなされている。


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