48.硝子の塔の殺人(知念実希人)感想考察

知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』を読みました。
色んな人からオススメされた作品
504Pと中々ボリューミー。
館シリーズオマージュをしているクローズドサークル物の作品となります。

本作品、作品内にミステリー話が何回も出てくるので、
せめて『十角館の殺人』は読んでいた方が良いと思います。

こっからネタバレ~~~~~~
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非常に面白かった。
最後に大どんでん返しがあるものは良いですね。
碧月夜の名探偵から名犯人に一転するところめちゃくちゃ好きだった。

本作品は主人公である一条遊馬が名探偵に嵌められたと嘆くところから始まり、その結末を迎えることが決まっている状態で、第一の殺人、神津島殺しが決行されます。
倒叙物かと思いきや、密室トリックが割と単純なものなのでこっから何かが起こるんだろうなと思いながら見てましたが、やはり別の犯人が第二の殺人を決行し、老田が犠牲になりました。

ここまで見てて、碧月夜が遊馬と一緒にいたアリバイを主張しなかったりしたところから、最後に優馬を犯人に仕立てあげるんだろうなと思っていました。
これはたぶん作者も狙っていたミスリードでしょうね。
そして13年前に起きた事件の話、第三の殺人と進んでいき、
そこからの推理パート。
3つの密室殺人が名探偵により解き明かされていく様は、それだけでも中々に面白いなと思っていました。
そして、遊馬が第一の殺人の犯人だと指摘されます。
(そりゃ加々見の反応でバレるだろ、後日荷物に入れろよ)

さて、ここでミステリ慣れしている方は色々回収されてない謎があるなと思いながら読んでいたでしょう。私が読んでる最中に思った疑問は下記でした。

・何で神津島が毒殺されたと指摘されてるのに、皆第二の毒殺懸念しないの。
これはプロットが粗いだけかと思ってスルーしてました。
・優馬を突き落としたの明らかに碧月夜でしかない。
・月夜がトイレのピルケース気づいてそうな描写あったけどあれ何なの。
・月夜の両親が殺された事件の犯人は放置?
・13年前の事件の犯人は結局誰?
・未発表の原稿とは
・踊る人形の暗号を神津島に刺して置いた意味
・"硝子の館"の殺人と言っていること
・硝子の斜面滑らせて遺体放り込むの流石に痕残るだろ(これまで伏線だったとは…)

と、ここまでヒントが散りばめられていたのに私は答えにはたどり着けませんでした。
メタ的にめちゃくちゃ月夜が真犯人ぽいよなとは思っていましたが、犯行のやり方がわからなかったためです。

そこから真の解決編
優馬が名探偵となり、名犯人の月夜を追い詰めていく様めちゃくちゃ面白い。
そもそも神津島も、老田も死んでいなかったというメタミステリの構図を取ってるのはなるほど~と騙されました。
そして、碧月夜が金田一の高遠みたいな存在なの犯人なのにかっこよすぎ。
流石名犯人。
序盤の「一人二役できませんからね」が全ての事件に結び付く瞬間の鳥肌すごかった。

オチとしては
結果月夜により4人も無残に殺されているわけですが、不謹慎ですが異常なハッピーエンド感があるのすごい。
続編に期待が持てるような幕引きでした。
しかしこれを超える続編は書けないだろうなとも思いました。

普通のミステリー物としては異質すぎるし、作中にミステリー談義が挟まれることからも
ある程度古典ミステリーも、近代ミステリーもちゃんと読んでおいた方がより楽しめそうですね。
アガサクリスティも綾辻行人も読んでおいてよかった。
他の人の感想読んでいたら、「作中のミステリー通の引用範囲狭い!作者にわかだろ」って怒ってる人いましたが、
私は面白いし参考になったので、そんなことで怒ることじゃないだろと思いました。
そもそも海外の古典ミステリー読むのそこそこハードル高いですし。

最近ミステリーハマってるんだよねっていう人がいたら是非お勧めしたい作品だなと感じました。

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