43.爆弾(呉勝浩)感想・考察

呉勝浩(ごかつひろ)さんの『爆弾』を読みました。
2023このミステリーがすごい!で1位を取った作品です。
このミスの作品も読んでいきたいと思い購入。
傷害事件の被疑者として取り調べを受けていた被疑者が、都内連続爆破を予告していく物語です。
416P、そこそこのボリューム

こっからネタバレ
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面白い。
オチはうーん。って感じでしたけど過程がとても面白かった。

舞台の殆どが取り調べ室での会話劇というのがすごい。
秋葉原の爆発を予告後、
「こっから3度爆発します」
とのスズキの発言からの緊迫感。
警察側も等々力、清宮、類家と変わっていきスズキと攻防していきました。

スズキしか仕掛けた爆弾の場所は分からない。
警察が犯人にへりくだるわけにもいかず、スズキが提案した九つの尻尾というゲームを進めていくわけですが
ただ会話をしているだけなのに、頭脳戦がすごい。そしてスズキの得体の知れない気味の悪さを味わいます。
スズキの目的は何なのか、警察は爆弾を止めることができるのかの偶像劇はハラハラでした。
そして、代々木での浮浪者を狙った爆発。
清宮の敗北からの類家との交代は、こっからの解決編に向けて期待が高まります。

長谷部関連や、シェアハウスでの出来事はなるほどな~というスッキリ感はありましたが、
正直スズキとの頭脳戦が一番楽しかったので結局山手線爆破して終わりか~という気持ち。
最後の爆弾とか、結末としては尻すぼみかなとも思います。
ハッピーエンドとも言えないし、バッドエンドとも言えない何とも言えない終わり方。
スズキタゴサクという存在を作者が肥大化しすぎて、オチを付けれなかったようにも思えます。
これ本当は、警察署爆発するエンドだったのにあまりにもバッドエンドすぎて編集に止められてませんか?
それくらいオチに違和感。

ただ、設定の勝利でしょうか。
取調室内の刑事と犯人の攻防が斬新で非日常感を味わえました。
9つの尻尾の中で繰り広げられる頭脳戦が随一に面白かったです。
都内に仕掛けられた爆弾と、それに対して打つ手無いと言うのも本当にありえそうでその光景を違和感なく想像できました。
これ、模倣して本当にやる人いないか、それこそ"爆弾"なんじゃ・・・。と心配になるくらいよくできた作品でした。

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