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1on1を利用してもチームビルディングがうまくいかないときの考察

1on1の価値について

1on1はメンバーと管理職が1対1で対話する機会のこと。

この制度は管理職の仕事を緩和するためのものだと個人的に思っている。

1on1が存在しなかったときは日常業務の中でメンバーの状態を把握し、雑談をして興味関心を知り、コミュニケーションを重ねていくしかなかった。

だがこの1on1が一般的に浸透して実施できることによって、上記のようなコミュニケーションを取るのが苦手な管理職であっても、状況を把握する時間を設けられるようになった。

まず大前提として、この1on1の時間を有効活用できていない場合は、メンバーからの信頼感がそれほど大きくなっていないと思っている。

1on1の使い方

1on1がうまくいかない上司に不足している「聴かれた体験」「聴く力」を高める、関心・理解・実践サイクルの回し方より

上司の1on1スキルの向上を課題視している記事。

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記事で利用されている上記の画像は納得感のあるものだった。
上司へ相談できる関係性を作るために必要なものは傾聴力承認力。それを上司が身につけるためにはまず聴く力を伸ばしていく必要があるとのことだった。

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1on1自体もこの図の通りに関心・理解・実践をしていくことで向上させていくことができる。

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しかし、実際はこのようにうまく回っていないケースが多いとのことだった。個人的な印象とも一致している。

「聴かれた体験」を提供すること

1on1でメンバーからの意見を吸い上げるにはこの成功体験を増やしていくしかないと個人的にも思っている。

管理職としてのメンバーとの接し方もスキルのひとつなので、それを学んでいく姿勢をまず持ってほしいと思う。

根掘り葉掘り聞くのは相手のタイプ次第では嫌悪感をいだくので一概にこれが良いという方法はないと思うが、他愛のない雑談から、話の流れで相手の家族構成や特にお子さんがいる方の場合はその子の誕生日や名前など覚えておくとメンバー側から好印象をもち安い気がしている。

また、これが正解だという答えを用意して指導するのではなく、相手の考え方を一つずつ吸い上げて理解していってほしい。適切な質問をしていけば、本人も気付いていない考え方を引き出せることもある。

一番良くないのは、業務のやり方を指導する場にすること。

もしこれをやってしまうとメンバーが萎縮してしまい、その他のことにも本音を引き出せなくなる。本音を聴けない1on1はもはや形骸化して意味がない。

価値的な質問をしても、相手が忖度をしながら答えてしまうので本当の意味での回答を得られない。

管理職としてとってほしくない動き

先ほどの記事とは打って違い、個人的に逆の意見を持ったものもあった。

管理職の動き方として、「管理職ではなくチームの問題として捉えてもらうこと」を重要視している記事があり、エンゲージメントに関するアンケートについて下記のような記述があった。

エンゲージメントサーベイはマネジャーの通信簿じゃなくて、「チーム全員の通信簿」なので。まずみんなが集まる会議の真ん中にその結果をポンと置いて、「この間みんなに協力してもらった意識調査の結果なんだけどさ、こんな結果になっちゃってんだよねぇ」って言って。「ぶっちゃけ、どんな感じ?」「みんなの印象合ってる?」って。
「管理職をやりたくない人」はどうすればいい?より

この発言は完全に管理側の気持ちになって書いている内容だと感じた。

そもそもメンバーと管理職間での信頼関係が出来上がっていないとき、この発言はただのパワハラになる。

サーベイは本来匿名性が担保されているから本当のことを書けるもので、「下がってしまっているんだけど、なんで?」というのは、管理職が原因でモチベーション低下しているときには何も改善されない。

そのチームを超えてもっと上の組織体に対しての不満が原因でサーベイの結果が下がっていると確信できる場合には良いと思うが。

上記のような行動を取るのではなくて、まずコミュニケーションをとってそれぞれのメンバーに(自分の相談に乗ってもらえたという)成功体験を作り上げてほしい。

その上で1on1を利用しながら、それぞれの課題感を引き出してそれを解決するための動きを取るというのを繰り返していく中で信頼感が構築されていく。

そのことを強く意識してほしいと思う。

とはいえ、

相手への期待感というのが不満の原因になることもしばしばある。

「上司だから自分より仕事ができていてほしい」
「x年目なんだからこれぐらいできていてほしい」

期待感からくる考えは、必要以上にコミュニケーションに亀裂を与える。

基本的には「自分は自分」「相手は相手」と区切って考えることができれば幸せなのだろうけれど、どうしてもそういった考えがよぎることは避けづらい。

そんなときは、まずは余計な考えを捨てて事実をしっかりと見るところから始めるのが良いかもしれない。

相手の気持ちを想像せずに、きちんと相手の言葉と行動を見て、それをそのまま受け止めることです。わからないことがあれば、行間を読むのではなくて相手に確認をすること。そうやって事実を見るようにしています。

「これぐらいのことはできていて」は勝手な期待 より

その中で、相手のできること、できないこと、得意なこと、苦手なことが見えてくる。

本人も、自分のできていることに気づいていなかったりするので「ここができてますよ。いいですよね」「こういう部分がとても助かってますよ」ということを、言葉にしてできるだけ伝えて、「今、あなたはここにいますよね」という認識をお互いに揃えていきます。

「これぐらいのことはできていて」は勝手な期待 より

事実を認識し、相手のできるところを伝えて感謝し、チームに居場所を作ること。
そして、そのチーム内で楽しく成長しながら仕事をできると感じられるようにすること。

これらを目標にしていきたい。

参考

1on1がうまくいかない上司に不足している「聴かれた体験」「聴く力」を高める、関心・理解・実践サイクルの回し方

「管理職をやりたくない人」はどうすればいい?

「これぐらいのことはできていて」は勝手な期待
観察・考察・選択のサイクルで相手の力を引き出す「誰も嫌な思いをしない変化」

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