ワタチは、雀。

今日はお月様がすごく綺麗な日。

一緒にお月見しているのは、猫のモジャネコさん。

せっかくだから、紅くなりたての可愛いもみじの葉を頭に着けてるの。
超似合ってると思う、ワタチに。

ワタチと同じ落ち葉見つけが趣味のモジャネコさん。
もじゃもじゃした毛並みが色々な落ち葉みたいに素敵な色でお洒落な猫さん。

でも、
ワタチのタイプではないの。
悪いんだけど。

モジャネコさんって、とっても無口。

せっかく可愛いもみじでお洒落しても褒めてもくれないなんて、本当無口すぎよね。

でも、とっても優しいのよね。今日だって、
素敵な紫色の風呂敷を下に敷いてくれて…。

これはモジャネコさんの大切な風呂敷でいつもかついでいるもの。ちょっと羨ましいのよね。

それに、今日は、なんとお団子を一つ持ってきてくれたのよね。モジャネコさん、どこで貰ったんだろう。

「とっても美味しい！お団子分けてくれて、ありがとう！」

「……。」

「どこで貰ったの？」

「…。」

「あー、おいしい。きれい、お月様。
ねー！モジャネコさん！」

「…。」

ひゅぅぅ

「あ！　もみじが！」

あー、風でワタチの可愛いもみじの飾りが…！　　

「飛んでいっちゃった…。」

「…。」

んもぅ、モジャネコさんたら、知らん顔で、お団子むしゃむしゃ食べて…何よー。

紅葉、拾いに行こっと。

ぱたぱ…！

はたっ！

「？！…な、何！？」

モジャネコさんが急に、ワタチの頭に手を乗せてきた！
まさか、
まさか、また、ワタチのこと、狙ってる？！
だから、ワタチは…！
スズメよ、

モジャネコさんはタイプじゃないってば！

な、何？
モジャネコさんの顔が急にワタチに近づいてくる！

ぎゃー！！やめて！！
ワタチ、そんなつもりないのよ！
ワタチ、スズメ、よ！

ぎゃー！！やめてっ！

ワタチ、モジャネコさんはタイプじゃないのよ！

「？！！」　　

ぺろん　　　ぺったん！

「…！？」

あ！？

「これ…、モジャネコさんの落ち葉？」

…モジャネコさんたら、お団子食べて…、糊にして、ワタチの頭に落ち葉くっつけてくれた、のね…。

う…、優しい、けど…、
…なんていうか…、複雑。
お、お団子…。よだれ…。

「…モジャネコさん、ありがと。
　…ワタチ、可愛い？似合う？」

「…。」

あら、お月様、雲に隠れちゃった。

「モジャネコさん、雲速いね！
　次にお月様出てきたら、ワタチ、ちょっと可愛いポーズ取るから見ててね！」

ぱたぱたぱたぱた

　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい

モジャネコシリーズあるんです。
良ろしければ、ご覧ください。
お読みいただき、ありがとうございます。