『ララとあなたと仲間の秘密』

2022年12月23日 20:14

　不思議な事に、一冊の絵本が浮いています。さらに不思議な事に、一冊の浮いている絵本から小さな小さな声が聞こえます。

　「おーーーい？聞こえる〜？　あら？　聞こえないのかしら？　すぐそこにいるでしょ？　あなたがページをめくってくれないとお話しできないわよ〜。ほら、早く〜」

　「こんにちは、私は”時を飛ぶ蝶の魔女ララ”よ！あなたが想像もつかないほどの昔から、色々なお友達に大切な事を伝えるため飛び回ってるの」

　「今日はあなたに、この絵本を通して大切な事をお伝えするために飛んできたの。その昔、私がまだ蝶の国のお姫様だった頃、不思議なライオン頭のおじいさんに教えてもらった大切な事」

　「その大切な事っていうのはね、この世に生きているものはみ〜んな仲間だって事。私もあなたも、草花も動物も、太陽も月も、み〜んな仲間なの。なんでかって言うとね、みんな”仲間のしるし”を持っているからなのよ〜。今日は私の魔法を使って、普段は見えない”仲間のしるし”を見せてあげるっ！」

　「あなたの住んでいる地球は太陽の周りをグルグル回っているの。太陽の周りを回っているだけじゃなくて地球自身もグルグル回っているの。そして、その地球に大雨と大風を起こす台風もグルグル回っているし、なんでも飛ばしてしまう竜巻もグルグル回っている」

　「大きいものだけじゃないわ。小さな可愛いワラビちゃんも、ゆっくりさんのカタツムリも、お歌の好きな羊さんも、海の中のタツノコ君も、タコさんも、ヤドカリちゃんも、」

　「そして、あなたもよ。あなたがお母さんのお腹の中にいた頃もグルグルだったし、あなたの指先を見てごらんなさい。指紋もグルグルしてるでしょ？」

「実はね、仲間のしるしはグルグルだけじゃないの。あなたの手を見て。指は5本でしょ？植物も動物も指の数は違うけど、五角形って言う”形”で繋がっているの」

　「子猫ちゃんの手も、早起きのニワトリさんの手も、大きなクマさんの手も、太っちょの葉っぱも、痩せっぽっちの葉っぱも、み〜んな五角形でしょ？」

　「美しいお花も、甘〜い果物も、砂浜のヒトデも、み〜んな五角形！」

　「あなたに現れている5は指だけじゃないわ。鏡の前で両手両足を広げて見てごらんなさい。頭と二つの手と二つの足で五角形になるでしょ？それにほら、私も五角形でしょ？

　「そしてもう一つ、６も”仲間のしるし”なの。遠い遠い土星の北極も、満月に産卵するウミガメの甲羅も、ハチさんのお城の蜂の巣も、真っ白な雪の結晶も、そして私も、み〜んな六角形！」

　「お花ちゃんも、果物くんも、ハチさんも、私の仲間の蝶々たちも、み〜んな仲間なの」

「この世の”仲間のしるし”は、グルグル、五角形、六角形の3つ。そして全てをグルッと包み込む円。この円の中で命が生まれるから、この世の仲間には、グルグル、五角形、六角形の ”しるし”が現れるの」

　「そして、円の中で生まれた”いのち”は”似てるけど違う対”で形になるの。簡単に言えば鏡写しの世界。例えばあなたの手を見てご覧なさい。右と左は似てるけど違う鏡写しでしょ？右と左の対で一人の人間になるの。右と左で一つ」

　「”右”と”左”で一つの”人間”は、一人では生まれて来られないわ。”お父さん”と”お母さん”がいて”子供”が生まれるの。人間だけじゃないわ。動物も”オス”と”メス”がいて”子供”が生まれる。植物も”オシベ”と”メシベ”があって”タネ”が生まれる。男性と女性も似てるけど違う鏡写しなの」

　「お父さんとお母さんから生まれた人間も動物も植物も、”生まれ”、”成長し”、”死”を迎えるのがこの世のルール。円の中に生まれたルール。この繰り返しのルールの中で、あなたもいずれ親となり、子供を作り、いのちを繋いでゆくの」

　「あなたが繋いだ”いのち”もまた、いずれ子を作り”いのち”を繋ぐ。この”いのちの繰り返し”は、時を飛べる私でさえ分からないほどのず〜〜〜っと昔から繰り返されていて、この先もず〜〜〜っと繰り返されてゆくの。人間も動物も植物も、”仲間のしるし”をもつみんなで仲良く、お互いを大切にしながら”いのち”を繋いでゆくのよ」

「人間も動物も植物も、み〜んな同じしるしをもつ仲間なのだから」

　「さて、そろそろお別れの時間よ。ちょうどお迎えが来たわ。今日はこの後、あの子と一緒にアイオン爺さんのところへお勉強しに行くの！私にとっても、あの子にとっても特別なこのステージにお迎えに来てって頼んでおいたの。あっ、そうそう、言うの忘れてた！このステージはね…」

　「私がまだ蝶のお姫様だった時代は”グルグルの森”って呼ばれるところで、そのず〜〜〜っと後の時代ではペリカンの女王の国があったところで、あなたの住む時代では”ハイペリオン”って呼ばれる木があるところなの」

　「ちょっとソニアちゃんが頑張りすぎちゃって、一本だけものすご〜く成長しちゃった木がハイペリオンなんだけど、ちょうど良かったから木のてっぺんに私の魔法でステージを作ったの」

　「あなたに大切なことを伝えるためにね！ちゃんとお勉強するのよ〜！」