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PEMAの本棚~月光通信マガジン

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PEMAさん→https://note.com/pema68の月光通信です。(PEMAの本棚より) 総合的に音楽の事を書いて頂きます♪(不定期です。)
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記事一覧

ハウスミュージックは「欲望する諸機械」

ハウスミュージックは「欲望する諸機械」

「Fool's mate」1986年3月号を読み進んでいくと、フェリックス・ガタリのインタビューが載っていた。こんな音楽雑誌、今はもうないだろうな。フェリックス・ガタリはジル・ドゥルーズとの共著「アンチ・オイディプス」や「千のプラトー」が有名なフランスの哲学者、精神分析家で、パリ第八大学の精神分析コースにおいて、ジャック・ラカンのもとで学ぶ。1968年五月革命以降、ジル・ドゥルーズに出会い、政治犯

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クレプスキュールとインダストリアル

クレプスキュールとインダストリアル

いま聴いているのは廃盤になったアンナ・ドミノの「ベスト(原題:L'AMOUR FOU)」である。アンナ・ドミノはベルギーのインディペンデント・レーベル“クレプスキュール”の歌姫と呼ばれる存在で、1983年、クレプスキュールよりシングル「Trust In Love」でデビュー。その後アルバム「イースト・アンド・ウェスト」や「夢のあと(Anna Domino)」などを発表し、ステリアスでクール・ビュー

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デヴィッド・ボウイとハービーハンコック

デヴィッド・ボウイとハービーハンコック

ウルリッヒ・エーデル監督の1981年製作の西ドイツの実録手記に基づいた伝記映画「クリスチーネ・F ~麻薬と売春の日々~」。原作は、「かなしみのクリスチアーネ」(原題: "Wir Kinder vom Bahnhof Zoo", 「われらツォー駅の子供たち」)。この実録手記は、1977年から1978年にかけて、クリスチーネ・F本人の口述をもとに、独シュテルン紙の編集者カイ・ヘルマンとホルスト・リーク

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ジーン・ラヴズ・ジザベルとコクトー・ツインズ

ジーン・ラヴズ・ジザベルとコクトー・ツインズ

「Fool's mate」1986年3月号の今月のレコードのコーナーで紹介されていたジーン・ラヴズ・ジザベル。超美形の双子、アシュトン兄弟がフロントを張っていたという事実だけで、十分にインパクトがあり、私はその妖艶さが好きだった。ポジティヴ・パンク〜ゴスのムーヴメントがUKで花盛りだった1983年にアルバム「Promise」でデビュー。続く「Immigrant」(日本語のタイトルは「過ちの美学」。

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ピーター・マーフィーとオール・アバウト・イヴ

ピーター・マーフィーとオール・アバウト・イヴ

ピーター・マーフィーは、バウハウス解散後、元ジャパンのミック・カーンと組みユニット「ダリズ・カー」を結成して、1984年にオリエンタリズム溢れるアルバム「ウェイキング・アワー」を発表するが直後に解散し、本格的にソロ活動をスタートさせている。「Love Hysteria」は1988年、「Holy Smoke」は1992年のアルバムだ。近年では2011年に「Ninth」というアルバム(私は持っていない

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インディア

インディア

インディアは、今や押しも押されぬサルサの女王であり、アメリカのヒスパニック女性の間ではロールモデル的存在として尊敬を集めているディーヴァである。もともとは、80年代後半のラテン・ヒップ・ホップ/フリースタイル・ブームに乗ってシーンに躍り出た女性歌手だったが、90年代ニューヨークのラテン・コミュニティにおける若い世代のルーツ回帰の気運、そして夫だったリトル・ルイ・ヴェガの影響もあって、いち早くサルサ

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アイドルとノイズの共演

アイドルとノイズの共演

最近、ノイズグループの非常階段とアイドルのコラボレーションに凝っている。最初に買ったのは初音階段のミニアルバムである。
初音階段の初音とは、ボーカロイドを使用したバーチャルアイドル初音ミクのことである。インディーズのライブ・ハウス・シーンにいるような人達は、ボーカロイドとか初音ミクってイメージだけで「アキバ」みたいな印象があって、毛嫌いしているらしい。しかし、非常階段のJOJO広重はかなりフレキシ

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ケイト・ブッシュとノイズ・インダストリアル

ケイト・ブッシュとノイズ・インダストリアル

ノイズ・インダストリアルのアーティストを検索していて、ディスクユニオンのサイトにたどり着いた。CDの価格を比較するとアマゾンよりも安い場合がある。早速、メンバー登録した。たいていチェックするのは、NOISE/AVANT-GARDE新着中古なのだが、トップニュースをざっと眺めていると、昨日のニュースだが、ブリティッシュ・ロック・シーンを代表するディーヴァ、ケイト・ブッシュの貴重なライブCD「ライヴ・

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アフロビート

アフロビート

90年代半ば、私は友人のKとジョー・クラウゼルのプレイで踊り明かすために西麻布のYRLLOWに行っていた。ちょうど3時過ぎのピークの時間に、それまでのディープハウスやガラージと毛色の違うピッチ(BPM)が速い曲がプレイされた。私は初耳だったが、Kは知っていて、黒人解放の曲だという。それが私とフェラ・クティ及びアフィロビーとの出会いである。曲中に、何度も「Zombie」と歌われていたのを思えていた私

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私にとってのハウスミュージック

私にとってのハウスミュージック

ハウスミュージックを言い表すと、エロい、という言葉よりもふさわしいのはなまめかしくて、みだら、官能的という言葉だろうか。ずっしりと重いドラムとベースが地面にねばっこくからみつく。ダブやヒップホップよりも、さらに重いドラムとベースがとにかく低く、低く沈み込み、低音域をがっちりと固める2つの音の響きが特徴的で、サイケデリックの香りをまとい、古いソウルやファンク、ブルースのテイストが練り込まれた女性シン

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イタロハウス

イタロハウス

さて、イタロハウスである。

イタロハウスは、ハウスとイタリアで生まれ、主に1980年代に制作された音楽ジャンルで、当時のアンダーグラウンドなダンスミュージックやポップミュージック、電子音楽、国内や海外の音楽(アメリカのHi-NRG、フランスのユーロ・ディスコ)から進化し、多様なジャンルへと発展した主に電子ドラム、ドラムマシン、シンセサイザー、時にはヴォコーダーなどを使用し、通常英語で歌われ、

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アシッドハウス

アシッドハウス

続いてアシッドハウスである。

元々の発生は、1987年、シカゴでDJ ピエールが「Acid Trax」を製作した時、古いアナログシンセサイザー「ローランド・TB-303」のツマミをランダムに動かすことによって偶然生み出されたサウンドが、あたかもアシッドすなわちLSDの幻覚作用を思わせる幻想的なサウンドであったために、この名前がついたといわれている。ローランド・TB-303を用いた曲は、古くは

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デトロイトテクノ

デトロイトテクノ

シカゴ・ハウスに続いてデトロイトテクノについて語りたい。

デトロイトテクノは、アメリカのミシガン州デトロイトから発信されるテクノ、またはデトロイト出身のアーティストに共通してみられる特徴を多く含んだテクノの楽曲をさす。主に「16ビートのシーケンス」「アナログシンセサイザーとドラムマシン、及びそれらのサウンドをエミュレートしたデジタル・シンセサイザーの多用」「ストリングス・パッド系音色の多用」

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シカゴハウス

シカゴハウス

今回はシカゴ・シーンについて語りたい。

1955年、NYのブロンクスで生まれたフランキー・ナックルズは、ファッション専攻の学生だった10代の頃から当時の友人であったラリー・レヴァンと共に、「The Sanctuary」、「The Loft」、「The Gallary」、「Continental Baths」といったディスコクラブへ頻繁に通い始めた。やがて、二人はDJとしての活動をスタートさせ

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