見出し画像

#13 期待

「この人ならここまでやってくれるかな?」「普通の人やったら少なくともこれくらいはするよな」「わたしならこれくらいはするからこの人もこのくらいはやってくれるはず」

こういう無意識に行う他人への勝手な期待が、自分の人生をより難しいものにしていることに気がついたのはつい最近のこと。こういう勝手な「これくらいはやってくれるかな」っていう自分基準の期待って、もちろん他の人の基準とは齟齬があってその齟齬ゆえに自分の勝手な期待を大きく下回る他人の行動に対して勝手に落胆してしまう。そして勝手に「またか」って思ってしまいストレスになり、心が病み始める。

自分でもこういう相手への勝手な期待がよくないことはわかっているのだけれど、全てを行う上で「まずやってみる」よりも「まず考える」がどうしても先行してしまうわたしにとっては、「期待/想定」というものが必ずつきまとう。

一番顕著なのがグループワーク。何をテーマにするか、とかそういう基本的なことをグループで考えるときは、個人的には「それがクオリティを維持しつつ時間内に確実に達成できるのかどうか」という現実性を重視する。だから、初めの案出しの段階である程度の完成形と、それを達成するためには各メンバーがどこまで動くか、この人にどれだけ仕事を任せるか、みたいなグループメンバーの技量を考えつつそれらをある程度「想定」することは自分にとって(というかある程度全ての人にとって?)自然なこと。

でも当たり前やけど、全てが自分の期待・予想通りにこと進むわけではない。わけではないというか、そんなわけがない。みんな各自それぞれやることがあって、自分が想定・期待する通りに仕事が円滑に進むわけなどもちろんない。大学に入るまでほぼグループワークをした経験がなかったから、自分が他の人に対してする期待や予想が下手くそなのもあり、大学に入ってからというものグループワークをするたびに自分の勝手な期待のせいで苦痛を感じていた。「みんながあんまり仕事してくれない、、」みたいな。

そのときは自分もまだ未熟で、このグループワークで起こるイライラが自分が他人に対して、「ここまではやってくれるだろう」みたいな勝手な期待を無意識にしてしまっているからやということに気がついていなかった。そのことに気づき始めたのはレストランでバイトを始めてから。

バイトを始めたレストランはまあまあ忙しくて、結構回転率重視のバイト先だった。だからこそ「素速く正確に」が求められる職場だったのだけれど、先輩の中に何人か、すごくマイペースで、やりたくないことは断固としてやらない、みたいな方々がいた。正直にいうと、「いやぼーっと何してんねん」とか「手空いてるなら早くそこ片付けてよ」とか思っちゃうことも多々あって、同じ時期くらいに入ったバイトの人と愚痴を言い合ったことは数えきれないほどあった。

でもある程度して自分がそのバイトに慣れてきて余裕が出てきたときに、一つ気づいたことがあった。それが、自分が他人に対してイライラしてしまうときは、基本"自分やったら"っていう前提があって生まれているいうこと。上であげた「いやぼーっと何してんねん」とか「手空いてるなら早くそこ片付けてよ」みたいなのもそう。(自分やったら今のうちにカトラリー補充とかすんのに、)「いやぼーっと何してんねん」とか(自分やったら即その席片付けて次の客入れるのに、あなた)「手空いてるなら早くそこ片付けてよ」みたいな感じで、自分やったらこうするのに、みたいな自分の基準を相手に押しつけて、相手も自分と同じように考えてくれるだろうみたいな勝手な期待をしていることに気づいた。もちろん人それぞれ考えてることは違うから自分の勝手な期待に沿うわけもなくて、「自分やったらこうするのになんで」みたいな勝手なイライラが生まれる。

しかも実際、当たり前やけどわたしが期待することが正しいとは限らへん。ぼーっとしているように見えた先輩方も、お客さまを最大限入れるためにはどうしたら良いかなって考えて少しぼーっとしているように見えただけかもしれへん。そんなことを考えているうちに、他人に対してイライラしてしまうときは一旦冷静に考えてみることにした。なんでイラついてるのか、もしかして相手に過度な期待をしてしまっていないか。それを意識するだけで、自分の生活の質が上がったように感じる。相手に期待しないからこそ、相手が自分の期待とは違う行動したときに感じる落胆がないし、相手が何かしてくださったときに「期待通りの動きだな」っていう気持ちにならないから、心の底からその方に対して「ありがとう」と思える。

「他人に期待しない生き方」冷酷に聞こえるし、お前何様?って思われるかもしれへん。もちろんわたし自身は他の人の期待を下回ることの方が圧倒的に多いとは思う。「相手の動きを予測しない生き方」の方が正確な言い方かな。何にしろそういう「勝手な期待/予測」が自分をストレスフルにさせることに気がついてから、人生楽になったというお話でした。

(普通もっと早く気づくやろ!っていう心の叫びを持たれた皆様。その通りでございます。わたしもこれ書きながら自分の未熟さに恐れ慄いております。)

今日はこの辺で終わりにします。「相手の動きを予測しない生き方」、ストレスは減るんやけど、もちろん悪いこともあるので次の記事ではそれについても書こうと思います。ここまで読んでくださってありがとうございました。