日記139 ポピュリズムの使い方・0歳児選挙権篇

 大阪の吉村知事が人口減対策として「0歳児選挙権」を言い出したとか何とかという見出しをみた。それでどんなことがあり得るか。選挙権を持つがまだ思慮の弁別ができない子どもたちの選挙権は、ほぼ親が代理して行なうことになるはずだ(あるいは親の言う投票先に投票することになるだろう)。その場合、実質的に親の投票数が少なくとも1.5倍の重みを持つことになる。また、親のなかでも幼い子への影響力は母親のほうが(授乳やそれに続く育児の都合で)大きい。
 となると、票の獲得において、幼い子を持つ母親をターゲットとすることがかなり効率のよいことになるのは明らかだ。通常、ある層の支持を得ようとしても、ひとり1票を超えることは原則ない。しかし、物心つかない子どもにも選挙権を付与した場合、前述したように母親の票の重みが増して1票超過の価値を持つ。
 そしてこれを言い出した吉村知事は大阪維新の会の政治家であるが、かれらはテレビを通じて支持を拡大してきたポピュリズム政党である。そして政党の活動がテレビに映るのは、多くが昼の時間帯のワイドショー等ではあるまいか。とすれば、もともとファミリー層の支持は強いのではないか。もちろんファミリー層には子どもがいる場合が多い。
 ゆえにこそ、吉村知事の言い出した「0歳児選挙権」は大阪維新の会に利するものであり、かれらは選挙基盤をより盤石にする狙いでもってこれをぶち上げたと考えるのが、妥当なのではないだろうか。

(2024.4.25)

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