夢の話

どうやら私は中学生のようだった。
全寮制の学校へ入るらしい。
両親とともに下駄箱で靴を脱ぎ、スリッパに履き替える。その所作から学校関係者に見られているらしい。
ロビーへ入っていくと先に待っている同じ制服の人たちがいた。まだこれから玄関で靴を脱いで来る人もいるらしい
ここでも学校関係者がなにかおかしなことを言って小競り合いがあったが、なんだったか忘れてしまった。ただ、学校自体の評判はよく、上の学校へ進むにも有利なため、親たちは黙って子供をおいていった。

この学校のおかしさはそこかしこに溢れているようで、それに気づいている者も数名はいた。私はそれでも子供の無邪気さで学校生活を楽しんでいた。

授業を受けた記憶はあまりなかった。
この学校は付属施設が充実していたし、閉鎖的だと言う人もいたが、手続きを踏めば外出だって比較的簡単にできた。
まず最初に私は、学外で会った男の子と仲良くなった。学校より少し南へ行ったところにちょっとした町があり、一人でショッピングへ行ったときのことだった。かき氷を食べに入った店に彼は先にいた。同じ一年生だというのに、まだ入学したばかりのはずなのに、やけに店の人と親しかった。私達は帰り、徒歩で学校まで帰ることにした。私はかかとの細いミュールを履いていたので、彼は買ったばかりの靴を私に貸してくれようとした。けれど私は抜かりなく歩きやすい靴を持っていたから、にこっとしてそれを見せたら、彼は驚いていた。私は一人旅をよくしたから、一人旅ではよく歩いたから慣れてるんだ、と言った。中学生だから、一人旅なんてしたことなかったはずなのに。
靴を履き替えようとしたらそれはピンクのバラの鉢になっていた。たしかにピンクのデッキシューズだったけれど。私は仕方なく、バラをよけながら鉢を履いた。お店の人がそのバラを見て、育てるのが大変なのによく育てたねといった。私は、曖昧な記憶を手繰り寄せながら、ええそうですね、と言った。このバラは縁日で買って大切にしていたはずなのに、なぜ仕舞い込まれていたのだろうかと思いながら。

学校へ帰るとまだ時間が早く、外のポーチに生徒がたむろしていた。私達は一足先に入り食堂へ行ったが空いていた。

また別な日、私は大学時代の親友に会った。彼女もこの中学に入学していたらしい。授業があまりなく、出会わないのだ。夢だから記憶がおかしい。けれど私は、大学生からしか知らない彼女の中学時代を知れたことを嬉しく思い、彼女の、山手へショッピングへ行こうという誘いを喜んで受けた。山手と言ってもはっきり言って切り立った崖に大きな建物が段々畑のように並んているのだから壮観だ。私達は下からエレベータに乗って遊園地まで上がった気がする。途中で降りればショッピングモールなんかにも行けるエレベータだ私は下で猫を拾った。白と茶のふわふわした長毛種の猫だった。友人は私が猫を拾うことを渋った。けれど私は猫を捨て置けずエレベータに乗って友人と遊園地へ行ったのだ。するとエレベータのボタンのところに付箋が貼ってあるのに気づいた。「降りたら右へ」と書いてある。不思議なことが次々と起こる学校。私達はその付箋を信じてみることにした。エレベータを降りると右手に観覧車乗り場があった。私達はエレベータ蛾つくやいなや観覧車に乗ろうとしたが、その観覧車は出発してしまった。友人は自分だけ残るから猫を助けてやれと言い、私をエレベータに戻した。
学校へ戻ると友人は無事帰ってきており、ほっとした。
その夜の食事は和食で宴会場のような畳の部屋でとった。私は友人と前日知り合った男の子と取った。スタッフはずっと、食べ終わった食器を積み重ねその一番上を洗剤の付いたスポンジでこすっていた。私はあのあときれいに洗い流すのだろうかと思った。
食事の後友人は、レンタルビデオを借りにいこうといった。友人が借りたのはSFものだったと思う。しかしそれはVHSで、どうやって再生するの?と私は聞いたが、いいから、と言われた。レンタルショップは、学校の建物を一階まで降りて、繋がっている別の棟へ入りエレベータに乗ったところにあった。そのエレベータ、なぜか扉のすぐ内側に大黒柱があり、私達はぎゅうっと押しつぶされながら乗った。友人は、この施設はこういうところなんかをお金を出し惜しみしてるのよ、やがてこの学校のおかしさに気づくわ、といった。部屋でビデオを見る前に洗濯物をまとめて自分の名前の付いた袋に入れ、ランドリーサービスに出してきた。
寮の部屋から外を眺めていると、涼しくて気持ちよかった。周りに高い木がたくさん生えているのだ。友人に、なんかちくちくする木が生えてるというと、あなたも気づいたの?とはっとしたようにいった。そのときはなんのことか分からなかったけど、友人いわく、この学校はそのちくちくする木に囲まれているから、誰も脱走できないのらしい。ショッピングも楽しいし、脱走なんて考えないけどなあと思いながら聞いていたけど、友人が言うには、鉄条網なんかをつけると周りからの見栄えが悪く何を言われるわからないから、木で囲んでいるのだそうだ。

その後目が覚めてしまった。何かしら隠された学校の話のようだった。

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