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疲れてるからマカロン買って帰ろう【ショートショート 猟奇】

雨がショボショボ降る朝だった。

憂鬱な月曜日だった。
先週末上司に嫌味を言われた仕事の続きをやらないといけない。
週末には仕事のせいでイライラしていて、土曜の朝から彼氏と会って、お泊りしたんだけど、文句ばかり言ってた。
ランチのお店が混んでて、暑い~とか言ったし。ずっとずっと不機嫌でエッチもキスもしないまま寝ようとしたら流石に彼が怒って。
そのまま私着替えてアパートへ帰ってきた。
あれから口も聞いてないし、連絡もないし。
怒ってるかな。やだな。不安だな。

こんな日に雨だし。少しでも気分上がるように、ジル・スチュアートの長靴履いてきたけど。

ヤダな、バス停混んでる。月曜日くらいみんな早くくればいいのに。ヤダな、雨も強くなってきた。

私の前には女子高生が2人並んでいた。私とは打って変わって楽しそう。それはいいんたけど。
はしゃいで動くたびに彼女たちの傘の水が私にかかる。
ぴしゃ!とうとう顔にかかった。

私はカッとなってさすがに注意した。
「あの、水かかってるんですけど」
一瞬の後、自分たちのことと気づき振り返る。
何そのしれっとした顔。謝る気も気をつける気もなさそうだし。
「別にわざとやってないですし」
「近づきすぎなんじゃないですか?ソーシャルディスタンスですよ」
そう言われても後ろもギュウギュウに並んでいる。
「だって顔にまでかかってるんですよ!」
いつもだったら一言言ってひいてただろうけど、今日は引きたくない気分だった。
少し声を荒げたら、女子高生がせせら笑った。
「そんな顔、雨がちょっとかかったって変わらないでしょ」

その後のことはおぼろげだ。めちゃくちゃかっとなってたから。
言った方の女子高生を傘で突き飛ばした。
倒れたまま何が起こったかわからずびっくりしていた。
我に返った友人のほうが「警察呼びますよ」と言ったのが聞こえた。
「呼んでみればいいでしょう!」
私は半狂乱で、倒れたままでいる方の、憎い女子高生の顔面を踏みつけた。
踏んで踏んで踏んで踏み続けた。鼻血が出て、歯が折れて、口からよだれと血が出た。よかった、長靴で。汚れても洗い流せばいい。

私は警察へ連れて行かれた。
あんなに踏んづけたのに大した怪我じゃなかったのと、周りの人の証言もあったけれど、罪は罪らしい。
もうひとりの女子高生は逃げてしまったらしい。
ジル・スチュアートの長靴に汚い血液やよだれがついているのが気になって仕方なかった。
今日は会社休もうかな。
多分疲れてる。
彼にも連絡しなきゃ。
もう疲れたな、長靴洗ったら、マカロンでも買って帰ってレッドジンガーでも淹れてゆっくりしようと思った。

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