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なかなか死なないもんですね

今、病棟でなかなか死なない患者さんがいる。

去年の年末に肺炎で入院してきた90代の患者さん。
年を越せるか危ない、と言われていたのにかれこれもう3ヶ月。

ご家族も入院当初は相当覚悟していて、一緒に寝泊まりしていたけれど
最近は夕方になるとそそくさと帰っていく。

入院前は会話もできてご飯も食べれていたのに、今は話せない、寝たきり、ご飯は食べれず点滴だけ。こんな状態だからおうちで介護することもできない。

もっと早く逝っちゃうと思っていたのに、なかなか死なないもんですね。
もちろん、早く死んでほしいわけじゃないんだけど、こんな状態で何ヶ月も生きてもらっても正直困る。個室代だってバカにならない。なにより私たち家族の気持ちが参ってきている。

これが実際に聞いた家族の本音。

看護師の視点からみると、なかなか死なないとか長く生きてもらっても困るというネガティブな感情も言葉にできているので、この患者さんのご家族は今の状況をしっかりと受け止められていると思っている。

人間、きれいごとだけじゃ生きていけない。

自分の中にあるネガティブな気持ちや非倫理的な感情と向き合わなくちゃいけない時だって必ずある。

問題はそれをさらけ出せるかどうか、だ。
身内にむかってなかなか死んでくれない、と言えるかどうかも
一つの目安なのかもしれない。


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