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嫌われるためのバレンタイン

バレンタインに思い出があるほど、充実した人生じゃない。

あるのは苦い記憶ばかりだから、せっかくならバレンタイン当日に成仏させてやろうと思いnoteをひらいた。


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一番苦いバレンタインは、22歳、大学4年生の冬だった。

当時付き合っていた彼氏に手作りのお菓子を渡したんだけど、私の看護師国家試験前ということもあり、たしか無印用品のキット商品で作ったものを渡した。

もう、その頃はほぼ別れてるに近い状態だったということもあって、かなりの手抜きでお菓子を渡した。最初の年は、それはもうめちゃくちゃ頑張ったのに。

(決して無印のキットを否定しているわけでなはい)

結局、その数日後、国家試験の1週間前に私はフラれることになる。

その日は何にも手に付かなかったし、いまだにどういう問題だったか思い出せないままけど、ひとまずあの時の私は国家試験を受けたらしく、気付いたら合格していた。



原因というか、要因というか、もはや戦略とも言えるのかもしれないけど

私は彼と別れたかった
出来たら学生のうちに。

とても大事な人だったけれど
結婚したいかも?とまで考えたけれど
だからこそ、ずっと一緒には居られなかった。

結婚したら妻が転勤についてくるのが当然という彼の感覚や子どもを産むのが当たり前という彼のご家族の価値観、私の持病のことなど、いろいろある。

他にも理由はあるけれど、付き合って半年くらいで

あ、この人と結婚するのは難しいかもしれない

と、悟ってしまったのだ。

でも、相手のことは大好きだったから、なかなか別れることはできなかった。一緒にいて楽しいし、新しい発見がたくさんあったし、私をたくさん幸せにしてくれた。

それでも、そろそろ離れなきゃいけない。傷は浅いほうがいい。相手には相手の未来と幸せがあるし、私も私の幸せを掴める確率の高いところに身を移さねばならない。

私は22歳の誕生日を祝ってもらったのち、彼から嫌われる努力を積み重ねていった。どことなくアドラー心理学風に聞こえるけど、要は、嫌な女を演じてみせたのだ。

連絡は返さない。
予定はキャンセルする。
彼との時間の優先度を下げる。
そのくせ、他の予定は詰め込む。

こういうことを繰り返した結果、私は狙い通りフラれることに成功した。彼に自分を責めるポイントをひとつも残さないよう十分配慮して。

全部私が悪かったし、事実そうだった。


普段ならバレンタインも全部手作りしていた私だから、パートナーに無印のキットを使うなんて本来ならばあり得ないチョイスだった。彼にそれとわかるように、型紙やパッケージも無印で揃えた。

国家試験前でそんな余裕はないし
私はもうあなたを想っていない。

ってことがそれで伝わったし、きっとそれがフラれる決め手になったと思う。

本当は、ガトーショコラとかチーズケーキを渡したかった。私が食いしん坊なのを知っているので、絶対その場であけてむしゃむしゃ食べてくれただろうな。


現在、彼は、ほかの方と結婚して子どももうまれて、絵に描いたような幸せの中にいる。時折、タイムラインに出現する彼の様子に嬉しいような、寂しいような、ずるいような気持ちにさせられる。

でも、これが正しかったのだと当時の私は信じていたし、今の私もそう思っている。本当に、これで良かったのだ。


以来、想いのないチョコを渡さないようにしていて、それは今年も変わらない。あ、友チョコは別。

そろそろ本命チョコを渡す候補が出てきてもいいと思うんだけど、どこにいるんだろう…






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