見出し画像

バリアフリーはもう要らない?

世界のグローバル化に伴い、企業のビジネスにおいても、多様な従業員の活用や、多様なお客様への向き合いや対応の重要性が高まっています。
その反面、未だ「 #ダイバーシティ は一部の人の話で、ビジネスにならない」と感じている人が多くいます。
こうした誤解を生む1つの要因が、日本で高齢化社会の対応策へとして、すべての人にとって、できる限り利用が可能な製品、建物、環境をつくるために、米国から輸入された「ユニバーサル・デザイン」という概念の成り立ちにあるのではないかと、私は考えています。

#ユニバーサルデザイン の方法では、障害者や高齢者など、問題を抱えた一部のマイノリティにしか使われない物しか生まれないということも多くありました。
これによって、量産化できない。価格が高騰する。希少になり、手に入りにくくなる、開発も進まない、などの不便が生じていたのです。

もともとは、ユニバーサル・デザインも、ニッチで特異なものしかつくれなかった、「 #バリアフリー 」などの概念が、進化して生まれた新しい #デザインモデル 。それなのに、なぜ、こんな不便な物になっているのでしょうか。
実は、それは、ユニバーサル・デザインの発展の仕方に原因がありました。

1997年、アメリカで生まれたユニバーサル・デザインは、建築家で車椅子利用者のロン・メイスと、ノースカロライナ州立大学の彼のチームによって作られ、7原則のチェックリストという形で発表されました。

その7原則とは、
1.誰でも使える。
2.自由度が高い。
3.使い方が簡単。
4.情報がすぐ理解できる。
5.安全。うっかりミスや危険が無い。
6.少ない力で楽にアクセスできる。
7.アクセスしやすいスペースと大きさがある。
以上の7つです。

そのため、先進国における建築環境の使いやすさが主で、発展途上国の事情が含まれていなかったり、デザインの審美性の観点が抜けている事などが指摘されています。
また、7原則を満たしていれば良いと言う物なので、当事者の本当のニーズを満たすデザインにまで、昇華していなくても、7原則を満たせば良し、とされるものでもあります。

近年になって注目が集まっている「インクルーシブ・デザイン」は、1994年「ユニバーサル・デザイン」とほぼ同時期にイギリスで発表されました。
ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでロジャー・コールマン教授によって発表された、このデザイン手法は、審美性の観点が当初から含まれており、また多様なユーザーとともにデザインし、作りながら考えるという、あるべきプロセスを定義するという方式を採用しました。
できるだけ多様な人をデザインのプロセスにインクルージョン、包括できる。そんな #インクルーシブデザイン の方法では、新たに量産化可能な、全ての人が使いたくなる、アイデアにあふれたプロダクト、製品、サービスを生み出す事ができるようになったり、永遠に完成しない、みんなでアップデートし続けられる新しいアイデアを生み出す事もできるようになりました。

例えば、視覚障害者の為に作られた点字時計。触っても針がずれない様に、頑丈で、重くて厚く、それでも針は、ずれる事があり、価格も高価なものでした。
インクルーシブ・デザインの力で実現したEoneの時計は、ずれても戻る小さな磁石を採用したモデルで、スタイリッシュな見た目をデザインしており、文字盤を見ずに時間を知りたいビジネスマンにも受け入れられました。
価格も30,000~40,000円と言う、手に入りやすいプロダクトを実現しました。

日本の発明家が開発した見て読める点字「ブレイルノイエ」は、今もこれからも多様な人を巻き込んで、デザインも使われ方もアップデートし続けていくでしょう。

インクルーシブ・デザインの考え方は、企業のマーケティングプロセスにも転用する事ができます。この考え方は、インターネットなどで多様な人と繋がりやすくなったからこそ、あらゆる場面で有効です。この考え方を使えば、あらゆる多様な人にとって、ニッチな物でも、中途半端な物でもない、真に価値があって受け入れられやすい、新しい時代にふさわしいアイデアの詰まった商品やサービスを、誰でも生み出せるようになるでしょう。

これから生き残るのは、誰もに受け入れられる #インクルーシブ なデザイン。企業が多様化へ目を向ける視点は、今後ますます重要性を増すでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?