かげふみ2

ある朝学校の靴箱の前で、有花ちゃんを見かけた。
「おはよう。」と声をかけようとすると、後ろから、クラスメイトに止められる。
「やめなよ!あの子に関わるのは。あの子隣のクラスで、はみ出しを食らってる。あの子に関わると、ウチらも狙われてえらいことになるよ。亜子気をつけな。」
「だって、お隣の家に住んでて、小さい時はよく遊んだんだよ。」
「でも、今はもう友達でもなんでもないじゃん。」
「そうだけど…」

有花ちゃんを横目で見ながら、私はクラスメイトと、教室にむかった。

有花ちゃんは、毎朝靴箱にメモを見つけては破り捨てている姿を私は何度も目撃する。

人間は弱い生き物だ。私はずっとその姿を見つけては、はぁーとため息をつくだけだった。

何日かそんな日が続き、事件は起こった。
隣の教室で、花瓶を思い切り投げつける音と同時に、教室を飛び出し、階段をかけあがるおとが
聞こえた。

噂によると、誰かが、有花ちゃんの机の上に菊の花を置いたのだという。
そうして、みんなに「幽霊だ、怖〜」と、いわれ、屋上への階段を駆け上がって行った。

そこはかとなく不安になる。

しかし、私は教室から、出なかった。

数時間後、有花ちゃんは、学校を飛び出して行った。
それ以来、彼女の姿を学校で見かけなくなった。登校拒否をしているらしいと、親から聞かされる。

「1度様子見に行ってきなよ。あんた達小さい頃仲良しだったでしょ!」

そう言われ、1度彼女の家を訪ねた。
有花ちゃんのおばさんが涙目で、私を見つめる。

「亜子ちゃん、ありがとう。有花部屋に閉じこもったぎり出ていないの。お風呂も何日も入ってないの。それでもよかったら襖越しに声かけて欲しい。」縋るような目で私を見つめる。私は、少し躊躇したがおばさんの目を見ると断る勇気がなかった。

襖越し有花ちゃんに声をかける。

「有花ちゃんずっと学校来てないよね。心配してるんだよ」

数分の沈黙の後、

激しい嵐のような声で有花ちゃんは、言った。

「絶対ウソみんな誰一人私のことなんて忘れてる。」
「そんなことないって、頼むから顔見せてよ。」

「小さい頃かげふみして遊んだよね。駄菓子屋さんのかき氷美味しかったよね。」

襖越しに声をかけ続けた。

すすり泣く声が聞こえる。

「亜子ちゃん、私の事学校で、見て見ぬ振りしてたでしょ!何が幼なじみよ。」
「私に関わりたくなかったくせに。
何今更いい子ぶってるの?」
彼女の言う通りだ。だから、何も言い返せなかった。

しかし、一言だけ、
「最初に嘘をついたのは有花ちゃんじゃん。あれさえなかったら、今もクラスの人気者だったでしょ!」

またすすり泣く声が聞こえる。が、もう何も言えなかった。

おばさんに一礼して家に帰た。

悶々と思考がぐるぐるまわった。
中学の卒業式も有花ちゃんは、居なかった。

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今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。