創作【詩】 こども時代
9歳のときだった
まだ小学生をしていた
図画工作の時間に
みんなで絵を描いていた
隣の席に男の子がいた
自分の絵にひどく不満で
くりかえしくりかえし、こう言った
「下手な失敗作って呼んで」
はじめは先生も無視していた
でもとうとう男の子が勝った
先生はみんなの前でこう言った
「わかった
下手な失敗作
これでいいでしょう」
男の子は黙って泣いた
私たちはこうして
少しずつ少しずつ
大人への甘え方を
学んだのだった
良いこども時代だった
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