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創作【詩】 そんなだからわたしは

そんなだからわたしは
どこへもいけないのだ

そんなだからわたしは
どこへもいけないのだ

一年中雨が降りやまない国や
太陽が顔を出さない月の砂漠

おととい買ってきた水がはやくも
花の茎に隅々まで行き渡っている大地

地球儀と観覧車の見分けがつかない遊び場
風がブランコやシーソーを揺らす公園

そんなだからわたしは
そんなだからわたしは

そんなだからわたしは
どこへもいけないのだ


おんなだからわたしは
ハイヒールをはいて
今日も注意深くカーペットを踏む

明日の朝のわたしは
窓辺から地を見下ろし
ひとり耳を澄ますだろう

雨のおとは どんなおと?
太陽が月と交わす秘密は?

水は何を思い、花を勇気づけたのか
子らは何を思い、夢の国で遊ぶのか

そして、
もう夕飯だから帰ってこいと、
帰ってこいと、叫ぶ声は
聴こえない

そんなだからわたしは
どこへもいけないのだ

そんなだからわたしは
どこへもいけないのだ

おとなだからわたしは
おんなだからわたしは

ひとりだからわたしの
窓辺は冷たいのだ

そんなだからわたしは
どこかへ、どこかへ

どこか遠くへ行きたいのだ

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