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【大河ドラマ・光る君へ】呪いを反射する扇。

第十四回・星落ちてなお。
さっそくいきます。感想。

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まずは前回の放送から一週間もの間、廊下で出会い頭に見つめあい続けていた、まひろと道長。

…ってそんなわけないよね。
本当はすぐに道長の部下がまひろの紹介をして、道長もすぐに我に返って知らぬふりですれ違ったはず。

でも、実際の彼らの心の中では、まさに一週間くらいの時間が経っていてもおかしくないほどだったのではないか。
何も知らない部下が話しかけなければ、ふたりは永遠に見つめ続けていたかも。

まひろは、倫子を訪問すれば、もしかしたら道長に会ってしまうかもしれないことを予測できていただろう。
しかし早い時間の訪問なら、と思っていたはず。

一方の道長は完全なふいうち。
まひろが倫子と知り合いだったこと自体、知らなかった可能性も大きい。
だからこそのあの顔、だろう。
ものすごい驚いていた。

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「だったら!なんのためのお話だったんでございましょう。失礼な!」
憤慨する、いと。

左大臣家から呼ばれて訪問したまひろなのに、就職の件はなぜか「断られた」?
こちらから頼みに行ったわけではない。
それなら、なんで呼んだのさ!?という気持ちは分かる。

そして、いとは、まひろにぜひとも就職して(稼いで)欲しいから、余計に悔しい。
とはいえ、いとは、いつも微妙に暴走気味だよね。

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「それが嫌なら身分を捨て、どこへでも流れていくがよい」(兼家)

関白・兼家が、息子たち(道隆・道兼・道長)を集める。
兼家は意識がハッキリしているタイミングで、出家を宣言した。
そして「後継は道隆」と明言する。

ブチ切れる道兼の哀れなこと。
顔が憎しみのあまり、歪んでいる。
最後にはひどい捨て台詞を残して去って行った。

道隆が後継に指名されれば、彼が大きなショックを受けるであろうことは分かっていた。
しかし「この老いぼれがぁ!とっとと死ねぇ!!」とは。
「愛」と「憎」とはこんなにも近しいものなのか。

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「道隆、道長。今より父はないものと思って生きよ」(兼家)

退出していく兼家は、先ほどまでの姿とはうって変わって、すっかり老人のそれだ。
やらねばならない最後の大仕事を終えて、もう気力は尽きた。
気持ちは半分あの世に行きかけているのかも。

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「これ以来、道兼は参内しなくなった」(ナレーション)

えっ!そうなの?と思わず声が出た。
もう完全に諦めちゃったのか。
「道隆のあとについていくなかで、立場を逆転させよう」みたいな発想は、「ない」のか。

あぁ。そうだよね。
道兼は権力に溺れているわけではなかった。
兼家の愛に飢えていただけだった。
兼家の愛に由来する後継者になりたかったのだ。

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「私、食べなくても太ってしまう身体でございますので・・・」(いと)

お金ないんだから、節約しなきゃ~!と下人たちに一番言わなきゃいけない立場のいと。
それなのに自分はころころ肥えている。
まるで自分だけこっそり食べてるみたいで、居心地悪いよねぇ。

しかし食べなくても太るって、どんな身体よ!笑

「この家は、お前の家である」(まひろパパ)

前にまひろが言ってたよね。
「父上はいとのことも大切に思ってるわ」って。

本当にそうなんだね。
愛情深いまひろの父よ。

これで、少しでも稼げてれば言うことないんだけどねぇ。

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「みちつな・・・みちつな・・・きこえますか?」
大宇宙と交信しちゃってるかのような道綱の母。
床に臥す兼家に睡眠学習させてる。

目覚めた兼家は道綱の母の和歌を口ずさむ。
そして昔を懐かしむ。

道綱は蜻蛉日記を読んでないんだね。
有名な和歌を知らなかったから。
でもまぁ、読まないよね、母親の日記。
父親とのあれこれが書いてあるやつなんて。

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「てんにどろちにどろたきにやどごぞうかわりごぞうとくめつそわか」(???)
兼家が昔を懐かしむ穏やかな音楽にかぶせるように、聞こえてくるのはなにかの呪文!?

あきこ女王が一心不乱に唱えている。
長い呪文だ。

私は何度聞いても全然覚えられないから、書き写したのも間違ってる気がする。
あぁ、もういっそ「おんべれぶんびんば」にしちゃえばいいのに。

あきこ女王はよく覚えたなぁ。
ま、彼女は呪いたい一心だもんね。
呪文のひとつやふたつやみっつやよっつ、いくらでも覚えるよね。

この前あきこ女王の兄上が来てた時は、兼家の扇は台の上に畳んでおいてあった。
でもこの日は広げて、あきこ女王に向けて設置してある。

なんだか、まるで鏡のようで恐ろしい。
呪いがはね返ってくるような感じがするじゃない。

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「今宵、星が落ちる。次なる者も長くあるまい」
安倍晴明が星を読む。

星が落ちるとは、時の権力者・兼家が亡くなることを示唆しているのだろう。
そして後継者・道隆も長くはないだろうと予言している。

星読みを粛々と聞く部下。
・・・と思ったら、一拍おいてぱっと顔を上げる部下。
「え?道隆さま、もう死ぬの!?」だよね。

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不気味な赤い月。
庭で月を見上げ(て、お迎えを待ってい)る兼家。
遠雷。
あきこ女王の呪い。

そして、響く雷鳴。
弾け飛ぶ兼家からせしめた扇。

お腹をおさえて倒れこむあきこ女王。

ほら…。
だから言わんこっちゃない。
人を呪わば穴二つ、だよ。

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それはそれとして。
兼家も庭にころがっていた。

翌朝、兼家を見つけた道長。
号泣したいのをこらえながら、抱きかかえた兼家に声をふりしぼって「父上」と呼びかける。

はて。
(「虎に翼」の寅子のようだが…)

道長はそこまで父上を愛していたのだろうか。

たしかに兼家の道兼の扱いはひどいものだった。
そして道隆のことは後継者として育てていた。

しかし道長のことは?
ぼんやりした三郎君のことは、道隆に何かあった時の予備、くらいの認識ではなかったか。

道長は、父上がなくなったことにそこまでショックを受けるほど、父上と仲が良かったのだろうか。

いや。
私が道長の気持ちを読み切れていないだけかもしれない。

うーん。。。道長よ、君、なぜそんなに泣いたんだい???

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「しきたりなぞ気にするな。ゆっくり養生いたせ」

流産してしまったあきこ女王を見舞う道長。
なんて優しいんでしょう。

…と思ったら。
なんだかあきこ女王が道長を見送る顔が、すがるような表情に。
ようやくあきこ女王も、道長の優しさに気づいたかな。

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「私もせいぜい気張らねば」

倫子!それは余計だ。そういうことは言うな。

あきこ女王の見舞いから帰った道長を、倫子がむかえた。
そして一見、優しい言葉をかける。

しかしあくまで第三者的立場での言葉であり、道長の気持ちに寄り添ったりはしていない。

あきこ女王の流産は、あきこ女王ひとりの問題ではない。
道長の子でもあるのだから。

今、道長はまだ見ぬ我が子を亡くしたのだ。
まだ父親の実感のわかないうちだったかもしれないが、愛情深い道長であれば、我が子をなくしたショックも少しはあるだろう。

そんな道長に対して「私もせいぜい気張らねば」とは。

今、言うことではない。

父上の喪中であり、そのうえ我が子を亡くして、ショックを受けているさなかの道長に向かって「ご一緒に子作りに励みましょう」とは。

倫子。
道を間違ったと思うよ。
ボタンの掛け違いが発生するなら、この時じゃないかな。

同じタイミングであきこ女王は道長に心を開きそうな気配があるし。
今後が楽しみな・・・いや、心配な。

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酔って舞う、道兼。
そこへ道兼の妻があらわれ、突然の「お暇(いとま)宣言」。

道兼に強く言えないタイプの女性かと思ったら、とんでない。
おとなしいけれど芯が強い系の女性だった。
そして娘は先に出すなど、賢さもある。

あ~。
道兼、君にはもったいないほどの女性だったのに。

夜、ひとりぼーっとする道兼のまわりは、昼の騒ぎのあとが片づけられもせず残っている。
こぼれた食べ物をひろいにネズミがくる始末。

道兼の荒んだ心のように、邸内も荒んでいる様子。
奥方も出ていくほどだし、下人たちも出ていく者が多数いるのかもしれない。

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実資の屋敷。
例によってブツブツ文句を言う実資。

その隣には新しい女性が!!
いつのまにやら新しい奥方がいらっしゃる。
実資ったら、あんな高貴なお方をどうやって射止めたのかしら。

まずはお文で和歌を贈るよね。
どんな和歌を詠んだんだろ。

ブツブツブツブツ文句を言い続ける実資の横で、彼のぽんぽこお腹を満喫する奥方。
いいキャラしてますな。

って待てよ。
このキャラはドラマ専用?
それとも、実際に実資の奥方がぽんぽこお腹を好んだというエピソードでもあるのか?

「私好みの、高貴な高貴な、妻である」と言われて、あっさり機嫌が直るのもプライドがあるんだか、ないんだか。
面白い奥方の登場だ。

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伊周の(奥方探しの)ための和歌の会。
久しぶりに会ったまひろとききょうは、お互いの近況を語り合う。

ききょうは、今日の集いは伊周さまの妻選びだから「私たちはただの賑やかしですわ。あほらし」と言い捨てる。

とはいえ、和歌の会ではしっかり勤めを果たすききょう。
「威厳に満ちながら秋にふさわしい涼やかな響きのお歌でございます」だって。
さすがだな。

こういうところでの実績を買われて、定子さまの女房になる道も開けたりしたのかな。

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まひろの家にやってきた、ききょう。
お互いの「志」について語り合う。
ふたりはお互いの「志」に対する熱い想いを聞いて、驚いたり、圧倒されたり。

どうやらふたりの共通点は、とても賢いというところのみ。
それ以外は全然違うということが、よりはっきりと分かった。

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道隆VS道長、@朝廷。

検非違使庁の改革について、怒られる道長。
これが自分の使命の第一歩だ、と思い定めている道長。

一方で、兼家の後継者として藤原の、それも道隆ファミリーの繁栄のみを求める道隆。

この先、ふたりの道が重なることはないだろう。
それを予感させるやり取りだった。

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第十四回の感想はここまで。

はぁ…。
兼家、天に召されたねぇ。
ひとつの時代が終わったわけだ。

しかしまだまひろは都にいる。
越前に行くのは、朝廷では誰がどうなってる時なんだろ?

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