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恋に至る前の。

いちごの季節だ。
いろいろ美味しい食べ方はあるけれど、いちごミルクの美味しさはまた格別だと思う。

高校の時、昇降口付近にブリックパックの自販機があった。
ブリックパックは、四角い紙パックの飲み物の総称である。

なかでも人気なのが、いちごミルクだったと記憶している。
可愛いピンクのパッケージで、女子はもちろん男子からも人気を得ていた。

私自身は自販機を使ったのは3年間で数回程度だ。
そのせいか、どこのメーカーの自販機だったのか、記憶がない。

でも利用したその数回は、すべていちごミルクを買った。
甘くて冷たい、いちごミルク。

明るく活発な校風に、広い敷地、そしてなにより多くの気の合う友人たち。
思い出の風景のなかにそっと置かれている、いちごミルク。

今でもブリックパックの自販機でいちごミルクを見かけると、心に爽やかな風が吹き抜ける。

ちなみにいちご味だけど、甘酸っぱいイメージはない。
たぶん当時、恋をしていなかったからだと思う。

恋に至る前の、爽やかなとき。

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