「世の中の半分は働き方を改革できない」と感じた話。

IT企業の端っこにいるからか、昨今の時代の流れか、私は「効率良く仕事をすること」を良しとする環境に身をおいて参りました。そんな中で、なんだかモヤっとする振る舞いをする人との出会いと、モヤる理由をなんとなく考えていました。今回はそちらの紹介を踏まえ、じゃあどうしたらいいのよ?を考えた結果を書き連ねられればと思います。

今日お伝えしたいのはこちら3点です。

・巧遅拙速といい古されるように「ゆっくり丁寧に」と「素早く済ます」は両立が難しい
・半数の人の認識が変わると「時代が変わった」と認識される可能性が高く、新旧の思想を持つ人が半数ずつ存在する可能性は常に念頭に置いた方が良い
・自分をどちらの価値観に位置付けるとしても、互いの良い部分を交換しあえる形を模索できると良い

ちゃんとしてない私じゃダメですか?

胸を張って言う事ではないんですが、私は事務仕事が大の苦手でして。ちょっとした転記作業もすぐに飽きてしまい、「もっと効率の良いやり方はないか」とショートカットキーを調べたり、簡単なツールを作り始めたりしてしまう始末であります。
そんな私が何度もやらかしてしまったミスコミュニケーションはこんな感じです。

ミス①
先輩「酒蒸ちゃん、ここ間違えてるよ。」
私「ぎゃー、すみません!この作業は同じミス何度も出しちゃうと思うので、こういう設定変更して直します!」
先輩「そうじゃなくってさ、もうちょっと ちゃんと気をつけて よ……。」
私「いくらちゃんとやろうと0にはできないので、設定変更もしますね。」
先輩「はぁ……。」
ミス②
先輩「酒蒸ちゃん、こういう時はこんな配慮をしようよ。お客さんはその方が嬉しいでしょ。」
私「あ、そうですね!この作業はマニュアルに追記しておきますね!」
先輩「だからそうじゃなくって、もっと普段から ちゃんと考えよう よ。考えて覚えたことって忘れないし、勉強になるよ。」
私「これは定型作業ですし、今は他の業務も習得中なのでそんな余裕がないです。一通り覚えた後の課題にしますね。」
先輩「はぁ……。」

"正解"は半分の確率で外れる?

なんでこんなことになるんだろう?って考えてみたんですけど、これって「お互いが正しいと思っている事がズレて」いるんですよね。
河合隼雄先生の『大人になることのむずかしさ』という本では以下のようなお話が紹介されていました。

近代人の特徴は社会の進歩という概念を持ち、自分自身をその歴史的な進歩の流れの中に位置付けようとする点にあるということができる。(中略)子供aがAという社会の大人として、そこに入れてもらったとしても、社会が進歩して、社会Bへと変わってゆくと、a自身も変化してゆかないかぎり、彼は子供と同じように社会Bから取り残されてしまうことになる。

河合隼雄(1994). 大人になることのむずかしさ 岩波書店

つまり、現代の「ワークライフバランスを大事に!効率良く働いて定時帰りイエイ!」な思想と、「社会人としてのやる気はどのような過程で物事を進めたかで決まる。楽をしようだなんてけしからん!」っていう思想がドンパチしているだけなんですよね。まだ日本中が新しい価値観に変わった訳ではないですし。

じゃあ、時代が変わる時にどの程度ついてこれる人とこれない人がいるのか。マーケティングの理論の中に「ロジャーズモデル(イノベーター理論)」というものがあったことを思い出したので、図のみ引用します。縦軸は新商品の新規購入者数です。詳細が気になる方は引用元のリンクをご参照ください。

引用元:株式会社シナプス イノベーター理論

この理論は買っておしまい商品に対して適用される理論的になので、人の考え方とか、仕事の進め方ってなるともう少しゆっくり変わっていくなり、形が変わるなりするかもしれないんですが、一旦この形を参考にお話が進められればと思います。

何が言いたかったかというと、「さぁ、時代が変わりました!」っていう瞬間についてこれているのは常に半数なんじゃないか、ということです。50%の人が追いついたら、残りの50%を無視して時代が変わったことになってしまうのではないかと思った訳です。つまり、「私はこの時代に合わせた思想で生きています!」って主張した時に、半数の人と意見が合わないことを折り込んで暮らす必要があるのかな、と。

結局、「備えあれば憂いなし」なのでは?

ここまでで、何が言いたかったかというと、同じことを正しいと思ってる人って意外と少ないよね、ということです。
これだけだとちょっとお話が抽象的になってしまうので、先述の先輩達にどのようなアプローチをするようなったか、をご紹介して閉じたいと思います。

対処① 実績を作ってから見せる
先輩「酒蒸ちゃん、ここ間違えてるよ。」
私「ぎゃー、すみません!以後気を付けます!」
私(設定変更すれば防げそうだな、どうやって気を付けるかは人それぞれだから、直す前から先輩に報告するのはやめておこう。)
- - - - - - - - - - - しばらく経ってから - - - - - - - - - - -
先輩「あー、この作業面倒臭いなぁ。」
私「こんな感じで効率化して、20回くらいやって不具合出てないです。やってみます?」
先輩「あ、本当?やってみるー。」
対処② 活用シーンを見せる
先輩「酒蒸ちゃん、こういう時はこんな配慮をしようよ。お客さんはその方が嬉しいでしょ。」
私「あ、そうですね!」
私(マニュアルに追記すれば忘れなそうだな、追記しておこう。)
- - - - - - - - - - - しばらく経ってから - - - - - - - - - - -
先輩「じゃ、酒蒸ちゃん、新人教育よろしくね。」
私「わかりました!」

私「このマニュアルの通りに作業やってみて、最初は横で見てるから。」
後輩「オッケーっす。」

先輩「後輩君の作業は丁寧で良いねー。」
後輩「マニュアルにここまで書いてあったので、その辺りの習得は楽でした。」
先輩「へー、マニュアルもきっちり書いておくもんだねー。」

そういえば先程紹介した会話内で、「教わったことをどのように残すか」は指定されていなかったんですよね。なのに私の考える正解をなんの実績もないまま違う思想の人に伝えてしまったために、食い違いが出ていたんだなぁと。そして私も先輩も丁寧なアウトプットをしたいという考えは共通していたんですよね。対象が違っていただけで。


これからに向けて、繰り返す作業とか注意点はどんどん減らした方がいいよね、とは引き続き思っています。反面、新しいものを作る際はもっと考え抜いたアウトプットを求められるようになるのかなー、などと思ったりしています。人間の愚直さ、丁寧さってやっぱり必要なんだよね、などと。

図らずも本日は大晦日ですが、もしかしたら半分の人が心の底では年を越せていないのかもなー。と、書き始めには思いもしなかった結論に着地して、今年のところは締めたいと思います。ありがとうございました、また。

酒蒸

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