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多発性硬化症、ふたたび確定診断

以前書いた、多発性硬化症の記事の公開は12月だったのね。
あれから3ヶ月半〜4ヶ月。再発、そして新しい病院で確定診断が出たので記しておこうと思う。以前の記事はこちら

上記記事のつづきで言うと、まずは転院。
都内の多発性硬化症の事例を多く扱う大学病院に行った。
そして「おそらく多発性硬化症でしょうけど、出ている症状は微妙だし、結局その病院でも検査しないと診断はできない」という話に。
かつ、大学病院でMRI(3箇所)やら誘発電位やら髄液検査やら視神経検査やらを外来でやるというのは現実的ではなく、5~6日の入院が必要とのこと。

「1月から検査入院しますか?」

いや、おりしも息子は大学受験生。自立心旺盛な息子だとはいえ、母子家庭の今私が支えなくていつ母をやるの、と思うじゃない。
1月、30年前とは大違いの、複雑難解な受験制度の願書提出には親の協力がやっぱり必要だし、
2月、10日連続受験みたいな日程を組んだ息子とはいえ、受験当日は「頑張ってね」と送り出したい。受験の最中に合格発表が重なって、大袈裟に「受かったね!」とか「落ちて残念だったね」とかはしないにしても、合格してたらその日に「おめでとう!」くらい言いたい。
3月、志望校が決まれば入学金振り込んだりもするし、あっという間に卒業式がくる。検査まで少し時間が空くのは構わないという話だったので、全て完了しているであろう卒業式から3日後に、入院の予定を組んだ。

え?お湯の熱さを感じていない!?

異変があったのは、3月4日、卒業式の5日前。入院予定の8日前だった。
朝、お湯を張った風呂につかったら、左側のももから腰にかけて、感覚に違和感があった。
あれ?しびれ?
右側はいつもと変わらないのに、左だけツーンというか、温かいのか冷たいのかわからない感じ。でもこの時はかなり弱い感覚で、もしかしたら勘違いかもしれないと思って、1日過ごした。
夜になって、もう一度お風呂に。
今度ははっきりと違いがわかった。相変わらずひだりだけ「ツーン」としている(わかりにくい表現ですみません)。お湯から上がると、右側はホカホカしているのに、左側はサーーーっと妙な違和感が走る。
ああ、やっぱり変だ。
多発性硬化症の体験談をいろいろ読んで、お風呂でお湯の温度を感じていないという症状の人を何度か見かけたことがある。初期の典型的な感覚異常だったはず。「ああ、再発だ」と思った。

卒業式は、絶対に出たい

次の日の朝病院に電話をすると、「すぐにきてください、入院になるかもしれません」とのこと。15分くらいで入院のセットを整えつつ、息子に万が一の時にはこれを病院まで運んでほしいと伝えて、いざ診断へ。

急性期にはステロイド治療をするのだけれど、この病院ではまだ確定診断を出していないので、まずはひととおりの検査をして確定させてからの治療となる。とすると、5日プラス3日。今入院してしまったら、卒業式に出られないじゃない。

息子の高校の卒業式は、絶対に参列したかった。
大学に入ったら一人暮らしをしたいと言う息子の、たぶん最後の母親としてのイベント。卒業式は18年間の子育てのご褒美のようなものなんだと、そんなふうに思っていた。
だから趣味の洋裁で数ヶ月前から、この日のために自分の服を仕立てていたし、趣味のレザークラフトでバッグまでつくって!
誰も私の服なんて見ていないだろうけど、私の人生の中でもすごく大きなイベントなんだと思って襟を正して粛々と待っていた卒業式。
出ないなんて考えられない。
それを訴えると、卒業式が終わったら即入院ということで話がまとまった。

予定されていた12日からの検査入院が1日早まっただけだったけれど。

呆気なく確定診断、新たな病変

入院中の話は、飛ばします(4人部屋を選んでベッドも合わないし、待たされ、血を抜かれ、検査検査でなんだかすごいストレスを溜め込んだ入院期間でした)。
今回行った検査は以下のとおり。

・頭部MRI(造影剤入り)
・首部MRI
・胸部〜腰MRI
・体性感覚誘発電位
・視覚誘発電位
・脊髄液採取
・視覚検査(いろいろ)
・脳血管疾患等リハビリテーション(知能検査的なもの)
・血液検査(3回採取)

そして入院中に首のMRIで、新たな病変が見つかった。
お湯の温度を感じない、に該当する病変は見当たらず(よくあること)、首の脊髄に、2つ目の白い影。もしこれが症状として出るならば、右手の脱力や麻痺が起こる部分とのことだった。

4ヶ月で新しい病変=活動性が高い

前回の検査が11月。そこから3ヶ月半〜4ヶ月で、新たな病変が出てしまった。人によっては初発から5年とか10年とか何もない人もいるのに。いくらなんでも早すぎやしないか。と自分でツッコミを入れる。
先生からも「活動性が高いMS(多発性硬化症の略称)と見ています」と説明を受けた。なるべく早期に投薬を開始し、今まで以上にストレスを溜めない生活を心がけてください。とのこと。

再発要因とされている「ストレス」だけど、
この4ヶ月わたしにはどんなストレスがあっただろう?身体的ストレス、精神的ストレス…寒かったよね、疲れた日もあったよね。眠れない日もあったし、そもそも息子の受験で一喜一憂だってしたし。仕事も人が抜けたり、イレギュラーなストレスはいくらでもあった。
どれがいけなかったんだろう。いつ、できた病変なんだろう。
頭の中がぐるぐるする。

このMRIの所見だけで、髄液検査の結果を待つ必要もない。
入院中に確定診断となり、使う薬も決めることに。いくつかの選択肢を提示されて「どれにしますか?」と。

テクフィデラか、ケンシプタか

テクフィデラは、以前の病院で確定診断を受けた時に、治療薬として提示された薬だった。今回新しい病変が出たことで
「もし、あの時テクフィデラを投与していたら、今回の病変は出なかった可能性があるのですか?」と聞いたら
「可能性は、あります。」とのこと。

考えたってしょうがないけれど、少しやるせない。
投薬をしながら新しい病院を受診するという手もあったはずだ。ちょっとした判断がいつも大きな分かれ道に立たされているような、そんな感覚になる。
今回も確定診断が出た後に
「今からステロイド投与をやりますか?3日で1クールなので入院は延長になります」と言われて、悩んだ挙句にやらなかったけれど、その判断は正しかったのか。
基本ステロイドは症状緩和のために行うもの。
でもわたしは症状がそれほど重いわけではない。
やれば病変は消えるかもしれないが、そもそもその病変の症状が出ているわけでもない。
そもそも最近の病変でないなら、今ステロイドしても効かない。
大量のステロイド投与で悪化する糖尿病。それに副作用。
まっさらを求める人はやるのかもしれないけれど。

先生の勧めもあり、投与薬はケシンプタを採用。
とはいえ免疫を下げる薬なので、もしB型肝炎のキャリアだったりしたら悪化させてしまうことになる。その投与を視野に入れた検査が追加された。
2年前に出た新薬で、かなり期待値の高い薬のようなので、これを選択できるのは喜ばしいことなのかもしれない。注射の薬なんてうれしいわけじゃないけれど、でも、検査でOKが出るといいな。

病院を選ぶ基準は?

多発性硬化症は難病であり、日本ではめずらしい病気だ。
この病院は、日本全国から多発性硬化症の患者が集まってくる病院。たまたま家から歩いて10分の距離にあったのは奇跡に近いとおもう。
けど…先生との相性はあまり良くなさそうだ。
説明もあまりしてもらえないし、入院すると看護師さんの雰囲気も、病院によってかなり違うんだなというのがわかるよね。そう言うことも含めて今回の入院はいろんな意味でストレスの多い入院だった。
退院して、一時的ではあるけれど明らかに症状は悪化した。
以前の顔の痺れは強くなり、舌まで痺れを感じるし、右のふくらはぎに、謎の痛みが走る。疲れやすく頭がぼーっとして…
そりゃあ、「難病である多発性硬化症、しかも活動性の高い状態」ということがわかっただけでも心理的ストレスは計り知れないから、入院だけが理由ではないかもしれないけれど。

先日かかりつけ医としている糖尿の町医者のところに行って、少し病院の選択について相談してみたのだけれど、とても的確な答えをもらえた。

「んー、多発性硬化症っていう病気の性質を考えると、やっぱり臨床数の多さっていうのはかなりのアドバンテージではあるよね。たとえばそのケシンプタにしたってさ、1回2回つかったことありますってわけじゃなくて、すでに何十件と使用した実績と経験があるわけじゃない。それは強いよね。説明が少ない人なのであれば、自分で調べるだけ調べて質問を書き出しておいて、引き出すようにしたらいいんじゃないかな。質問する権利は患者にあるんだし」

そうなんですよね。
新薬がどんどん開発されている分野ではあるし、もしこのケシンプタが使えなかったり合わなかったりした時や、今後新しい薬が出た時の選択肢も、ここなら最先端の情報を得られるんだろう。
先生との相性は良くなくても、入院がストレスでも、その安心感は何ものにも変え難いものではあるかな。

現在のステータスは、MRI以外の検査の結果待ち、そしてケシンプタの投与可否の検査結果待ち。同時に難病申請のための手続きも進行中。ケシンプタは超高額な薬なので、認定されれば補助が出るのはとてもありがたい。

申請が通ったら、赤地に白十字のヘルプマークももらおう。
症状が出ているときはとにかく疲れやすくて、バスにのっても目の前の人にすわらせてすわらせてと圧をかけたくなる(笑)、のは冗談だけど、こないだは床に座るか本気で悩みながら、吊り革にぶら下がって耐えていた。
普通の疲れとは違う疲れ。倒れ込みそうになる。マーク、だいじ。

次の診療で検査の結果ももろもろ聞けるのでしょう。
早く投与ができますように。

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