小児喘息を克服するために始めたスポーツ

今でこそアスリートを支える側にいる佐藤さんですが、学生時代は水泳に勤しんでいた一競技者。そこから「栄養学」にたどり着いたのにはワケがありました。
「実は水泳を始めたきっかけが、自分自身が小児喘息を持っていたことで、それを克服するためでもあったんです。身体が決して強くなかったことで、親はいつも食事や健康に気を遣ってくれていました。そういう姿を見て身体のことには興味がありましたし、水泳をやってきた背景を生かしてスポーツに携わりたいなという気持ちもあったんです。」
そうして調べていたところ、たまたま出会ったのが「スポーツ栄養学」という学問。「これしかない！」と思ってすぐに学べる学校を探したと言います。

「スポーツ栄養」への飽くなき思いをぶつけたインターンシップ

そうして無事に納得のいく進路選択を終え、迎えた大学生活。授業で身体のことや食物のことを学ぶ傍ら、とある取り組みでスポーツ栄養との接点を自主的に持ち続けたと言います。
「スポーツ栄養について学びたいことを知人に相談して、18歳の頃からスポーツの現場でインターンシップをしていたんです。“働きに出る”とは違うかもしれませんが、『栄養士の卵です』という形で入らせてもらって。短大を卒業してから3年間は栄養士として会社勤めをしていたのですが、そこが副業OKだったのもあり、その現場との関わりも続けられて、少しずつお小遣い程度には得られるようになりました」
会社を辞める頃には“自分のお客さん”というのも増えていた話す佐藤さん。退職後にフリーランスとしてのスタートを切り、現在はさらにクライアントを増やしている最中です。

現場に出ること、そして発信し続けることが“次”をつくる

では、特に駆け出しのころの佐藤さんは、具体的にどのような仕事をされていたのでしょうか？
「紹介いただいた大学の水泳部では、30名ほどの選手たちを対象に栄養管理を担っていました。毎月寮に出かけて一人ひとりと話して、栄養指導を行うのが主な役割。またそこで聞いた内容やこちらが返したアドバイスは、監督やコーチにもシェアしていました。部活動全体でその選手の栄養面を見守りケアしていくイメージですね。」
今でこそ堂々とそう話す佐藤さんだが、フリーランスを考えている人の中には、「いざ独立しても、継続的にお客さんを持つのは一苦労なんじゃないか？」と心配を抱く人もいるかもしれません。そこで佐藤さんにその不安をぶつけると、次のような答えが返ってきました。
「私の場合は“発信”に気を遣っていました。監督に許可をいただいて、ブログだったりSNSだったりを通して『今こういうことをやっています』という活動記録や栄養の大切さなどを発信し続けたんです。するとそれらを読んでくれたチームさんや部活動の方がDMをくださって、サッカーチームや陸上競技へ関わることにも繋がりました。」
一見、負担が増えるような取り組みも、次の仕事へ確実に繋がっていくと思えば、獲得のための営業も減り、効率的なのかもしれません。また佐藤さんによれば、現場に出ることでできた人脈が、次の案件にも繋がるチャンスだと話します。
「私が携わっている現場には、同じくフリーで鍼灸師やAT、PTの方などもいらっしゃいました。そうした方々と情報交換をしている中で、『違う現場で栄養サポートがなくて困ってる人いるから』と紹介してくれるパターンも結構多くて。私にとって、そうした“現場での活動” と“発信”の2つが、次のチャンスに向けた大きな懸け橋になりました。」

大舞台を“一員”として味わえた経験を胸に

そんな佐藤さんに、仕事に対してやりがいを感じる瞬間を尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「やっぱり関わっている選手がいい成績を収めた時ですよね。目的としていたゴールにたどり着けたこと、その瞬間に立ち会えること。直近では担当している選手のなかに東京オリンピックの内定をもらった選手がいたのですが、私はその会場でその瞬間を目にすることができて。現場にいられること自体が貴重なのに、サポートメンバーの一員としてそれを一緒に喜ぶことができるなんて、なかなか経験できることじゃないですよね。」

キラキラとした世界の傍らで、こっそり「実際は泥臭いことも…」ともこぼした佐藤さん。
続きは次回、仕事で味わう苦楽やこれからめざす人に伝えたい思いなどへ迫ります。

佐藤さんの現在の活動や感じること、今後の目標を語った後半はこちら
https://note.com/ascendersinc/n/n9cc213bf779e


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