2010年、1回目のWAIS-IIIでIQ差46

2009年12月、当時23歳だった筆者は、1回目の発達障害のテストを受けました。そして、2010年1月にその結果を診断されました。

結果出た意見書では、「アスペルガー症候群」(現在は「自閉症スペクトラム障害」、「ASD」)、「特定不能の広汎性発達障害」というものでした。

この診断にあたっては、ウェクスラー成人知能検査(ウェイス、WAIS)を受けました。 このウェクスラー成人知能検査とはいったい何かというと、アメリカの心理学者であるデイビッド・ウェクスラーが今から60年以上前に作った成人用の知能検査のことで、言語テストや作業テストを知能指数(IQ)で測りだすことができます。

(※子ども用の検査もあり、こちらは「WISC」(ウィスク)と呼ばれています。最近は、筆者の時代とは異なり、幼少期や小学生から発達障害を診断できるシステムが日本でも確立されてきており、こちらが主流になっています。)。

 このウェクスラー成人知能検査は、英語名のWechsler AdultIntelligence Scaleの頭文字をとって、WAIS(ウェイス)と呼ばれます。 

当時は、2006年に改訂されたWAIS-III(ウェイススリー)でしたが、その後に改訂されて、今はWAIS-IV(ウェイスフォー)になっています。 この知能検査にかかる時間は、60分~95分程度です。 では、どんなテストをするのかというと、パズルのように絵を完成させたり、意味のない数字を暗唱したり、線を短時間でどれだけたくさん書けるかなどのテストが行われます。

 その結果として、言語性IQ、動作性IQ、全検査IQが出されます。さらに、詳細な診断結果の数値として「言語理解(VC)」、「知覚統合(PO)」、「作動記憶(WM)」、「処理速度(PS)」の4つについてのIQも測定できます。

言語性IQ、動作性IQ、全検査IQは、どれもIQ100が標準的とされていて、健常者(定型発達者ともいいます)の方がこの検査を受けると、すべての項目でこれに近い値が出ます。また、いずれの数値もそれほど大きな差にはなりません。 

ところが、発達障害を抱える人がこの検査を受けると、この分野ごとのIQが健常者の方と比較して、分野ごとのIQが非常にアンバランスです。つまり高いIQを示す分野と低いIQを示す分野がはっきりと分かれることが多いのです。 

筆者は、この診断で、全検査IQ(つまり検査トータル)のIQは110でしたが、 そのうち、言語性が129、動作性が83でした。IQの差が46にもなっています。

健常者の方だと、ここまでIQ差が開くことはまずないので、これが発達障害の特徴ともいえます。 

筆者の場合、言語性IQが高いことから、言葉の点では健常者の方と変わりません。一方、動作性IQが低いので、機敏な動作ができず、体をよく動かす仕事には向かないようです。

4つの群指数の結果は

言語理解(VC):118

知覚統合(PO):91

作動記憶(WM):123

処理速度(PS):67

でした。僕は知的障害はありませんが、このうちの処理速度については、知的障害を持つ方のIQの値と変わらないようでした。 

実は、この11年後の2021年夏にも、別の医療機関で、今度は最新のWAIS-IVを受けました。

この続きは次回。

※2021年10月29日 編集