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保険料がゼロ!?「わりかん保険」に加入してみました。

保険スタートアップのjustInCaseが2020/1/28、国内で初めて保険金の支払いというリスクを加入者が割り勘で賄う「ピア・ツー・ピア(P2P)保険」を販売した。このような保険は、海外が先行していて、情報収集のため日生などの既存大手生命保険会社も代理店として取り扱う。がん家系に生まれた僕も、かねてよりがん保険には興味があったことと、ネットでニュースを見つけて「面白そう」というインスピレーションで申込みをしてみた。

◯どんな保険?
 「わりかん保険」はがんと診断された時に一律80万円の一時金がもらえる。契約者は20~39歳、40~54歳、55~74歳の3グループに分かれ、各グループ内で毎月払った保険金額に手数料を加え、契約者数で割り勘した保険料を毎月後払いする仕組み。つまり、ある月にひとりもがんに罹患した人がいなければ、その月の保険料は0円となる。また、各グループの月額保険料にはそれぞれ500円、990円、3190円の上限を設けているので保険料の支払いが発生する月でも限度額があり安心だ。

◯生命保険に関する消費者のマイナスイメージ
「保険会社(または営業マン)って儲けすぎじゃない」
「保険ってわかり辛いんだよ」
「なんか騙されてる気がする」
「手続きが多くて面倒だ」
多くの人が生命保険へ抱くイメージはこんな感じだろう。あまり、いいイメージを持っている人はいない。

◯わりかん保険(justInCaseの場合)
 この保険では、保険金の支払いがなければ保険料はゼロとなる。つまり、だれもがんにならなければ、一切の支払いが発生しない。この場合、管理手数料も発生しないので、保険会社の収入もゼロだ。(やっていけるのか?)ただし、保険金支払いが増えれば加入者で割り勘となるため負担も増える。しかし、「わりかん保険」は保険料に上限もあり、保険会社側が過剰な利益を得ているのではないかとの懸念をぬぐいやすい。割り勘の根拠として誰にどんな保険金を払ったのかを開示するため、支払った保険料の「使われ先」がわかりやすく透明性が高いとの評価。

◯この保険の課題だと思うこと
 僕がこの保険で課題だと思うことが3つある。

1.ニーズの喚起がない
2.保険金額が一定
3.モラルリスク

 上記の通り、現状の生命保険に対するイメージが悪いだけに「公平性」「透明性」「わかりやすさ」といった既存生保との比較で注目を集めているように感じる。本来の保険の必要性に気付き、加入していないときのリスクが腹落ちした上で、何かしらの備えが必要だと思って、この保険に加入する人が何人いるだろう。一般的には、「保険は必要ないもの」というところからスタートし、営業マンがそれを覆して売るのが生命保険だと思われる。

そう考えると、ひとりひとり備えに対する考え方や、今置かれている状況(家族構成や貯蓄など)など、人それぞれ異なるにも関わらず、保険金額が一律というのは、ちょっと考えると不安になる。がん保険に特化して言えば、がんの種類や先進医療をうけるかどうかにもよるが、80万あれば少しは入院、治療や手術の足しにはなると思う。(日本では、健康保険制度が整っていて、高額療養費制度もあるので、ある程度の貯蓄があればそもそも安心だと思うが)

タイトルの通り、私も加入申込みをしてみたが、非常に申込みは簡単だ。氏名や年齢などを入力し、簡単な告知事項を入力し、重要事項を読み、クレジットカードを登録したら完了である。でもこれは、80万円という少額の保険金だからこそなせるワザであり、既存保険会社のように何千万、何億という保険金を支払う保険であればやはりそうもいかないのだと思う。

◯わりかん保険の勝ち筋
 日本では、民間生保の世帯加入率は9割前後、がん保険の世帯加入率も6割に達する。これを考えると、既存のがん保険加入者に対しての乗換え、もしくは不足分の補助的な感じで売っていくのはありだと思う。
どちらにしても、少額短期保険業者であるjustInCaseが単独で生き残るというよりも既存生損保業者、代理店など保険業界の協力を得ながら、普及拡大していくというイメージかなと思う。この協業スタイルの場合、代理店への手数料をどうするのかは難しい問題である。(既存の生保のビジネスモデルに戻ってしまう!?)

既存保険会社も少子化や低金利、自然災害の多発や自動車保険市場の縮小懸念など、その取り巻く経営環境はかつてないほど厳しい。また、コロナ禍による対面営業のあり方も変わってくるものと思われる。その中で、既存の販売チャネルや商品にこだわらず、P2P保険の可能性も模索していく必要があるだろう。

*P2P保険における実際の毎月の保険料がいくらだったかは、またアップしていきたいと思います。


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