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今日のあしげい(2023年8月14日〜18日)

北海道は知床・斜里町で開催中の「葦の芸術原野祭(通称:あしげい)」
会期中の様子をレポートしていきます!
小泉柊介さんが書いた前回の記事(2023年8月11日〜13日)はこちら▽


8月14〜15日のこと

この二日間は休館日でした。思い出の品が日に日に増えていく旧庁舎は、会期初日とは大きく様子が違っています。その会場で最後の3日間かけて行われるあしげい新作公演『葦の波 Part2』に向けてクリエイションが進行しています。
この日はクリエイションメンバーで海に行きました。それぞれが思い思いに拾ってきた流木や貝殻、流れ着いたロープ、動物の骨は公演の美術・小道具として使用されます。

前浜に到着したメンバー。遠くには羅臼岳が見えます。

今回は、『葦の波 Part1』で行ったシーンと、新たにつくったシーンを織り交ぜながら、知床・斜里という土地で時間を過ごした人々の存在と不在を立ち上げていきます。
クリエイションの過程で作られたシーン自体は、そのほとんどが実際の上演では使われませんが、つくるという過程を通してメンバーたちの変化する関係性や、土地に対する眼差しが編み込まれていきます。

8月16日のこと

この日は、北山カルルスさんによる『たったひとつのしれとこ絵本ワークショップ』が行われました。カルルスさんのイラストに色や絵を自分で書き足しながら、オリジナルの絵本を作成するというワークショップでした。会場にある「どうわのへや」にて、おとなもこどもも座卓を囲み、じっくりとそれぞれが思い思いに絵本をつくっていきます。

受付の看板の様子(かわいい!)

カルルスさんは、「あしげい」という場によって、文化的・芸術的なものがなかなか少ない斜里という地域で、もう一度掘り起こしていこうとすることが懐かしい再会や新たな出会いへと繋がっていてうれしいと話してくれました。
あしげいは今年3年目。姿勢に共鳴し、応援し携わってくれる人の輪がどんどんと広がっていることを感じる日々です。

8月17日のこと

追加公演になったバストリオ『セザンヌの斜里岳』の千秋楽の日でした。この日は、強風が吹き抜ける中でも柔らかな日差しが差し込み、朗らかな上演となりました。会期中急遽変更になったスケジュールの中での追加公演でしたが、多くのお客様にお集まりいただくことができ、座組一同うれしい限りです。
この上演を行った"川村邸〜北暦の原野"はもともと、北のアルプ美術館初代館長・山崎猛さんが持っていた土地です。現館長のちづこさんは、上演を見て、「山崎猛のことを話してくれて、喜んでいると思います、ありがとうございます。」とおっしゃってくれました。

『セザンヌの斜里岳』千秋楽上演の様子

8月18日のこと

昨日初日を迎えた『葦の波 Part2』の二回目の公演が行われました。『葦の波 Part2』は岩村朋佳、川村喜一、川村芽惟、黒木麻衣、今野裕一郎、坂藤加菜、中條玲、中山よしこ、橋本和加子、松本一哉、本藤美咲(敬称略)によって行われています。また、昨年のPart1に参加していた加賀田直子さんのシーンが引き継がれ、斜里という街で交錯する、いくつもの存在と不在が立ち上がります。
上演は、野外→1階→2階という3部構成のツアー形式で行われます。2部の最後には、中山よしこさんによる斜里ラップが披露されます(去年は、斜里高校の校歌を歌うシーンでした)。よしこさんは斜里で生まれ斜里で育った人です。彼女による、斜里への愛憎のこもったリリックは胸を打ちます。

斜里ラップ歌唱中の様子

葦の芸術原野祭は本日19日をもって終了します。「おもいでうろうろプロジェクト」で集まった120を超える思い出の品の展示、「シレトコノオト」でみんなが書き込んだ短冊、音楽を鳴らし続けるレコードと、空っぽだった会場がすっかり賑やかになりました。2階の作家による展示も、日を経てすこしずつ動き、様子が変わっているようです。

既にお越しいただいた方も、まだ来ていない方も、最終日ぜひご来場お待ちしております。『葦の波 Part2』もまだまだご予約を受け付けております。当日駆け込みでもご来場いただけますと嬉しい限りです。

(文:中條玲)


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昨年大好評だった「あしげい手ぬぐい」のほか、今年の新グッズ「あしげいTシャツ」、野外対応の「ステッカー」など多数の商品を取り扱っております!
葦の芸術原野祭は、有志による継続的な開催を目指しております。グッズの売り上げ・カンパは大切な継続資金となります。会場に足を運べない方も、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

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