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今すぐ始められるキャッシュフロー経営

京セラの創業者である稲森和夫さんをご存じの方は多いと思いますが、この稲森和夫さんはキャッシュフロー経営にこだわられている一人です。

近代会計学は、収入や支出を発生させる事実が起きたときに、収益や費用があったものとして計算する「発生主義」に基づいています。​

しかし、この方法をとると、決算書にあらわされる損益の数字の動きと、実際のキャッシュの動きとが直結しなくなり、経営者にとって、経営の実態がわかりにくいものとなってしまいます。​

経営のベースとなるのは、あくまでも手元のキャッシュであるため、会計上の利益が出ているからと安心するのではなく、「もうかったお金は、どこにあるのか」ということを常に考え、手元のキャッシュを増やすような経営をしていかなければなりません。

そのようにキャッシュベース経営に努め、手元に潤沢な資金を持つことで、企業を安定させるとともに、新たなビジネスチャンスが訪れたとき、思い切った手を打つことができ、新規事業を優位な立場で進めることができるようになります。​

稲盛和夫OFFICIAL SITEより引用

このようにキャッシュフロー経営は、現金つまりキャッシュを重視していく経営のことです。

会社の手元現金を増やすことを目的としているため、利益追求や節税また資金調達やリストラなど、全ては手元の資金を増やすための手段となります。​

今回は、今すぐにでも始められるキャッシュフロー経営のポイントについてご説明していきます。


キャッシュフロー経営が重視されている背景

近年、キャッシュフロー経営が重視されてきている背景は下記のとおりです。

黒字倒産の回避

利益とキャッシュフローでは数字として計上されるまでの時間差があるため、損益計算書の利益の数字だけでは会社が実際に持っている現金(キャッシュ)の量が正確に把握できません。​

そのため、経営者が正しい意思決定を行っていくためには、キャッシュフローを意識した経営が必要になってきます。​

このように現金(キャッシュ)を重視した経営のことを「キャッシュフロー経営」と呼びます。​

キャッシュ・フロー経営を意識することで、会社の体力である資金を増やしていくことができます。

資金を確保することは、利益を第一主義から一線を画すことになり黒字倒産を避けることができます。​


創業・スタートアップ企業は特に資金が必要

スタートアップ企業やベンチャー企業のような、広告や人材、システムへの先行投資を多額に行うような企業の場合、多額の先行投資によりレバレッジを効かせて将来キャッシュフローを獲得することを想定しているので、現在の投資キャッシュフロー(または営業キャッシュフロー)が多額の赤字に陥ります。

この場合においても、事業計画の中でいつ時点から黒字転換できるタイミングが来るのか綿密にモニタリングしながらライン決めをしていくことが最重要となります。

この時にもキャッシュフローを意識していくことで具体的計画が立てられるようになります。


キャッシュフロー経営を重視すべき企業

「利益は出ているのにお金は残っていない」​

「法人税ばかり発生するが自分の感覚とずれているが原因がわからない」​

​このような悩みをお持ちの経営者様は決して少なくありません。​

このような悩みをお持ちの経営者様が足りないのは、決算書を読み解く力でも税金の計算方法を知る力でもなく、「損益とキャッシュフローの違いを連動して理解する力」です。​

では、キャッシュフローを重視する経営判断は、どういった企業で行うべきなのでしょうか。​

ここで紹介する企業は、キャッシュフローを重視すべき企業の一例です。​

●創業期、スタートアップの企業​
●売掛金で現金の回収がおそくなる企業​
●資金繰りがいつも不安定な企業​
●仕入や設備投資が大きい企業


キャッシュフローを改善する具体的改善策

資金ショートを防ぐため、キャッシュフローを改善するにはいくつかの方法があります。​

中小企業を例に、キャッシュフロー改善の具体策を紹介しましょう。​

●クラウド会計を導入し、タイムリーに自社のキャッシュフローを確認​
●入金の早期化​
●債権回収管理の徹底​
●クレジットカードの利用​
●適切な借入金の活用​


クラウド会計を導入し、タイムリーに自社のキャッシュフローを確認​

●クラウド会計ソフトの導入
クラウド会計ソフトを導入すると、月次のバックオフィス業務(請求書の発行、債権管理、給与計算、支払管理等)と同時に会計処理を行うことが可能となります。

理由は、クラウド会計ソフトにおいてはそのソフト内でバックオフィス業務を処理するとそのデータが会計データに自動で連動し会計処理を行ってくれるためです。

例えば、請求書をクラウド会計ソフトで作成すると、自動で売上高と売掛金の計上の会計処理が行われるため、今まで手入力で行っていた売上高の計上処理が不要になります。​

●キャッシュフローをタイムリーに把握
結果として、クラウド会計ソフトを導入すると、早めければ月末にはその月のキャッシュフロー計算書を作成することが可能となるため、次月以降の資金繰り表作成がスムーズになります。​


入金の早期化​

●入金を早めてもらう
事業を経営する上では、「キャッシュ・インは早く、キャッシュ・アウトは遅く」が原則です。

商品・サービスを提供したら速やかに請求し入金の早期化を心がけましょう。

もちろん、相手先のあることですから無理に入金を早めることはありません。

ここで意識していただきたいのが、商品の納品やサービスの役務提供完了を早期化するということです。

例えば3月31日に納品し4月30日に入金期限を予定したものが、納品が遅れ4月3日納品となったため請求が4月30日となり入金が5月31日となってしまった場合だと入金が1か月も遅れてしまいます。

当たり前のことですが、納品や役務提供完了日をきちんと管理いくことで、着実にキャッシュフローは改善していきます。

経営者ではなくスタッフが納品や役務提供や請求書の発行を行っている場合には、特に管理を徹底していきましょう。


債権管理の徹底

売掛債権については、回収に遅れや漏れがないかを徹底的に管理する必要があります。

請求と実際の入金を、それぞれの明細で突き合わせを行い、消込をするなど、厳しいチェックを行うことが重要です。

また、支払期限を超過した債権については、時間の経過とともに回収が困難になりやすいので、回収の期限を超過した場合は、すぐに督促することも重要なポイントです。

取引先により毎月の入金は同じ時期であることが多いので、各々の取引先の入金のサイクルを把握することも大切です。​

​実際のところ、債権管理を徹底しただけでキャッシュフローが驚くほど改善された事例もあります。​

​基本的な事こそ、徹底して継続的に行うことが重要です。​


クレジットカードの活用

クレジットカード決済による支払いの場合、実際の支払日は翌月や翌々月になります。

取引が成立したタイミングで支払う現金払いと比較すると、支払いを後ろ倒しにできますので、キャッシュフローが改善されます。​

​即効性が高く、確実にキャッシュフローが改善できる方法ですのでぜひおすすめです。​

​クレジットカード会社ごとに、手数料や特典が変わってきますので複数のカードを検討してみることをお勧めします。​

​また最近では中小企業の決済業務を効率化し、資金繰り支援まで行うフィンテックのサービスが広がっています。

企業間で多い銀行振込や請求書払いをクレジットカードと同じように月1回の支払いに集約し高額決済に対応し、支出状況をリアルタイムで管理してくれるサービスもあり活用していきたいところです。​


適切な借入金の活用

●所要運転資金の計算
所要運転資金とは、企業が事業を進めていくために必要な資金です。​

企業の事業営業活動には、必要支出が発生します。企業で売上が発生するまでには、仕入れ費用ともいえる支出経費が必要です。​

しかし、事業活動に必要な支出と収入のタイミングはそれぞれ異なるため、支出と収入の動きにはタイムラグが発生してしまいます。

このタイムラグを調整するための資金が、所要運転資金です。​

​所要運転資金の算出方法は、以下のとおりです。​

所要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

●所要運転資金相当のキャッシュを確保する
所要運転資金が計算出来たら、所有運転資金相当のキャッシュが社内に蓄えられているかを確認します。

所有運転資金程度の資金は会社に保有しておくことを経営安定性の観点からもお勧めします。

実際にキャッシュが足りなければ借入金等で賄っておきましょう。

●金利よりも返済額を優先する
融資を受ける銀行を選ぶ際に、金利が安いよりも返済計画をきちんと立ててくれる銀行を選びましょう。

金利で銀行を選ぶよりも、適切な県債計画を一緒に立ててくれて、営業キャッシュフローの範囲内で返済額を設定してくれる銀行を選ぶことが大事です。

そうすることで、キャッシュフロー上の黒字体質を作ることが可能となります。


3か月間でキャッシュフロー経営に移行するステップ

では、実際にキャッシュフロー経営に移行していきたい場合、どのような流れで移行していくべきかを確認しましょう。

この手順を間違えると適切なキャッシュフロー経営にはなりませんのでご注意ください。

移行に必ずしも3か月かかるかはケースバイケースですが、ここでは一般的なスケジュールとして確認していきましょう。

実際の事例も含めて詳しく知りたい方はこちらの資料を無料ダウンロードして確認してください。


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