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シンガポールでSTAY@HOME番外編(一時帰国) 2023年11月11日~2024年1月11日

11月11日(土) 1日目
日本に到着。もしも飛行機が空席だらけなら、ゆったりとした旅ができるなと思っていたが、想像以上に混雑していた。加えて少し小さな機体だったためか、前後左右との距離が近い気がする。正直、結構窮屈だったが、この日程でしか飛べなかったのだから仕方がない。ちなみに、飛行機の乗客の大半は日本人ではなかった。クリスマスの時期の方が、旅行としては人気だろうと思っていただけに少し意外だ。もしかすると、紅葉も最近は人気なのだろうか。
乗客の内マスクをしている人は少数派の印象で、着用しない方が主流に感じる。搭乗した時点では、外国人が多いからだろうかと思っていたが、日本に到着してみても、マスクを身に着けている人は少ない。インフルエンザがかなり流行していると耳にしていただけに、着用が主流だろうと思っていた。そのため、日本の人が結構素顔を晒しているのは少し意外だった。
気温としては、ずっとSNSや友人から暑いといった話を聞いていた気がしたが、実際は涼しかった。個人的にコートを持ってきてはいたものの、念のためとしか思っていなかった。体感温度については、私が寒さに弱いせいだろうが、この位の気温ならもっと冬の衣類を持ってくればよかったと少し反省した。

11月12日(日) 2日目
昨日よりも、一層寒い。日本では毎日気温や天気をチェックしないと、衣類が選べないという当然のことを思い出した。完全に余談だが、シンガポールは毎日同じような気温で、そういったチェックをする必要はなく、日々好きな衣類を着られる。そのため、日本に来ても確認を怠りがちなのだ。
改めて道行く人の姿を見ると、誰も真夏や真冬のような格好をしている人はおらず、きちんと気温に合った服装を選んでいる。その手腕に、思わず舌を巻く。大袈裟だと思われそうだが、本気でそう感じるのだ。
昨日よりも一層寒くなったことで、マスクの着用率に変動があるかもしれない、と思ったが、こちらは特に変わりなかった。体調の異変が少しでもあれば、自衛策の1つとしてマスクを活用する人が多いと思っていただけに、正直少し意外だった。もしかすると、着用することで周囲に体調不良を意思表示する結果になるという、別の同調圧力のようなものがあるのだろうか。ただ、気温が日々変化するので、体調を崩す人も多いのは当然だと改めて感じる。新型コロナウイルスに加えてインフルエンザが流行るのも、こういった温度の変動があるという背景があるからだろう。明日以降も、気温のチェックは欠かせないと感じている。

11月13日(月) 3日目
昨日でも寒いと思っていたが、一層寒い。秋という感覚を忘れかけている身としては、最早冬のように感じてしまうレベルだ。幸い暖かくして過ごせたが、この調子では体調を崩しかねないと実感する。自分の体調や体感温度に意識を払う重要性を、今回日本に来てから毎日感じている。昨日の記事にも書いたが、本当にこの作業を毎日こなす日本在住の人はすごいと思う。
テレビを点けると、福岡は今日非常に寒いらしい。どうやら、この寒さは普通ではないようだ。普段この時期に日本に居ない身としては、その辺りは分からないが、もう少し暖かかったら良かったのにと思ってしまうのも事実だ。
防寒対策はしっかりと行いたい一方で、新型コロナウイルスの観点から簡単に洗える衣類を着用したいという気持ちもある。以前はウールが入ったセーターやマフラーなど手洗いが必須なものも着ていたが、今は衛生面から洗濯機で丸洗いできるものという意識の方が強い。今回の滞在で買い物する際、店で最初に確認するのは洗濯表示だ。どれだけ気に入った商品であっても、手洗いやクリーニングが求められる商品は避けたい。
新型コロナウイルスの流行で、着たいと思う服の種類が変わったという実感は既にあった。それが冬服でも同じなのだと、日々実感している。

11月14日(火) 4日目
今日は一段と寒いかもと思っていたが、私が滞在していた地域は幸い昨日よりは暖かかった。日本に居る間に行きかったところの1つに、酒蔵がある。前回の帰国では訪れたかったのだが、結局行きそびれてしまったのだ。今日はリベンジとして、行ってきた。今の時期は、ひやおろしという秋に出回る日本酒もある。訪れた酒蔵でも取り扱いがあったので、純米酒と合わせて購入した。まだ開封していないが、店内で試飲させてもらったところ、しっかりとしつつも米の味が楽しめる、かなり好みの味だったので楽しみだ。ちなみに純米酒の方は試飲していないため、よく分からない。しかし、きっと美味しいと期待している。
酒蔵もその後に家族で訪れた飲食店も、店員はマスクを着用していた。やはり食品を扱う業種の人は、身につける場合が多いのだろう。シンガポールではマスク着用が撤廃されたというニュースを見た覚えがないものの、付けていない人もちらほら居る。今日見たことが全てだと言うつもりはないが、厳しい規則のない状況でも社内のルールとして着用しているであろう日本人は、はやり生真面目だなと感じた。働く方は大変かもしれないが、衛生面が気になる身としては、こういった姿勢は有難い限りだ。


11月15日(水) 5日目
ショッピングモールに訪れたところ、色々なテナントではクリスマスソングがかかっており、年末に向かっていることを突きつけられる。ただ、気温としては昨日よりも暖かいらしく、沁みるような寒さはない。
スターバックスに立ち寄って、期間限定と書かれていたミルクティーのストロベリーメリークリームティーラテを注文。本当は他にも気になるメニューがあったのだが、店員の「もうすぐ終了すると思います」という1言で、このドリンクを選んだ。注文時に空のマイボトルが手元にあったので使えるか尋ねたところ、可能とのことで少し嬉しかった。
一時期シンガポールでは新型コロナウイルスの影響で、このサービスが中止になっていた。少しではあるものの安価になるため、個人的には好きだっただけに、仕方がないとはいえ残念だと感じた覚えがある。もちろん今では復活しているが、日本もそういった頃があったのかもしれない。
ちなみにストロベリーメリークリームティーラテは、名前の通りイチゴが感じられる仕上がりだった。加えてホットのため、ほっこりできる味わいでもある。シンガポールで販売されているトフィーナッツラテ同様に、外の気温とは関係なく冬がやってきていることを改めて実感した。

11月16日(木) 6日目
テレビのニュースを見ていると、今日はボジョレーヌーボーが解禁日だと流れてきた。そういえば、ショッピングモールやデパート内にある酒類を扱う店で、大々的に宣伝しているのを見た覚えがある。時差の関係か、シンガポールではあまり話題にしている店は少ない印象だ。そのせいか、私自身もあまり日付を注意深く追っていなかったのだ。しかし、折角日本に居るのだから、季節の風物詩は味わっておきたい。どこかで、購入できればと思う。
ニュースといえば、インフルエンザの流行も報道されていた。どうやら、新型コロナウイルスの流行が始まって以降では初めてのことらしい。確かに、ここ数年は例年と比べてあまり意識していなかった気がする。今後は、以前と同じくらいの流行はあると思った方がよい、といったことも番組内で専門家が話していた。再度感染が広がってきた理由はよく知らないものの、それだけ以前と同じ生活や環境になりつつあるということなのかもしれない。
10月の時点でインフルエンザが日本で流行していると耳にしていたので、シンガポールで接種してきた。今日のニュースを見て、打ってきて良かったと感じている。ただ、新型コロナウイルスの台頭で、インフルエンザが駆逐された訳ではなかったことも再確認した。


11月17日(金) 7日目
日本に到着して何日目だったか忘れてしまったのだが、ユニクロに行った。買いたいサイズは決まっていたが、念のため着て確認しておきたい。試着室に行くと、先ほどまで誰かが入っていた部屋を店員が清掃している。思わず「毎回掃除されるんですか?」と尋ねると、笑顔で「お客様に気持ちよくご利用していただきたいので」との返事。客としては嬉しい限りの回答だが、店員の負担を考えるとかなりのものではないかと思う。ちなみに、シンガポールのユニクロはこういったシステムにはなっていなかったと記憶している。どちらにも利点はあると思うので、ここで優劣を付けるつもりはない。ただ、あまりに衝撃のサービスだったというだけの話だ。
先日、新型コロナウイルスの流行が始まった当初の激務で、過労死したというサービス業の人の報道を見た。2020年の春頃はついつい医療従事者の方にばかり目がいっていたが、確かに飲食店や小売店も色々な対応に追われたはずだ。特にシンガポールのような明確なルールが敷かれなかった日本では、現場や個々の会社で判断する部分が大きかったのではないかと推測する。今更ではあるが、色々な業態の人が翻弄され、現在もその地続きに居ることを実感する。


11月18日(土) 8日目
日本の滞在と直接関係ないのだが、noteのストックが底を尽きそうで焦っている。実は今までの帰国は日数が予め決まっていたため、事前に全ての記事を書いてから渡航していた。しかし、今回は大まかにしか予定がない上に、結構急に飛ぶことになったのだ。そのため、十分に記事を作る時間もなく、時折書き足している。できるだけ本当のことを書いているが、シンガポールに居るフリをしているため、一部は嘘が入る。今のところ、それ程大きな問題はないものの、日数が長くなればなる程事実と虚構のギャップが大きくなり、書きづらくなるのだろう。
そういった事態になることが目に見えているため、この連載はいつまですべきなのだろうか、という疑問は常にある。また、シンガポールでは多くの人がマスクを外し、普通の生活を送っているという現実も、その問いに拍車をかけている。ただ、医療機関等マスク必須の場所や職種も未だに存在しており、全てが過去のことだと断じるのも早計に思える。結局、十分に書ききったと思えるまでは続けようと、いつもこの疑問に対して自分に答えている。
もちろん毎日が事件だと記録としては、充実したものになるとは思う。しかし、何も無い日を記しておくことも現実として大切と考えている。書きづらさの結果、ぎこちない日があったとしても、やはり続ける以外私に選択肢は今のところない。

11月19 日(日) 9日目
テレビで、ベーシックインカムの話題が取り上げられていた。出演者たちは一応議題になっているからそれぞれ意見を主張してはいたが、誰も「導入しよう!」と積極的な様子には見えなかった。私も、導入は不要だと思うので何となくその雰囲気に頷いてしまう。
出演者の1人が「ベーシックインカムが導入されたら、国民皆保険がなくなる」といった話をしていた。個人的にはこの点が大きい。日本で暮らしていると、風邪をひいて病院にかかっても1回の診療は数百円~千円程度だと思うが、シンガポールでは大体2万円くらいかかる。病院を全く利用しない人にとっては、ベーシックインカムの方が良いのかもしれないが、保険の安心料には代えられないのではないか、と思ってしまう。
新型コロナウイルスの流行以降、医療従事者の大変さはよく取り沙汰されるようになった。世界中どこの国でも、ここ数年間は大変だったと思うが、国民皆保険制度で日本はひときわ大変だったと推測する。その意味で、もしもベーシックインカムが導入されたら、恐らく病院への足は遠のく人が多いと思われるので、医療従事者は少し楽になるのかもしれない。ただ、それを期待して導入するのも何か違う気がしている。


11月20日(月) 10日目
セブンイレブンでホットコーヒーを買おうとしたら、ブルーマウンテンが売られていた。普段は紅茶党なのであまり詳しくはないが、どのような物でも「数量限定」と書かれてしまうと弱い。早速母と購入しようと、棚に置かれていた空のカップをレジに持っていく。すると店員に「そちらはディスプレイですので……」と申し訳なさそうな顔をされてしまった。本当のカップはレジの奥から登場し、私達は手にしていたカップをそっと戻しにいった。日本での滞在も10日目となり、かなり慣れてきたと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
会計を終えて、コーヒーを飲みながらふと、シンガポールだったらどういったディスプレイになっただろうかと考えてみた。恐らく、棚や商品に「Sample(見本)」と大きく書かれたり、場合によっては棚に固定されたりしていただろう。私のように勘違いする人が出ないような対策という意味では有難いが、先ほどのセブンイレブンのような整然とした興味をそそられる雰囲気は全くない。その結果、今日のように買ってみようとすら思わなかった可能性すらある。
ディスプレイといえば、新型コロナウイルス流行直後の化粧品売り場も大きなラップのようなもので商品がカバーされていた。誰も手に取らないための工夫で仕方がないとはいえ、美しくなかった。分かりやすさと美しさというものは、なかなか両立しないのかもしれない。


11月21日(火) 11日目
日本はやっぱり寒い。特に朝晩の冷え込みは、南国から来た身には厳しい。このまま、どんどん寒くなることを考えると、耐えられるのか不安に感じる。加えて困るのが、空気の乾燥だろう。肌の乾きも厄介ではあるものの、1番気になるのは眼だ。元からドライアイであり、シンガポールでも結構目の乾燥を感じる上にそれが頭痛や吐き気に発展しがちなので、ケアを怠らないように注意したい。ただ、空気が乾燥することで問題になるのは、目や肌だけではない。
それ以上に個人的に気になるのは、やはり新型コロナウイルスや再び猛威をふるい始めたインフルエンザだ。空気が湿っているよりも、乾燥していると感染しやすいと耳にしたことがあるためで、マスクの必要性をシンガポールよりも感じている。付けた方がいいと考えている人が多いのか、着用率もシンガポールよりも高い印象だ。ちなみに、1年を通して空気が乾燥する時期は、シンガポールにない。
日本に来てから頻繁に繁華街へ外出している訳ではないが、感染リスクが高いであろうこと思うと一層足が遠のきそうだ。ただでさえ、気温の変化に対応できていないと思っているので、体調を崩す可能性は普段よりも高い。どちらの感染症に対しても予防策を取りつつ、一時帰国を何事もなく過ごしたいものだ。




11月22日(水) 12日目
昨日と今日、日本の最高気温は高い。テレビによると、10月中旬並みとのことで過ごしやすいのも頷ける。ただ、この状態がいつまでも続く訳もなく、後数日もすれば急激に寒くなるとも報道されていた。特に最低気温は4度や5度にまで落ちるとのことで、聞いているだけで朝起きられるのか不安になるレベルだ。一応その番組では「マフラーや手袋を含めて真冬の格好」を推奨していた。ただ、南国のぬくぬくとした気温に慣れ切った身体では、それでも外出できるのか不安を覚えてしまうのも事実だ。
しかし、懸念事項は最低気温だけではない。最高気温や室内との温度差も個人的には課題だ。日本に住んでいた頃から、外の寒さに合わせて服を選んでは、屋内で汗をかくという何とも本末転倒なことをしばしば行っていた。現時点ではまだ起きていないが、今回の帰国でも同じようなことをしそうだと危惧している。
無意味に汗をかきたくないのも理由だが、1番気になるのは汗が冷えた後だ。寒さを覚えて風邪をひいてしまっては全く意味がない。加えて、それが風邪ではなくインフルエンザや新型コロナウイルスだったら一層嫌だ。冬は感染リスクが高いとよく言われるが、その要因は至る所に転がっているのかもしれない。


11月23日(木) 13日目
今日は勤労感謝の日だった。特別に何かをした訳ではないが、祝日というのは嬉しい反面リズムが崩れるような部分がある。その意味では微妙だなあと思いながらテレビを観ていると、ブラックフライデーのセールのコマーシャルが流れてきた。それも1か所ではないので、かなり日本で浸透しているのだなあと実感する。余談だが、勤労感謝の日に関するコマーシャルは全くなく、それはそれで少し違和感があった。
話を戻すと、ブラックフライデーは明日で、セール自体もそれに合わせて開始される所が多いようだ。個人的には、日本で盛大なイベントとして認知されていた覚えがなかっただけに戸惑いもある。しかし、お祭りごとは多ければ多い程楽しいと思うので、皆がワクワクする機会になっているならそれで良いだろう。
ただ、何となくセールの対象となる商品がシンガポールとは違うような気がした。日本の場合、自分に向けたご褒美という意味合いが強そうな印象を受けたが、シンガポールではギフトになりそうな物が割引されているイメージだ。例えば紅茶ブランドのTWGでは例年、缶に入った紅茶が3本まとめて購入すると安くなる、といったキャンペーンを実施している。自分宛てなら缶代が浮く分袋入りを買う人が多いと思うので、誰かへのプレゼントとしてのセールだと捉えて良いと思う。日星の違いは、クリスマスの祝い方にも関わっているのかもしれない。

11月24日(金) 14日目
日本で過ごし始めて2週間が経過した。新型コロナウイルスとは全く関係がないが、今回の帰国では、脱ペーパードライバーを目指すべく運転の練習をしている。お陰で、日常的に運転するようになった。まだ行ける所は少ないが、それでも行動範囲が広がっているのは嬉しい。加えて、運転するようになってから、自分にも1つの変化が生まれた。
実は新型コロナウイルスの流行が始まってから今まで、1回でも外出すると、どこかにウイルスが付いているような気がして、風呂に直行しないと落ち着かなかったのだ。ただ、どういう訳か日本に来てからそこまで抵抗感がない。当初はここが自分の家ではないからだろうかと思ったが、それよりも思い当たる理由が見つかった。前述したように自家用車で運転して買い物に行くことが、増えたことだ。
店自体は確かに外に違いないのだが、その道中が公共交通機関ではない。その結果、自分の中で無意識の内に「外に居る」と思っている時間が短くなっているようだ。多分、車のことを家の延長だと捉えているのだろう。今までペーパードライバーだった私にとって、これは大きな発見だ。
今まで祖父母が「車で少し行ってきただけ」と言っても、その感覚が分からなかった。しかし、運転するようになってようやくその意味が分かった。それでも外のウイルスの数が変わる訳ではないので、あまり緩め過ぎないように気を付けたい。


11月25日(土) 15日目
最近、寝る時の寒さに困っている。断っておくと、寝具が足りないといった話ではない。寒さに弱い私でも快適に寝られるように、それなりに布団を重ねている。しかし、私の寝相の悪さがそういった対策を凌駕するのだ。
昔から寝相が非常に悪い。子どもの頃は、大人になれば治ると信じていたが、その夢もかなり前に潰えた。それでも生活に支障がないのは、シンガポールの暖かい気候のお陰だろう。年中30度前後の気温のお陰で、いくらブランケットを蹴散らそうが風邪をひくことはないのだ。
日本に住んでいた頃は、徐々に気温が変化するからか、それとも気温の変化に順応していたのか、就寝中に寒いと思った覚えはあまりない。何がかつてと違うのか今一つ判然としないものの、1度寒いと思ってしまったら無視できない。何か早急に手立てを考える必要がありそうだ。
ふと、世の中の人はどのような格好で寝ているのだろうと思う。着込めばその分暖かいが、服が中で皺になると違和感があってむしろ不快になる場合もある。また、布団を積み重ねるにしても重くなるし、私のように寝相が悪いと、布団がズレていくという問題も発生する。結局、どの選択肢も綺麗に問題を解決してくれそうにないのだ。
ただ、放置して何かしらの感染症に罹るのは困る。妥協案としか思えなくても、何かしらの手立てを早急に打つ必要がありそうだ。


11月26日(日) 16日目
先日、ステイケーションを楽しむべく、とあるホテルに宿泊した。予約時に誕生日である旨を伝えていたところ、部屋のグレードをアップしてくださったのだ。確かにちょっといいお菓子とかお茶がもらえたら嬉しいな、とは思っていたが、まさか部屋がより良い物になるとは想像していなかっただけに驚いた。母とワクワクしながらドアを開けると、スイートルームだった。
大きなソファが設置されたリビングとセミダブルが2つ入った寝室がある上に、水回りはかなり新しい仕様になっている。加えて、窓の外には中庭のようなものが見えた。元々は少し良い部屋を予約しており、それでも十分に楽しみだっただけに、完全に頭はキャパオーバーを起こした。広々とした部屋はどこに居たら良いか分からず、しばらく端の方に座っていた有様だった。幸い、途中で「楽しむしかない!!」と思えたので、その後は存分に満喫した。
部屋を見た時点でかなり驚いたので、滞在し始めて2時間位が経過した時点で、もうびっくりすることはないと思っていた。しかし、甘かった。浴室も、凄かったのだ。一見普通の造りなのだが、物凄く人の動線が考えられているようで非常に使いやすい。浴槽も寝やすい角度で、気持ちよく浸かることができる上にサイズも少し大きめになっている。
正直、浴室はどこも似たようなものというイメージだった。しかし、実際には慣れてしまっているだけで、改善点はあったと今回のホテルで実感した。結果として、何もかもが凄い部屋だった。

11月27日(月) 17日目
寒いだろうと思って、かなり着込んで外出したところ暑かった。駅まで歩く途中で汗が滲んできて、コートだけでなく上に着ていたセーターも脱ぐはめになったのだ。着脱できるので、気温には対応できるものの、持ち歩く物が増えるのは面倒だなと思ってしまう。加えて、どこかに忘れ物をするリスクが上がるのも嫌だ。本当は、1枚着脱するだけで温度に合わせられたら理想だが、おそらくそれは難しい。結局仕方がないと思いながらも、その点に納得できない自分は、日本での暮らしの感覚がかなり薄くなってきていると実感する。ちなみにシンガポールは年中同じような気温のため、冷房が効き過ぎた屋内に対応するためのカーディガンさえあれば事足りる。楽すぎる気候に慣れてしまった私には、日本の普通がなかなか難しい上に面倒なものに思えてしまうのだ。
しかし、その一方で日本にしかない楽しみもある。言うまでもなく、セーターやコートといった冬服を着ることだ。いくらシンガポールのエアコンが強くても、こういったものが登場することは基本的にない。そのため、日本のファッション誌を読んだり、SNSに投稿されたりした写真などからトレンドを知っても、自分には無縁のものでしかない。どれほど可愛いと思うようなアイテムでも、使い道がなければ意味がないが、一時帰国中は違う。きちんと、それらの服を使いこなせるはずなのだ。
そう考えると、着る物に文句を言っている私は、贅沢なのだろう。折角の機会を大切にいながら、もっと日本での滞在をたのしもうと思う。



11月28日(火) 18日目
とある市場を歩いていると、緑茶を専門に扱う店を発見した。普段は紅茶ばかり飲んでいるが、緑茶に関心がない訳ではない。おすすめを聞いて、玉露を買ってみた。決して安くはなかったが、シンガポールで同じクォリティの茶葉を入手しようとすれば、確実に2倍以上の価格になるという考えもあり、気づけば即決していた。
店員によると60度以下の湯か、冷水で抽出すると良いそうだ。氷もおすすめとのことだったが、気温を考えると少し寒い。ちなみに、緑茶がだしのような味わいがしたら抽出に成功している指標らしい。
帰宅後、早速試してみた。葉が真緑で、水に浮かぶ様子が綺麗だ。インクルージョンの入った、水晶にも似ている。教わった通り、1分抽出を待ってから、湯呑に注ぐ。しかし、水を入れすぎたようで、全く色が付かなかった。一応飲むと豊かな風味が感じられるものの、出汁とは思えない。その後、水の量を減らして再度試してみると、少し昆布から取った出汁のような味わいがした。どうやら、最初よりは上手くいったと言えそうだ。
まだ2回程しか淹れていないが、紅茶とは勝手が違うため、まだ慣れない所が大きい。茶葉は100g入りのため、すぐ飲み切ることはないと思うものの、早い所コツを掴みたい。


11月29日(水) 19日目
前々から訪れてみたかった、喫茶店に行ってきた。平日の午後ならそれなりに空いていると思ったが、結構賑わっている。ただ、席と席の間隔が広めのお陰で、静かな雰囲気だ。折角なので昼食もとることにして、サンドイッチとデザート、それに名物のコーヒーを注文。普段は紅茶派のため、店員にアドバイスをもらいながら、オーダーを終えた。
しばらくすると、コーヒーが最初に運ばれてくる。この店では抽出方法も選択可能で、私はマイルドな味わいが楽しめるというプレスを選んだ。別のコーヒーを選んだ母のものと比べてみると、香りも色も異なっている。実際に口をつけると、私のがかなりまるい味わいなのに対して、母のはかなり酸味が立っており、食事や重めのスイーツに合いそうな印象を受けた。その後に運ばれてきた料理や菓子も美味しく、すっかり気に入ってしまった。母は、店で売られているコーヒー豆を購入していた。私は抽出方法をよく知らないが、ご相伴に預かろうと思っている。
今回はどのような店かよく分からないまま訪れたこともあり、パソコンやiPhoneのキーボード等の執筆道具は持って来なかった。しかし、次回の来店時には必ず持参したい。ゆったりとした空間で文章に向き合う時間は、きっと普段以上に楽しいものとなりそうだ。




11月30日(木) 20日目
先日SNSのXを見ていると、児童書を購入して寄付するブックサンタという活動が流れてきた。昨年はイラストや小説をアップして交流するウェブサイトpixiv上で、ブックサンタが開催した作品を投稿したらその分募金されるというキャンペーンに参加した。しかし、今年は日本に居る。折角なら実際の本を贈りたいと思い、少し調べてみた。
実店舗の場合、自分で選書して会計時にブックサンタとして買いたい旨を伝えたら良いらしい。公式ウェブサイトによるとかなり多くの書店が参加しており、私が滞在しているエリアでも比較的簡単に実行に移せそうだ。ちなみに、ブックサンタという名前からこの時期限定だと思っていたのだが、どうやら年中活動しているらしい。知っていたら、昨年も帰国時に参加できたなと今更ながらに思う。
参加しようと決めたのは良いが、どういった書籍を選べばよいだろうか。9~18歳を対象とした本とは書かれているものの、年齢の幅が広い上に個々人の好みもある。どうせ贈るなら、喜ばれたい。色々と考えた結果、自分がその年代の頃に好きだった小説にしようと決めた。ただ、中には廃盤になっているものもあると思うので、店頭で最終的には決めるつもりだ。誰かが楽しいと感じてくれることを願いながら、選書しようと思う。


12月1日(金) 21日目
昨日の記事に書いた、本を購入して寄付するブックサンタに参加してきた。贈りたい本はある程度決めておいたのだが、いざ棚の前に立ってみると、私が慣れ親しんだいた本の大半がない。断っておくと、ニッチな選書はしていないと思う。ただ私は小中学生の頃、翻訳物が好みだった。以前、真偽は定かではないものの、日本語で元から書かれた書籍よりも、廃版になりやすいと耳にしたことがある。今日の棚の様子を見る限り、あり得ない話ではないのかもと感じる。
予め立てていたプランが使えそうにないため、本棚を眺めながら練り直す。もちろん、私が好きな本という方針は変えない。いくら予定変更になったとはいえ、知らない本を贈るのは気が引けるからだ。また、できるだけ1冊で物語が完結している物という点も、変更しないことにした。個人的には好きなシリーズもあるものの、それを全て贈るのは少しハードルが高い。最初の1冊だけを贈ることも考えたが、2冊目以降が読めないストレスは異常なので、中途半端なことは最初から辞めた方が良いと思ったのだ。
最終的に、アストリッド・リンドグレーン「名探偵カッレくん」、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「ハウルの動く城」、柏葉幸子「天井うらのふしぎな友達」の3冊に落ち着いた。最近の作家さんの方が好まれたかな、という思いはあるが、個人的には全て大好きな作品だ。どこかで、誰かが楽しんでくれたらと願うばかりだ。


12月2日(土) 22日目
本の通販サイトhontoがサービスを終了するらしい。電子書籍としては残るとのことだが、個人的には衝撃的なニュースだ。
恐らくこの記事を読んでくださっている中には「別にAmazonでいいじゃん」と、思う人もいると思う。実際、私も数年前までは同じように考えていた。しかし、両者には決定的な違いがある。
学術書の品揃えの充実度合いが、全然違うのだ。私自身がそれに気づいたのは、シンガポールから近畿大学の通信学部が開講する司書コースを受けたときだった。日本在住のように図書館で調べ物ができないため、教科書はもちろんのこと参考文献も揃えることに決めたのは良かったが、全然Amazonで見つからない。一応中古なら見つかる場合はあったが、万が一ルール等が変わっていたらレポートを書くのに支障が出る。いくら安価であったとしても、そういった事態は避けたかった。そのとき、ふと思い出したのがhontoだった。
正直、調べるまでは大差ないと思っていたが、hontoで見つからない本はなかったと記憶している。数年前の出来事なので、記憶が多少美化されている可能性はあるものの、流石丸善ジュンク堂書店のグループだなと感心した。
私は帰国の度にhontoのウェブサイトを利用する、といった利用者ではないため、今回のニュースを惜しむ資格はないのだと思う。それでも、大手の書店がサービスの幅を変更するというのことに、今も動揺が隠せない。


12月3日(日) 23日目
近所のコンビニでコーヒーを買った。マシンでの抽出を待っている間、なんとはなしに外の駐車場を見ると、明らかに改造が施された軽自動車が止まっていた。普通のそれよりも圧倒的に高くなっており、車輪がむき出しだ。少し前に札幌で起きた事故を、思い出さずにはいられない。
帰宅後にインターネットで調べてみると、軽自動車の車高は2mまで法律で許容されているそうだ。しかし、参照した記事によると、元よりも高くすればするほどバランスが悪くなり、運転しづらい状況になるとも書かれている。特に直前や直左が見づらくなるとのことで、仮に合法的であっても、あまりすれ違いたくない車だと思ってしまう。ちなみに、私がコンビニで見た車は、当然ながら高さなどをメジャーで計測した訳ではないため、結局合法なのか不明のままだ。
さて、改造車に心象が良くないといった話を書いてきたが、法律が許す範囲なら、私の感想は全くどうでもいい。ただ同じような意見を持つ人が居るとすれば、時勢的に冷たい目で見られる回数は増えた可能性は否めないように感じる。そう考えると、問題のない改造車に今まで乗ってきたドライバーはどう思っているのだろう、と思考を巡らせてしまう。何事にも言えることだが、誰かが良くないことをすると、全体のイメージが悪くなる。今日私が見た光景や感じたことは、まさにそれだったのだと思う。

参考文献
自動車情報・ニュースWEB CARTOP「『シャコタン』は限界があるけど『シャコアゲ』は青天井? クルマはどこまで車高を『アゲ』てもいいのか」(2023年12月3日23時51分閲覧)
「シャコタン」は限界があるけど「シャコアゲ」は青天井? クルマはどこまで車高を「アゲ」てもいいのか | 自動車情報・ニュース WEB CARTOP - 2ページ目
C.L.LINK シーエルリンク ジムニー カスタム専門店「リフトアップ時の直前直左視界の確保について」(2023年12月3日23時53分閲覧)
リフトアップ時の直前直左視界の確保について | C.L.LINK シーエルリンク ジムニー カスタム 専門店 (cl-link.com)
Yahoo!ニュース「タイヤ直撃女児渋滞で『改造社全面禁止』『渋谷の事故と同じ』憤慨の声…専門家は『ワイトレが原因の可能性』」(2023年12月3日23時37分閲覧)
タイヤ直撃女児重体で「改造車全面禁止」「渋谷の事故と同じ」憤慨の声…専門家は「ワイトレが原因の可能性」(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース


12月4日(月) 24日目
先日訪れた喫茶店に、再度行ってきた。今回は少し早めに訪れたので店内には空席もあり、窓際の景色が良い所に座れた。前回同様にコーヒーとサンドイッチ、それにケーキを注文。ただ、コーヒーは同じ豆をペーパードリップで抽出したものと、フレンチプレスの両方を頼んで飲み比べてみることにした。運ばれてきたカップを覗くと、色が全く違う。ペーパードリップが澄んだ色をしているのに対して、フレンチプレスはココアのようにとろみのある風合いなのだ。飲んでみると、色の違いは味にも表れていた。クリアなペーパードリップと雑味も楽しむフレンチプレスといった印象で、個人的には後者が好きだった。
お茶には水出しとお湯出しといった温度の差はあっても、基本的に抽出方法に選択肢はない。普段紅茶が好きで楽しんでいるが、この点だけはコーヒーが羨ましく感じる。また、この辺りが気になり始めたら、きっとコーヒーの世界に足を踏み入れた合図なのかもしれないと思う。今のところ淹れ方が分からないため、本格的に好きとは呼べないが、このままだと紅茶だけでなく珈琲にまで小五月蠅い人間になりそうだ。
自分とコーヒーとの対話に熱中していたが、ふと店内を見渡すと多くの客が会話を楽しんでいる。一時期はパーテーションで区切られるのが当然という頃があったことを考えると、規制緩和されて良かったと思う。私も、もう少し目の前に座っている母との会話を楽しもうか。

12月5日(火) 25日目
会員制の大型スーパーである、コストコに行ってきた。個人的には便利に感じるが、どういう訳かシンガポールには上陸していない。多くの土地が必要なため、多分オープンしたところで採算が合わないのだろう。
話が逸れてしまったが、スタッフが配置されていても、なかなか目当ての商品が見つからないレベルで店が大きいのだ。加えて、スーパーで見かける陳列棚の上にある「調味料」などの看板もないため、探すのが一層難しい。何度も通い慣れた人ならすぐに商品が発見できるのだと思うが、滅多にいかない私のような人間には至難の業だ。ちなみに、欲しいのはトイレットペーパーだった。
何度か同じ通路を行ったり来たりしたものの、やっぱり見つからない。加えて、近くに店員の姿も見えない。どうしようと考えた結果、トイレットペーパーをカゴに入れている他のお客さんに尋ねることにした。近寄っていくと当然ながら、怪訝な顔をされる。知らない人が店で近寄ってきたら、誰でも微妙な表情になるだろう。加えて、個人的に新型コロナウイルスの流行が始まってしばらくの間は、ソーシャルディスタンスやマスクの影響で他人と会話することが激減していた。日本でも、同様のことが起きているのなら、他人から話しかけられるのは敬遠されるかもしれないという気持ちもあった。
しかし、事情を説明すると相手の方は分かりやすく私に説明してくださった。本当に有難い限りだ。人の優しさに触れると、本当に嬉しくなる。


12月6日(水) 26日目
郵便局に所用で訪れると、閉局のお知らせが貼られていた。あまり大きくないので、その意味では仕方がないとは思う。ただ、何かが終わるお知らせというのは、どういう物であっても寂しい。
中に入り、送りたい品物であるコーヒー豆をカウンターで見せると「このお店ってどこですか?」と、尋ねられた。今年に開店した近所のカフェであることを伝えると、知らないとのことで場所を説明するも、私の説明が悪くて上手く伝わらない。気づけば、そのカフェの従業員でもないのにグーグルマップを開いて見せたり、電話番号を教えたりしていた。興味がおありとのことだったので、ぜひどこかのタイミングで訪れて欲しいなと思う。
普段はシンガポールに暮らしていることもあり、こちらの局員とは顔見知りとすら呼べないレベルだ。それでも、お気に入りのカフェの話をするのは楽しかった。それだけに、この郵便局が閉まってしまうのは残念でならない。もちろん、話が楽しくても私だって毎日行く用事がある訳ではないし、そもそも採算が合わないのなら仕事として成り立たないのだから仕方がない。それでも、どこか寂しさを感じてしまう。
長らく年賀状も書いていないため、郵便局への用事はもうないかもしれない。でも、できたらもう1度閉局前に訪れたいとも思ってしまう。


12月7日(木) 27日目
日本に帰国して、自動車を運転するようになり、大体3週間が経過した。教習を受講したとはいえ、元々がペーパードライバーのため、まだまだ滑らかな運転とは言えない部分も多い。個人的にネックになりやすいのは、トラックと遭遇したときだ。
普通の乗用車だったら、譲ってくれると期待する場面でも、基本的にこちらの車が眼中に入っていないかのように運転するのだ。最初は嫌な感じのドライバーだなと思ったのだが、別のときにも似たようなことがあった。その結果、積荷の多さや車体の大きさといったトラックの性質上、それしかできないのではないか、と考えを改めるようになった。
しかし、考えが変わったところで私のドライブテクニックが急成長する訳ではない。トラックが視界に入っても、焦らないように一層慎重に運転する他ないのだ。
考えてみると、他の場面でも前は緊張していた。何度か同じ道を通り、徐々に慣れてきたのだ。そのことを考えると、いつかトラックを見ても平気になる日は来るのだろう。ただ、漫然と運転していてもその日は遠い。下手したら、ずっと来ないかもしれない。トラックとの遭遇は運でしかないが、運転を続けることで、いつでも冷静さを保てるようにしたいものだ。


12月8日(金) 28日目
時折行く繁華街で、寿司屋を見つけた。以前にはなかったと思いながら暖簾をくぐると、席に案内された。カウンターに設置されたQRコードを読み込んで注文するシステムとのことで、早速スマホを取り出す。この方式はシンガポールでも新型コロナウイルスの流行以降一般的になったので、別段驚きはない。しかし、日本はあまりこういった方法の導入には否定的なイメージがあっただけに、最初発見したときは驚いたものだ。そのようなことを考えながらカメラで読み込むと、メッセージや通話機能があるLINEが立ち上がった。どうやら、ともだち登録をすることで、注文できるようになるようだ。今まで主にシンガポールでQRコードの読み取りは何度もやってきたが、LINE1と連動しているのは初めて見た。
注文時にはサファリが別途開くようになっており、直接LINEとは関係ないように見える。ただ店を出た後によく見返すと「LINE ミニアプリ お知らせ」という所に、先ほどの店名と訪れた日時がメッセージになって入っていた。人によっては、後で再び行きたくなったが店名が分からないときに使えそうだ。また、店側としても全く新しいサービスを導入するよりも簡単なのかもしれない。
実を言えば、シンガポールで日本人及び日本語話者以外で、LINEを使っている人を見たことがない。そのため、通信手段しかないと思っていたが、今回の一件でその認識を改める必要があると実感した。


12月9日(土) 29日目
車を運転するようになり、基本動作はある程度分かってきた。ただ、オプションで付いていると思われる機能のいくつかが分からない。元々の所有者である祖父に尋ねるも、内容によっては「さぁ」という返事しかなく、結局説明書とにらめっこする他ないようだ。
今まで色々な機械の説明書を見てきたが、大体がホッチキスで止められた薄い冊子の印象だ。そのため、自動車も大して変わらないだろうと思っていた。しかし、私の認識はどうやらかなり間違っていたらしい。祖父から手渡されたそれは、薄めの文庫本位のあつみがある。見た目の時点で既に怯みかけたが、ここで引き下がっていては問題が解決しない。意を決してページをめくり始めた。
何となく使っていた機能も、改めて読むと分かる点が多い。その昔教習所で免許を取得したときよりも、格段に使いやすくなっている印象だ。ただ、不明だった点の全てが解消された訳ではない。もしかしたら、車の販売店に尋ねた方が早いのだろうか。丁度、用事があるので、その際に尋ねてみようと思う。
車が機械化してきていることは理解していたものの、最近までペーパードライバーだったため実感がなかった。それが運転するようになり、その時流をようやく感じている。押し流されないよう、ついていけるよう努力しようと思う。


12月10日(日) 30日目
今日で、日本に来て1カ月が経過した。到着してからの日々を振り返ると、繰り返しが多いこともあり、もう1月が経ったのかという気持ちがある。その一方で毎日気候の変動が激しすぎて、その意味ではまだ1月しか過ぎていないのか、と思ってしまうのも事実だ。その結果、日々着るものに試行錯誤していただけで1カ月が過ぎたようにも感じてしまう。
新型コロナウイルスの流行以降、冬に帰国していなかったせいか、日本の冬に未だ慣れない。今年が異例なのか、比較的例年通りなのか、それすらも分からないのだ。多分、慣れてくる前にまたシンガポールに戻ることになるのだろう。四季がある日本で滞在する以上、仕方がないと諦めている。
ただ、ここまで気温の変化が読みづらいと、体調を崩す人が多いのも納得だなと思ってしまう。誰もが健康に過ごせるのが理想ではあるが、1日でも大きく温度が変わる日もあるため、老若男女問わずなかなか難しそうだ。加えて、空気も乾燥している。余談だが、シンガポールは年中じっとりと湿った空気の上に、いつでも30度前後の気温だ。そのため、体調は日本よりも圧倒的に崩しづらい環境にあると言える。
日本での滞在は、もうしばらく続く。その間、ずっと健康でいられるように、気温や自分の体調には注意を払いながら今後も過ごそうと思う。


12月11日(月) 31日目
久々に、日本で暮らす友人と通話した。本当は会えたら良かったのだが、同じ国内とはいえ遠いこともあり、電話に落ち着いたのだ。考えてみると、最後に話してから約10年が経過していたが、まるでブランクがなかったかのように会話していた。
感覚的には昨日の続きのようであっても、あまり連絡を取れていない間に、お互いに色々なことが起きてはいる。会話していると、知らない事が次々と出てきた。改めて、それだけの時間が流れたのだなと実感する。もちろん、思い出話にも花を咲かせたが、こちらはこちらでかつては毎日顔を合わせていたはずの人名が出てこないこともあり、月日の経過を感じてしまう。
電話は場所を選ばない。その意味では、シンガポールに居ようが日本に居ようが自由に連絡できる便利な手段だ。しかし、どういう訳かハードルが高い。何か用事やきっかけがないと、何となく連絡していいのだろうかと二の足を踏むのだ。そうして、何年も正月や誕生日しかメッセージを送れない、という相手は何人もいる。
ただ、そうしている間に、時間は当然経過する。相手の様子を尋ねることなく、あれこれと考えていても仕方がない。やはり結果的に都合が悪かったとしても、連絡を取りたい人には積極的にコンタクトすべきなのだろう。


12月12日(火) 32日目
昨日、友人と電話した際に気温の話になった。個人的には寒くてたまらないと思っていたのだが、それを友達に話すと「この時期なのにコート着なくても良い日もあるし、暖冬だよね」と返された。考えてみれば友人の指摘通りであり、12月という点を考慮すれば暖かいと表現する方が適切だろう。納得したが、逆に自分の格好に不安を覚えた。
私はコートこそ着ていないことが多いものの、既にヒートテックのシャツとタートルネックを重ねて着たり、脚にもレッグウォーマーを付けていたりと、かなりの重装備で外出している。厚着をするにしても限界があるため、このままでは真冬の寒さに耐えられないかもしれない。一応、カイロを貼るという方法はあるものの、それ以外の対策が残っていないのは心細い。
私の厚着を話すと、友人は受話器の向こうで「すっかりシンガポールの気候に馴染んでるね」と笑っていた。本当にそうだと思う。ただ、まさかここまで日本で暮らす人と感覚がズレているとは考えていなかったのも事実だ。
日本の寒さはこれからであり、新型コロナウイルスやインフルエンザへの対策が一層必要になってくる。早いところ日本の気温に慣れて、もっと寒くても耐えられるようになりたいものだ。


12月13日(水) 33日目
コンビニに行くと、漫画「名探偵コナン」のとある登場人物が乗る自動車のトミカが売られていた。同作は好きで、映画も毎年のように観てはいるが、普段は海外在住ということもあり、グッズには疎い。一時期はチェックしていたが、購入できなかったり、日本の家族に迷惑をかけたりと結構ハードルが高いことが多く、見ない方がやきもきしない分精神的に良い、という結論に至ってしまったからだ。
いつから発売されていたか分からない上に、箱の上からではどういった仕上がりなのかも分からない。しかし、折角好きなキャラクターのグッズが手に入る機会は逃したくない。コンビニという性質のせいか、棚には1つしか乗っていない。きっと今逃せば、次に会えるのはいつになるか分からない。一瞬色々と考えた後、即決でレジに商品を持っていった。帰宅後に箱を開けてみると、小さなサイズに反してかなり重い。しっかりと作られているようで、非常に嬉しくなった。
シンガポールにも、コンビニはある。ただ、こういったグッズはもちろんのこと、全然品揃えが違う。それだけに、まさか推しのグッズに近所で出会えるとは想定していなかった。日本のコンビニの凄さを改めて実感すると共に、シンガポールとの違いを実感する出来事だった。

12月14日(木) 34日目
先日、日本に帰国する度に必ず1度は行く、お気に入りのバーに行ってきた。すっかり知り合いとなったバーテンダーさんと会話していると、もうすぐ退職するとのことだった。
話を聴いてみると、同じ職種ではありつつも、やってみたいことができたようだ。具体的に決まっていない部分もあるそうだが、ご本人曰く「手探りを楽しんでいる所」とのことで、話している姿からもワクワクしているのが感じられた。
その様子を見て、本当に素敵だなと思った。本人にも伝えると、少し不思議そうな表情になった。その様子から、バーテンダーさんの中には「手探りで何かを探す=楽しいこと」という図式がしっかりと出来上がっているのが感じ取れて、羨ましくなる。
個人的には、いつも見えない何かに対して湧き上がる焦りや苛立ちを押し殺すようにしながら、手探りしていることが多い。ふと、楽しいと思う瞬間は訪れるものの、始まるときから最後まで楽しめるスタンスではないのだ。それだけに、楽しもうという姿勢は本当に素敵に見える。
今のところ、バーテンダーさんのように、大掛かりな手探りをする予定はない。ただ、日々の中で何かにチャレンジする際、もっとワクワクすることを意識したいと思った。

12月15日(金) 35日目
結構前にSNSのXで、私の大好きな漫画のフィギュアのガチャガチャを見た。その時はまだ一時帰国の日程が決まっていなかったこともあり、いいなとは思いつつも諦めた。
先月、日本に到着して2週間程が経過した頃、友達が例のガチャガチャを引いたと教えてくれた。発売から2ヶ月近くが経過しているが、どうやらまだ完売していないらしい。まだ入手できるかもしれないと思うと、急に欲しい気持ちが再燃してきた。ただ、世の中にガチャガチャは無数にある。近所の設置場所をしらみ潰しに回っていては、きっと巡り会えない。
上手くいくか不安に思いながらもインターネットでガチャガチャの名前を検索すると、位置がヒット。幸い、普段は行かない場所ではあったが、近所にの複数箇所にあるとのこと。しかし、ウェブサイトの情報がいつの時点でなのか分からない。万全を期すために、該当するいくつかの店に電話することにした。
ちなみに、その内1店舗は飲食店だった。電話自体に抵抗感はないが、食事と無関係の内容を尋ねないといけないのは、非常にハードルが高い。しどろもどろになりながらの電話をしたところ、その店にはもう無かったらしい。分かって良かったと思う反面、迷惑をかけたので、どこかでお礼に食事に行かないといけないという義務感も生まれた。
別の場所にはまだありそうだったので、早速バスで向かう。目的地に到着すると、すぐに目当てのガチャガチャを発見。喜びのあまり、気づけば全4種が揃うまで回していた。
昔は、ガチャガチャの配置場所を調べる方法はなかった。良い時代になったなと思いながら、揃ったフィギュアを眺めている。

12月16日(土) 36日目
昨年話題になったアニメのリコリス・リコイル展に行ってきた。今回の帰国前に遅まきながらNetflixで視聴して好きになった作品で、丁度滞在中に今回の展覧会があると知り、訪れるのを楽しみにしていたのだ。
会場に入ると、作中で登場した場所が再現されている。また少し足を進めると、印象的なシーンが台詞や静止画それに動画で紹介されているコーナーもあり、アニメを観たときの気持ちが蘇ってきた。同作は続編の製作が発表されているが、漫画や小説等の原作がないため、どのような話になっていくのか、全く想像がつかない。
展示の終盤までいったとき、他の来場者から声を掛けられた。登場人物の誰が好きか、続編が楽しみだ、といった話をしていると、作中に登場した水族館を再現した場所で、写真撮影したか、という話になった。物語の中では、主役の2人が水族館でとあるポーズを取る場面があり、それは恐らく同作を観た誰もが覚えてるシーンだった。
私が首を横に振ると、なんと撮ってくださると言う。最初は恥ずかしかったが、「こういう所では楽しまないと!」と後押ししてくださったお陰で、写真に挑めた。気づけば、他の人も撮り合っており、改めて作品が人々の心にしっかりと根を張っていることを実感した。
昨年、ドラマ「MIU404」の展示に訪れた際もそうだったが、他にも同じように作品を愛する人が居ると知る機会は、本当に元気が出る。インターネットでは見つかるものの、姿形が互いに分からないからか、やはり実際に会うのとは違う。人間は人の間と書くように、何か好きなものを共有するのも人の営みなのかもしれない。

12月17日(日) 37日目
昨日と今日は、漫画雑誌少年ジャンプのイベントが開催されている。作品に関する物販だけでなく、今後の展開等が発表されるステージもあり、かなり規模の大きいお祭りとなっているようだ。私は現地に行っていないが、YouTubeで作品に出演する声優が登壇するステージの配信があるとのことで、好きな2作品の配信を視聴した。どちらも30分や40分と短い時間ではあったが、アフレコ時の裏話や原作者へのインタビューなどがあり、アニメや漫画が今後一層楽しめるような内容となっていた。
昔はどこで暮らしていても、遊びにいかないとこういったイベントは味わえなかったが、最近はロケーションフリーでインターネット環境さえあれば良い。視聴した余韻を噛み締めながら、SNSのXを開く。すると、私と同じようにステージを楽しんだ人のポストが沢山見つかり、一層嬉しくなった。
リモートで参加できるお陰で、新型コロナウイルスの流行も気にせずに済む。その反面、その場に居れば臨場感や空気感も味わえただろうな、という気持ちもある。最近は感染者が増えているので、少し先のことにはなると思うが、いつかはウイルスの感染リスクを気にすることなく、好きなアニメのイベントに参加してみたい。


12月18日(月) 38日目
今日は、恐らく日本に来て一番寒い日だった。朝は言うまでも寒くて、布団の上で沢山の衣類を着た上で丸まっていた。正直、今日と同じような温度が続くのかと思うと、かなり不安を覚えるレベルだ。明日は多少温度が高いらしいが、それでもこの寒さは堪える。つい先日20度以上を記録したこともあり、落差に戸惑いが隠せない。
ふと、その昔オーストラリアのエアーズロックへ遊びに行ったときのことを思い出す。現地では朝の気温は冬レベルなのに、日中は記憶違いでなければ30度近くまで上がるのが常とのことで、時間の経過と共にタケノコの皮のように衣類を脱ぐ必要があったのだ。観光目的で遊びに来ただけなので平気ではあったが、日常なら結構面倒に感じるため住みたくないなと思ってしまった覚えがある。正直、現在の日本の温度差はそれに迫る勢いだと思う。
気温に適応できないと、風邪をひくだけでなく、インフルエンザやコロナ等の感染症へのリスクも上がる。シンガポールでもコロナは増加傾向にあることを考えると、温度はあまり関係ないのかもしれないが、個人的には日本の方が空気の乾燥も含めて罹患しやすい環境にあると思う。帰国するまで、健康を保てるように努力したいものだ。


12月19日(火) 39日目
最近運転するようになって思うのは、頭にもドライブとニュートラルが存在しそうだということだ。現時点で、リバースに対応するものは見つかっていないが、少なくとも前述の2つは存在する。
個人的にドライブは車の運転でもアクセルの踏み方で速度が変わるように、エネルギーの必要量にグラデーションはあるものの、文章の執筆、家事、運動など大体のものがここに入る。日常的でないものとしては、友人との電話やちょっと良い買い物もこのカテゴリーだろう。断っておくと、エネルギーが必要=疲れるものやマイナスのものという意味ではない。楽しさにかまけていると、気付けば体力が減っている、というイメージのものも同じ範疇にある。
一方で、ニュートラルに入りそうなのは、ネットサーフィンだ。様々な情報を見るのは脳にとっては疲労を伴うと耳にしたことがあるが、あまり思考することなく、ぼんやりと趣味の情報を眺めている間は、エネルギーを使わない気がするからだ。ちなみに、個人的には、ネットサーフィンは喜怒哀楽があまり動かなそうなものを選んで見ていることも、エネルギーの消耗軽減に貢献しており、それが結果的にニュートラル状態になっていると考えている。
言語化できると、概要が掴めたような気分になると耳にしたことがあるが、私もこのことを発見したとき、確かにスッキリした。何かの技能を習得するのは、思考の整理にもなるようだ。

12月20日(水) 40日目
寒い。いや、12月は冬で寒いのは当然だ。しかし、交通機関が止まるかもしれない危惧をする程、寒かっただろうか。
明日の天気予報を見ると雪だったので、普段なら自動車で向かう先に、安全を期すためタクシーで赴くことにした。急ぎの用事でないのなら延期したと想うが、内容的にそうもいかないから、タクシー会社に連絡する。すると「明日は雪なので、運行できるか分かりません」とのことだった。少し話は逸れるが、実家がある地域は普段から雪が降る場所ではない。そのため、雪用タイヤに交換する習慣はあまりない。タクシー会社はプロの集団なので、雪用に変更しているとのことだったが、運行に対して何か懸念があるようだ。
タクシー会社に電話するまで、用事に向かえない可能性は考えていなかった。慌てて先方に話すと、事情が事情なだけに明日また連絡することで承諾してもらえたが、無事に終わらない可能性が高そうで不安になる。
シンガポールに居ると、天気で予定を変更することは基本的にない。一瞬のスコールで多少遅刻する場合もあるが、どう頑張っても行けない事態には陥りはしないのだ。それだけに、今日の一件は日本の冬を実感するものであったと同時に、自分がいつの間にかそれを忘れていると気づく機会にもなった。

12月21日(木) 41日目
最近、実家のブレーカーの調子が悪い。正確には、どこが問題なのか分からないのだが、一応アンペア自体の許容量には問題がないだけに不可解だ。加えて、毎回落ちるタイミングが同じなのも気になる。日本に来てから既に3回発生しており、遂に今日は業者に連絡した。
はっきりとした理由が電話によって明らかになった訳ではないが、他の部署に確認を取った上で、また明日折り返し連絡をしてくださるとのことだ。良かったと思いながら通話を終えて、受話器を置く。ふと、明日本当に電話がかかってくるのだろうかと不安になった。
断っておくと、電話相手やその会社を信頼していないという話ではない。ただ、私の暮らすエリアは明日も雪が降ると予報で出ている上に、ニュースではできるだけ外出を避けるように、といった内容が報道されていた。電話で対応してくださった方がどこに住んでいるか、もちろん知らないが、かかって来ない可能性は頭の隅に入れておいても良いかもしれない。
昨日の午後から、ずっと天気に振り回されている。天候に左右されながら暮らす感覚が既に錆びついており、混乱状態なのだ。幸い土曜になれば雪は止むらしいので、今の状態も後少しのはず。日本で暮らす人は通勤時の天候も加味して行動しているのだから、改めて本当に凄いと思う。

12月22日(金) 42日目
昨日は意外と外出できるレベルの雪だったが、今日はどうなるだろうかと昨晩から少し不安だった。天気予報によると午後は外出できそうになっていたものの、場合によっては1日中家から出られない可能性も考えていたのだ。ただ蓋を開けてみると、実際に降雪したのは午前だけで、午後は普通に出かけられる天候になっていた。ちなみに、昨日心配していた業者からも連絡が入ったので、通勤にも支障がない人も多かったのかもしれない。
ただ、寒いのは変わらない。いくら厚着しても、足先の冷えがどうにもならない気がする。家の中で寒い寒いと連呼していると、祖母に「あんた、もう日本で暮らされへんな」と笑われてしまった。一応反論しておいたが、今年は何とかなっているというだけで正直毎年耐えられる自信はない。
明日以降は、少し気温が上昇するのか雪の心配は要らないらしい。天候の意味ではホッとできるが、気温の変動も体調を崩しやすい一因なら、空気の乾燥も喉のトラブルの引き金になりやすいため、新型コロナウイルスやインフルエンザの流行は全く気が抜けない。シンガポールを賛美する訳ではないものの、あの暑い気候が少し懐かしいのも事実だ。引き続き、体調に気を付けて過ごしたい。

12月23日(土) 43日目
あまり大きな声で言える話ではないが、日本に来てからほぼ毎日飲酒している。シンガポールでは、酒税が高い上に飲める日本酒のラインナップも少ないため、あまり飲まないのだが、日本は言うまでもなく日本酒が多い。それだけに、毎日ついつい飲んでしまうのだ。
日本で暮らす人からは信じられないかもしれないが、コンビニですら、私には日本酒パラダイスに映ってしまう。特に地元で作られた期間限定や限定販売のものを見つけると、シンガポールでは絶対に入手できないので、買わずにはいられないのだ。正直、そろそろ実家の家族からの視線が痛いので、セーブしようとは思うものの、気づけば酒量は増えている。クリスマスや正月が近いから誤魔化せているが、それを過ぎたときは、どう弁解しようか今から頭を悩ませる始末だ。
このままでは、シンガポールに戻ったときに、べらぼうに金のかかる生活に突入してしまう。どこかで、セーブしていたライフスタイルを思い出す必要がある。ただ、それを日本国内で実行に移すのは、厳しい気もするのも事実だ。家族の視線と自分の心地よさの丁度良い塩梅を探っていく必要があるのだろう。あまり考えたくはないものの、これが新年最初の目標になりそうで、今から戦々恐々としている。

12月24日(日) 44日目
「今日の夜が楽しみだなあ」という声が、店で買い物していると聞こえてきた。振り返ってみると、小学校低学年くらいに見える子が、家族と話しているところだった。遠目にも、その表情が明るいことが伺えて、何だかこちらまで嬉しくなる。前後の会話は耳に入っていないが、多分サンタさんが持ってくるプレゼントのことを話しているのだろう。根拠はないものの、何となく晩御飯のことではない気がした。
シンガポールでも日本でも祝い方に違いはあれども、クリスマスを楽しむ習慣自体は大人になってもあるが、流石にサンタクロースはもう来ない。楽しそうな子どもの姿に、昔は楽しみにしていたことを思い出した。個人的には欲しいものがすぐに思い浮かぶ年もあれば、なかなかピンと来ないこともあったが、あの子は様子から考えるに、前々から欲しかった物をきっとお願いしたのだろう。
ふと、最近の子はどういった物を頼むのだろうか、と少し興味が湧く。最近流行りのゲームかもしれないし、時代を問わずに愛されるものの可能性もある。個々人の趣味にもよるので、玩具ですらないかもしれない。実際のところは分からないものの、楽し気な笑顔と声をおすそ分けしてもらえて少し嬉しくなった。


12月25日(月) 45日目
今年の夏、神保町の内山書店に伺った際に、シンガポールに関するとても興味深い本を見つけた。買おうか悩んだのだが、そのときは重くなることを敬遠して後回しにした。正直、多分他でも見つかるだろうという判断もあったのだ。しかし、あれからいくつかの書店で探しても見つからない。やはり、アジアの本が揃っている内山書店のラインナップは、侮れなかった。夏の行動を反省しながらウェブサイトにアクセスすると、幸い代引き発送をしてくれるという。喜んで注文して、ものの数日でその本を手に入れられた。
よく出版不況という言葉を耳にするが、1つの書店に置ける書籍の数は売り場面積の関係上限られている。頭では分かっていることだったものの、それを実際に実感した出来事だった。ポジティブに考えたら、個々の書店が個性を出せるとも言えるのかもしれない。ただ、利用する側もそれを把握していないと、その性質とは付き合えない。
書店のオンラインショップに限らず世の中には便利なものが増えたし、オリジナリティ溢れる業態も増えた。しかし、その一方で何かしらの情報を知らないと損することも増えたように感じる。適宜自分に合ったものを選びとれる力が、現代には必要のようだ。


12月26日(火) 46日目
何度か書いているが、日本酒が至る所で入手できるのは本当に有難い。シンガポールでは3倍はしっかりするものはもちろんのこと、そもそも全く見ない銘柄も非常に多くて、毎回日本酒コーナーで目移りしながらどれを買おうか悩んでいる。身体のことを考えたら、あまり沢山飲むべきではないとは分かっているが、折角の一時帰国中だからと自分に毎回言い訳を重ねている。
特に「生酒」や「原酒」と書かれている物、後は店側の事情も含めて「数量限定」と書かれているものに滅法弱い。他に気になるものがあっても、ついそういった商品を見ると優先して買ってしまうのだ。ちなみに様々な種類が飲みたいので基本的には720mlを購入しているが、時折1升瓶でも買っている。
いくつの日本酒を消費したか分からなくなった頃、母がふと「写真を撮っておけば良かったね」と呟いた。確かに、前述のようにシンガポールでは入手できない日本酒もあったことを考えると、記録しておけば後で見返せて面白かった可能性は高い。もう捨ててしまった瓶もあるので、今更言っても仕方がないが、今開封している分からは写真を残そうと思う。
日本での滞在も、少し前に折り返した。後どの位いるか、はっきりしない部分もあるが、最後まで楽しもうと思う。

12月27日(水) 47日目
近所のセブンイレブンに行くと、名探偵コナンのくじが開催されていた。名場面が選ばれてグッズ化されているとのことで、中には私の好きなものもある。一応はずれはないものの、くじなので良い景品とそうでもないのの両方が存在する。ひこうか少し悩んだが、シンガポールに帰ったらひくことすらできないと思い、試してみることにした。レジにくじを持っていくと「1回で大丈夫ですか?」と尋ねられた。個人的には1回で十分だと思っていたが、世の中では複数回ひく方が一般的なようだ。
くじを開いてみると、大きな缶バッチだった。イラストも確かに良いシーンではあるが、個人的に欲しかった場面ではない。何が出るかなというワクワク感は楽しめたものの、少し残念な結果となった。
一応その日はそのまま帰ったが、やはり欲しい場面のグッズが欲しい。今度は違う店に行って、ひいてみた。やはり豪華とは言えない景品だったが、自分で絵柄を選べるクリアファイルだったので、無事に欲しい場面を入手できて本当に良かった。
日本のコンビニは、本当にパラダイスだと思う。ついついお金を落とさずにはいられないが、必ず何かしら琴線に触れるものがある。くじに限らず帰国まで一体何円使うのかは、あまり考えたくないレベルだ。


12月28日(木) 48日目
折角日本に居るなら、それを最大限に活用したい。今日は、アニメ映画「SPY x FAMILY CODE: White」を観てきた。入場特典として、登場人物の設定画や原作者のインタビューなどが掲載された小冊子の配布が行われていると知っていたので、在庫がなくなっていたり、人気過ぎて空席がなかったりしたらどうしょうと思っていたが、無事に入手できたし映画も鑑賞できた。
夜7時過ぎに開始する回を選択したためか、劇場内は10代以上の人しかおらず、小学生に思われる子はいなかった。補足しておくと、同作は疑似家族を形成する3人の話で、主人公は少年漫画ながら成人男性なのだが、主要人物の1人は小学1年生となっている。そのため、同じ位の年頃の子がいるのかもしれない、と行く前は思っていたのだ。いくら冬休みといっても、この時間にはベッドに入るよう教育している、きっちりした親御さんが多いのかもしれない。
シンガポールでもコラボカフェやグッズ販売などがされている人気の作品だが、インターネットで調べた限り、現時点ではまだ映画が上陸するとの旨は発表されていなかった。恐らく、日本での上映がほぼかなり終盤にさしかかった頃に、やってくるのだろう。その際は、もう一度シンガポールで観ようかと思う。


12月29日(金) 49日目
日本はそろそろ、大晦日や元旦に向かっての準備に入っている人が増えている。私も今日は買い物に行くつもりだが、恐らくどこのスーパーやデパートも混雑が見込まれる。個人的には人混みが苦手なため、少し尻込みしてしまうものの、行かなければ用意が終わらない。多分、この記事を書き終えたら、出かけることになるだろう。
ちなみに、私はお節とおでんの具材を買うつもりだ。日本は暖冬のため、温かい物が美味しい時期とは言えない部分もあるが、沢山作っておけばゆったりと楽しめるだろう。一応、家族に具材のリクエストも受けておいた。
シンガポールもこの時期どこも大体混雑しているとは思うが、正月と言えば旧正月を指すため、日本よりはマシだ。逆に後1カ月ほど経てば、春節の準備に入るため、その頃のチャイナタウンは大混雑する。この記事を読んでいる人で、もしその頃にシンガポールへ遊びに行く予定を立てている人が居たら、よく注意して欲しい。
当然だが、後3日で2023年が終わる。カレンダーを見ると、改めてそれを実感して焦る。毎年のことだが、色々なことをした気がするのに、何もできていないようにも感じる。来年は、どうなるだろうか。少しでも何かできたと胸を張れるように頑張りたいものだ。


12月30日(土) 50日目
昨日、近所のスーパーに買い物へ行ったところ、非常に混雑していた。あらかた必要な物は購入できた上に、元来人混みが苦手なので、もう年が明けるまでどこにもいかないつもりでいたのだが、今日になって必要なものがまだあったと発覚。結局、再び出ることになった。正直仕方ないとはいえ、行きたくない気持ちが強かったが、実際に到着してみると、昨日よりも空いていたので、少し買い物しやすかった。どうやら、私と同じ発想で昨日の内に買い込んだ人が多かったようだ。
一方、晩御飯となると適当に外で済ませてしまいたい人も多いらしく、立ち寄った飲食店は少し混雑していた。年末で人員が少ないせいで疲れているのか、私の頼み方が悪いせいか、家族全員分を注文すると混乱している様子で、非常に申し訳なくなる。自分は休んでいるときも誰かが頑張ってくださっていることを、再確認する。
ただ、年内に終えたいと思っている内容が色々と終わっていないので、明日こそは絶対に出ずに家の用事にまい進したい。頭の中でやることをリストアップすると、終了する前に2024年になりそうで今から少し不安だ。しかし、幸いまだ1日ある。31日で挽回できるよう、師走のラストスパートをかけたい。


12月31日(日) 51日目
遂に2023年最後の日となった。昨日は不安だった、やることも全て終えることができて、本当に嬉しい。途中、そばを食べることを忘れており、食べ終わらないかもしれないというアクシデントに見舞われたものの、それも何とか年内に完食した。多分、幸先の良いスタートを切れたのではないかと思う。
ところで、私はNHK毎年紅白歌合戦を観る。徐々に知らない歌手が増えてきている気もするが、それでも演出が面白い上に、今年の歌の流行を知る機会にもなるので視聴しているのだ。ちなみに、今年は前からYOASOBIの「アイドル」がどのようなパフォーマンスになるのか、非常楽しみにしていた。
きっとゴージャスな舞台になるとは思っていたが、想像以上だった。紅白歌合戦に出場した複数のアイドルユニットが、歌唱している横で踊るのだ。以前から、YOASOBIの「アイドル」はナレーションのようなニュートラルな歌い方だと思っていたが、その印象が際立つ演出だった。それに加えて、アイドルの数だけ「アイドル」があるのだろうなと当然のことも感じられた。
この曲が関係あるのか不明だが、紅組の勝利だった。ただ、一緒に観ていた母は「あんまり紅とか白って印象なかったなあ」と呟いていた。勝敗を決める以上、矛盾する部分もある気がするが、番組のテーマだったボーダレスは果たされていたようだ。


1月1日(月) 52日目
今まで元旦に向けて料理を作るとき、お節は調理したことがあったが、いつもお雑煮だけは母や祖母に任せてきた。ただ、今年は流れで私が作ることとなり、祖母に指示を仰ぎながら取り組んでみた。言われるがままに鍋に具材を放り込んでみると、確かに知っているお雑煮になったように見える。実際に食べてみても、その印象は変わらなかった。
ここ数年はシンガポールで、お気に入りの和食店で食べていたため、我が家の雑煮は久々だった。個人的に美味しかったら何でも良いと思っている方なので、特にこだわりはないが、やはり家の味はほっとする。きっと来年は例年通り和食店に赴くとは思うものの、時には家で作るのもいいなと思えた。
お節は、基本的にスーパーやデパートの地下で買った物だけで、今回は作らなかった。加えて重箱がどこにあるか分からなかったため、皿に買った物を並べるという形になったが、それでも料理のお陰で正月の雰囲気は出た。かなり簡素な雰囲気の食卓にはなっても正月の気分がそれでも感じられるのは、家族が揃っているからかもしれない。
ところで、お雑煮もお節も食べきらなかったので、明日も同じメニューになると思うが、いつまで続けるのが正解なのだろうか。個人的には、4日からは少なくとも普段の料理に戻したいところではあるものの、普通が分からないのも事実だ。


1月2日(火) 53日目
昨日の午後から、どうしても地震のことが頭にあるため、少し落ち着かない気分になる。私が居る所は幸いにして被害はなかったのだが、ニュースを見るとやはり気にはなる。
そういった気持ちの人が居ることを配慮しているのか、近くの繁華街で開催されるはずだったイベントは、中止となっていた。個人的に遊びにいく予定があった訳ではないが、何となく残念だ。断っておくと、地震が大したことないから実施すべきだったと言いたい訳ではない。ただ、個人的には地震から目を逸らせるものとして、予定通りに実施して欲しかったように思うというだけの話だ。
自粛ムードというのは、一見良いことのように感じるが、正直なところガス抜きする所がなくなって、一層気持ちが塞ぎやすい雰囲気を作るのではないかと危惧している。もちろん、近所の繁華街以外では、例年通りイベントを開催しているのかもしれないし、他の所の状況までは把握していない。ただ、日本の正月といえば1年で最も盛り上がる時期だと思うだけに、その開放的になるはずのタイミングで塞ぐのは、後々のことを考えると良くない気がしてしまうのだ。
言うまでもなく、地震の被害はすぐには収まらない。どこかで、流れが変わって欲しいと願うばかりだ。


1月3日(水) 54日目
元旦の地震から、2日経過した。元々この記録は、日本のコロナの流行状態や、人々の様子等を主に書くために付けているものだが、正月で家に居る時間が長いこともあり、すっかり地震のことばかりになっている。加えて、昨日は飛行機の事故も起きた。
ただでさえ正月というイレギュラーな時期に、地震が発生して、色々な人が様々な場所で元の予定とは異なる動きで働いているのだろう。SNSがあるお陰で、断片的にそういった人の行動やその目的を知ることはできるものの、当然ながら全容は掴めていない。今回の地震で、明日からの出勤の人も少し変則的な動きになるのかもしれない。また、私のように明日も休みであっても、物流に影響が出ているであろうことを考えると、無関係ではいられないだろう。
今年7月に帰国したときよりも、心なしか日本の人々が元気になった印象を持っていただけに、今回の地震はショックだ。前向きになりかけていた姿勢が完全になかったものにならないで欲しいが、何をしたらその一部になれるのか分からない。
そのようなことを考えながらSNSのXを開くと、芸人の小島よしおさんがイベントを予定通り実施しているという情報が流れてきた。まだ答えは見つかっていないが、やっぱり自粛ではないと再確認する出来事だった。


1月4日(木) 55日目
先日、家族で印鑑の話になった。私は海外に暮らしていることもあり、長らく使う機会がない生活を送っている上に、新型コロナウイルスの流行が始まった頃に諸外国からファックスや印鑑を冷ややかな目で見られた印象が今も残っている。それだけに、印鑑文化はもう廃れたのだろうかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
インターネットで調べてみると、意外と今でも印鑑や印鑑証明が必須な場面はある。具体的には、家や自動車を購入するときらしい。大きな物なら無くさないように仕舞いやすいが、かなり小さな物だけに、次に使いたいときは探す所からスタートする必要がありそうだ。個人的には、断捨離という文字が脳内に浮かぶも実行に移せていない人間なので、あまり使うシーンがないことを願っている。もちろん収納上手な人は、そういった心配もないはずなので、こういった懸念はないのだろう。
加えて、印鑑は家族の数だけ必要になるのも面倒だ。一般的な名前なら、市販されている物を購入するだけで終わると思うが、私のようにあまり見かけない名字となると、どこかに依頼する必要がある。何らかの理由で新しい物を必要としても、右から左に行動できないのも結構鬱陶しい。
結局、紛失しないように整頓しておけば良いだけの話だ。新年が始まってまだ1週間にもならないが、既に今年も断捨離の文字が脳内に鎮座している。


1月5日(金) 56日目
先日、祖父母と母の4人で、マクドナルドに晩御飯を食べに行った。店の選択から、一応この中で最年少の私が選んだように思われると思うが、実はこの店を希望したのは祖父だ。祖母も含めて2人は、マクドナルドが大好きでこの日に限らず、少なくとも週に1回は必ず店に訪れて食べている。ちなみに、祖父は必ずビッグマックセットで、祖母は大体てりやきマックバーガーセットを注文し、ケチャップもいつも頼んでいる。飲み物は、2人共決まって氷少なめのコーラだ。
余談だが、シンガポールと日本ではマクドナルドのメニューが異なる。そのため一時帰国の身でも、非常に楽しめるのだ。先日は期間限定商品のグラコロバーガーとシャカシャカポテト、それにコーラフロートを注文した。どこかで書いた気がするが、個人的にマクドナルドで1番美味しい飲み物は、ソフトクリームの乗ったコーラフロートだと信じている。
ところで、祖父母と同じ位の年齢に見える人を店内で見たことはない。大体店内に居るのは、中高生に見える10代や、小さな子どもを含む家族連れだ。食の好みは人それぞれのため、別に気にしても仕方がないとは思いつつも、不思議に感じるのも事実だ。世の中の高齢者と呼ばれる人は、和食を好む人の方が多いのだろうか。


1月6日(土) 57日目
まだ帰国日ではないものの、一旦荷物を軽くまとめることにした。いつもパッキングの際に物が増えすぎて「何でこんなに買ったんだろう」と思い、ヒイヒイ言いながら取り組んでいるので、それを回避したかったのだ。しかし、私は甘かったらしい。既に、荷物がかなり増えている。
考えてみたら2カ月近く居たのだ。できるだけ買わないようにしていても、全く買わなかった訳ではない。その積み重ねで、気づけばある程度の量になってしまったようだ。中でもショックだったのは、本の冊数だ。吟味に吟味を重ねて購入していたので、ほんの数冊しかないつもりだった。しかし、数えてみると15冊になっている。加えて、内2冊はハリーポッターよりも厚い。シンガポールに戻れば絶対に入手できないという考えから買ったため、後悔はないものの、やはり荷造りという観点で考えると、気が重くなる。
最終手段として船便で送るという方法があるが、当然ながら送料がかかるため、できれば自分と一緒に飛行機で海を渡って欲しい。手荷物の計量はなかったと思うので、重くなる場合はトランクに入れない方が良いだろう。
ただ、帰宅してからも問題はある。本棚は既にいっぱいになっているため、何かしらの工夫を施さないといけないのだ。今は考えても仕方がないので、奇跡的に入ることを信じて荷造りしようと思う。


1月7日(日) 58日目
昨日買い物に出たら、七草が売られていた。そういえば、七草がゆを食べる習慣があったなとは思い出したが、結局は手にしなかった。実は、幼い頃に祖母にねだって作ってもらったことがある。そのとき、祖母は気乗りしないといった表情で「あんまり美味しないで」と忠告してきたものの、当時の私は何故か七草がゆに憧れを持っていたので、全く気にしていなかった。ただ、結果としては祖母の言う通りだった。反応で分かったらしく「言うたやん。だからウチでは、七草がゆを作る習慣はないんやで」と祖母が苦笑していた。
それから、1度も七草がゆをを食べたことはない。もしかすると、美味しく作る方法が世の中にはあるのかもしれないが、年に1回1日しかチャンスがないこともあり、そこまでの探求心を未だに持てないでいる。
帰宅後、晩御飯の用意を始めたが、その昔「美味しくないで」と言った祖母も含めて家族の誰も七草がゆの話はしなかった。できるだけ行事ごとには乗っかりたい方ではあるものの、家族の反応から考えるに、これに限っては何もしなくて正解だったようだ。そういえば、自分が興味を持っていないせいか、シンガポールの日系スーパーやデパートで七草が販売されているのを見たことがない気がする。来年は、チェックする位の関心は寄せたいものだ。


1月8日(月) 59日目
今日は成人の日だった。シンガポールにはなかった気がする上に、最近日本の成人が18歳に変更になったので、一層何だか縁遠い日に感じてしまう。私はつい、成人=飲酒ができる年齢と思ってしまう古い人間なのだが、最近は言うまでもなく法的な意味で飲酒できない成人が居る。私の知人にもそういった人がおり、後少ししたら一緒にお酒が楽しめるのかな、などと勝手に楽しみにしている。
実を言えば、私は成人式には参加していない。所属していたサークルが、少し変わった厳しいところで私用での欠席をよしとしなかったのだ。歴代の先輩も、大半が行っていないという話をされては、もう参加したいと言えない。幸い冬休みに前撮りはできたので、後悔はないが、結局成人式がどういったものなのか、私は未だに知らないままだ。
私のような自己都合はさておき、ここ数年は新型コロナウイルスの流行で例年のように集まりづらいときもあったと推測する。良くも悪くも、卒業してしまえば学生時代の知人友人と会う機会はないので、今年は各地でわいわいと再会を喜ぶことができたのなら、その点は良かったなと思う。今年は年始から地震のこともあり、手放しに喜べる日ではなかった人も当然いるとは想像するが、少しは気分の晴れる日となったことを願うばかりだ。


1月9日(火) 60日目
家族が一日中点けっぱなしにしているテレビでは、言うまでもなく地震のニュースが今日も流れている。家人の気分次第では録画している歌番組が映ることもあり、その際は観ないものの、リアルタイムの放送に変更すれば、かなりの確率で地震関連の番組が目に映る。実を言うと、年始の地震情報を見て気づいたのだが、この手の情報を見たり、地震速報の音楽を耳にしたりすると気が滅入る。
もちろん、気分が良くなる人は基本的に居ないと思う。ただ、東日本大震災と阪神淡路大震災の両方を経験したせいか、結構しんどいと感じるのだ。どういった理由であれ、同じような感覚を持っている人は少なくないと思っている。ふと、そういった人は、どうしているのだろうと疑問が湧いた。
1番あり得そうなのは、テレビやインターネットで情報を見ないという選択肢だ。確かに心の平穏は保たれるので、良い方法だとは思う。ただ、その一方で情報が入らないので、自分の居る地域に対して何かしらのメッセージが発せられていた場合に見落とす確率が高くなる。また、遠方でも、教訓や注意した方が良いことを知るチャンスを逸する。情報を取りつつ、心の安寧を保つという両方を実現させる方法はないのだろうか。
現時点ではっきりとした答えは見つかっていないが、個人的にはテレビよりもSNSの方が、気持ちが揺さぶられにくいらしいということは分かった。恐らくテレビのように、音が必ず付随するメディアではないからだろう。シンガポールに戻ってもNHKで日本の番組を観る限り、ついて回る問題だと思うので、いい距離感を徐々に掴みたい。


1月10日(水) 61日目
帰国が明日に迫ったが、あまり用意は遅遅として進んでいない。やるべきことが山積みのまま、叔父と母と近隣のカフェに遊びにいってきた。実家の辺りは結構田舎なのだが、その喫茶店はかなりおしゃれで、ぜひ叔父とも行きたいと思っていたのだ。
ところで、母と私はどこでもマスクを着用しているのだが、叔父は全然付けない。尋ねたところ、病院等付けることを求められる場所以外では素顔のまま過ごしているそうだ。確かにマスクがあると呼吸しづらい面もあるし、外したい気持ちは分かる。ただ、個人的には感染が怖いので外すという判断に至っていない。恐らく叔父は、私程警戒していないのだろう。
喫茶店に話を戻すと、コーヒーにこだわりのある店で、淹れ方もフレンチプレスとペーパードリップの2種から選択できる。個人的には、前者のとろりとした質感と雑味も含めて味わえる所が好きで、この店ではいつもこちらを注文する。また、コーヒーが提供されるカップやソーサーも近隣の作家が作った物が使用されており、非常に赴きがある。
ちなみにこの店は、昨年オープンしたばかりらしい。新型コロナウイルス流行中で、運営面で今までだったら考える必要もなかった大変な所もあるとは思うが、末永く地域に愛される店でいて欲しい限りだ。


1月11日(木) 62日目
帰国日になった。正直、ここまで日本に長期滞在したことがなかっただけに、シンガポールに戻る実感が湧かないまま空港に向かうことになってしまった。実家で過ごす時間が普段よりも長かったので、荷物が少ないことも混乱する要因の1つだ。ただ、幸いにして飛行機の都合上、早朝に家を出る必要があったので、用意することに集中せざるを得ない状況で、あまり普段との違いに引っ張られることはなかったのは幸いだった。
新型コロナウイルスの流行が始まって以降、今年も去年も夏にしか帰国していなかった。今回は冬に向かうタイミングだったので、夏との違いを比較したいとも思っていたが、細かく見る余裕はなかった。それでも、マスクだけで言えば、飲食店の従業員の着用率も含めてあまりシンガポールと変わらないような印象を抱いた。ちなみに、医療機関でマスクが必須である点も同じであるものの、日本が個々の医療機関で対応しているのに対して、シンガポールでは国のルールとして義務化されている点は異なっている。
今の時点で、次の帰国は決まっていない。その際にはもう少し感染が縮小していて欲しいが、ここ数年の流れを踏まえると、まだまだマスクなしでどこにでも行ける状態にはなっていないと推測している。

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