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近代文学・古書の旅 ~神保町で訪れた古書店・書店・喫茶店などのリスト~

 旅行中、訪れた店ごとに感想や品揃えの傾向及び感想を記していた。最初の方に行った所はどうしても不慣れなのもあり短めにはなっているが、足を運んだ所は全て書いている。
 今後、神保町の古書店街へ行くことを考えている人の参考になるかもしれないと思ったので、こちらも掲載する。ちなみに、下記に転載した神保町古書店マップでいうと、おおまかには右から左に回っていったイメージだ。

7月18日

三茶書房

 近代文学の復刻版や文学論の本があった。1つ目で緊張したが、優しく対応してくださった。

大屋書房

 江戸時代の本が多く、手に取るのにもドキドキする。階段牡丹燈籠の綺麗な本があり、興味を惹かれる。

八木書店

 個人的にこの旅のメイン。初版本フェアをしており、無事に芥川龍之介「幻燈籠」を入手。店員さんも優しく、質問に答えてくださった。

慶文堂書店

 歴史や民族、郷土史の本を主に扱っている。東京以外の地域もあり、他では見なさそうな本が揃っていた。

東陽堂書店

 宗教の本が多い印象。結局何も手にしなかったが、宗教や歴史に興味があったら面白いと思う。

玉英堂書店

 文学が多く、稀覯本もある。2階には短歌なサイン色紙、原稿などもあり、ミュージアムのよう。

悠久堂書店

 書道、料理、山岳など多岐に渡る本が揃っている。書道では、文房四宝の本もあり、個人的にあさばみゆき「いみちぇん」で見た!とちょっと嬉しくなった。

一心堂書店

 絵画や刀剣に関する書籍が多い。書籍ではないが、入り口が2箇所にあり、一件2つの店舗に見えるが、奥で繋がっている。

書泉グランデ※新刊を扱う書店

 入る前から薄々感じていたが、ここは古書店ではなく、普通に新刊を販売する書店だ。コミックやCDを扱うフロアもあり、充実した品揃え。

大久保書店

 製本された本だけでなく、地図が扱われている。片方の扉が押して開けられなくなっているので、要注意。私はやらかしました。

澤口書店

 なんと、フランス語の古書の扱いがあるお店。私は読めないので断念したが、少しでも読めたらワクワクできそう。分野ごとに3店舗に分かれており、国文学などの他のジャンルもある。

一誠堂書店

 日本語だけでなく、様々な言語の古書が揃っている。YouTubeの動画でも紹介されていたように、天井が高い。その近くまである本棚と所蔵された書籍たちは圧巻。

明倫館書店

 自然科学系の学術書を専門に扱う古書店。建築、医学、電気などがあり、中には酵母の観点からか、パンの作り方が書かれた本もあった。折り紙の本を手にしてみたが、中はやはり数学の本だった。

大雲堂書店

 合気道や柔道の本があるのが特徴。その他、歴史や文学の本も揃っている。余談だが、入り口の自動ドアが開きづらいので注意。

秦川堂書店

 昔の地図や写真、ポストカードなどを販売。マッチのケースの絵柄やチョコレートのブログだったイラストなど、あまり他では見ない物が多い。

書肆高山本店

 狂言や能の本がある。中には書籍ではないが、お面も商品として飾られており、間近で見ることができる。

漫画専門 夢野書店

 店名に「漫画専門」とある通り、漫画とアニメ関連の書籍がズラリと並ぶ。中にはアニメのセル画や漫画の原稿もある。

鳥海書房

 名前と関連があるのか、釣りや動植物の本が揃っている。料理の本もあり、釣った後の魚の調理法を探すのにも良いかもしれない。

梓書房

 初版本や復刻本が並ぶ。本棚にコーナー名は書かれていないのだが、工夫されており、結構見て回りやすい。

みわ書房

 児童文学がメインで、国語学もある。最近の児童書だけでなく、文豪が戦前に執筆して出版したものも揃っている。

原書房

 ビルの1階と2階が古書店になっており、1階には易学や占いの本が並ぶ。恐らく、どこよりもスピリチュアルな本が多い。2階は打って変わって、浮世絵やそれに関連した本の販売がされている。

神保町ブックセンター ※カフェと新刊を扱う書店

 ホテルを出てからずっと立っていたので、少し休むことにした。壁面に本並び、中心にソファとテーブルが集まっているため、座りながらも本棚の図書を眺められる。ちなみに席で本が読みたい時は、先に支払いが必要とのこと。
 昼は結構前に過ぎており、夕飯に迫り始めていたため、ピスタチオ味のかき氷を注文。中にソフトクリームが入っており、氷のシャリシャリ感と相まってすっきりしつつも食べ応えのあるⅠ品だった。

飯島書店

 書道を中心に漢詩などが並ぶ。専門的な内容の物が多く、知識がないのが悔やまれる。店員さんが親切な印象だったので、私のように素人でも安心して訪れられる。

ブンケン・ロック・サイド

 サブカルチャー雑誌のバックナンバーが多く、ロックやアイドルに関心があると楽しめるはず。個人的には何故か売られていたアニメの台本が気になった。

南海堂書店

 歴史、政治、経済にまつわる本が多数で、知識がないと本の量に圧倒されて終わる。学校で真面目に勉強しておけば良かった……。

愛書館 中川書店

 文庫や新書を中心に、江戸時代に売られていた草子もある。個人的に、アート作品のヴィジョネアを入れるためのルイヴィトンのケースが面白かった。

文華堂書店

 軍事関係、戦争関連の本を専門に扱っている。過去に学ぶことは大切なので、過去の情報を仕入れたいときに良いだろう。

矢口書店

 舞台や演劇関連の書籍と共に、ドラマの台本が売られている。中にはテレビシリーズの全冊が揃っているものもあった。

長島書店

 色々なジャンルが揃っている。私が中でも驚いたのは、宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」のセル画が販売されてされていることだ。3軒並んで営業しているので、どの店舗にも足を運んでみて欲しい。

こどもの本専門店&カフェ ブックハウスカフェ ※新刊を扱う書店

 こちらも新刊の書籍を扱う書店。店名に「こども」とあるように、児童書や絵本に特化している。広い店内で、大きめの絵本も安心してめくれるのは嬉しい。

波多野書店

 多岐に渡る本が揃っている。具体的に見たいジャンルが決まっていないときにも、活躍しそう。


7月19日


中国図書センター 東方書店 ※新刊を扱う書店

 看板にBOOKS ON CHINAとあり、中国の本がメインなのはわかっていたが、正直入店するまで、その縛りで本屋になるのか?と思っていた。中に入ると、日本語中国語問わずに中国関連の本が集まっている。日本の小説の中訳や、日本語で書かれた漢方の本等もあった。個人的に驚いたのは、チベット語の本があること。漢字ではない文字が並ぶ本は、読めなくても新鮮だった。

Books Tokyodo Paper Back Cafe  ※新刊を扱う書店

 書店とカフェが併設されているタイプ。新刊本を扱う店で、店内は分かりやすい造りになっている。個人的に面白いと思ったのは、道に面したガラスケースに、展示があることだ。私が見たときは、深山さくら「ぼくは本のお医者さん」を紹介しており、作中に登場すると思われる道具や作業工程が説明されたパネルがディスプレイされていた。

内山書店 ※新刊を扱う書店

 中国語の書籍、中国が舞台の小説などが集まった1階、アジア全体のことを扱う2階に分かれている。シンガポールに焦点を当てた本もあり、個人的には嬉しい限りだ。そのラインナップを見るに、他では見ないものばかりなので、アジア内のどこかの本が欲しいなら、おすすめだ。

小学館ギャラリー ※書店ではありません

 小学館の刊行物が展示されており、閲覧できるようになっている。また、カウンターでは街案内が行われており、質問に答えてくださるサービスがある。今回は、昨日粗方巡った上で、おすすめのお店を尋ねてみた。行ったことのない所を、どのようか店か説明やウェブサイトの情報を混じえて教えてくださるので、分かりやすい。ちなみに小学館の刊行物をここでは、購入できない。

けやき書店

 日本近代文学や現代文学が所狭しと並んでいる。私が行った際には、坂口安吾や織田作之助の初版本も多く、個人的には嬉しかった。文学が好きならおすすめの古書店だが、ビルの6階に位置しており、少し場所が分かりにくいので、訪れる際には注意して欲しい。私自身、場所が分からず、小学館ギャラリーで教えてもらっていなかったら厳しかった。

叢文閣書店

 歴史、宗教、伝記等の人文系の本が揃っている。店内には机が設置されており、カバンを下ろしてゆっくりと店内を眺められるようになっているのが、個人的にはありがたかった。

ボヘミアンズ・ギルド

 写真や絵画がテーマになっている、大判の本が中心の古書店。店内にもオシャレな曲がかかっており、洗練された雰囲気が漂っている。アート系の本を探すのにおすすめ。

羊頭書店

 小学館ギャラリーのスタッフさんにミステリーが好きと伝えたところ教わった、推理小説やSFに特化した古書店。中には洋書もあり、このジャンルが好きならたまらない空間となっている。

南洋堂 ※古書と新刊を扱う書店

 建築・都市専門の書店と謳うだけあって、内装も凝っている。古書を扱う3階は、土日限定でオープンするとのこと。スタッフ専用の空間の入り口が躙り口になっていたり、2階への吹抜けがあったりと、建物を眺めるだけでも楽しい。

崇文荘書店

 洋書専門の古書店。入るとすぐに、コナン・ドイル「シャーロックホームズ」のシリーズが並んでおり、初版本を見たことのない私はテンションが上がった。2階へ続く階段には、ビアトリクス・ポター「ピーターラビット」シリーズの1冊が飾られている。幼少期に触れた覚えのある人なら、興奮すること請け合い。分野は、幅広く扱いがある。

呂古書房

 手のひらサイズの書籍、豆本が多くある店。正直、豆本という名前は聞いたことがあったものの、実物を見るのは今回が初めてだった。普通の本に比べてミニチュアサイズとなったそれは、見ているだけでも可愛い。店内に豆本は壊れやすいので丁寧に扱ってください、といった主旨の掲示がされている。古書全般に言えることではあるが、一層注意したい。

@ワンダーランドJG

 色々なジャンルを網羅している古書店。1フロアしかないものの、売り場面積が比較的大きく、ゆったりとディスプレイされている。個人的に面白いと思ったのは、猫に特化したコーナーが設置されている所だ。愛猫家は、ぜひ棚をチェックしてみて欲しい。


眞踏珈琲店

 ホテルのスタッフさんに「古書店が好きなら、おすすめです!」と教わったカフェ。何でも、2階やそれに続く階段の壁面が本で埋まっているそうだ。アドバイス通りに2階に上がると、本当に至る所が書棚になっていた。想像以上だ。ちなみに本は、自由に読めるようになっている。
 ホテルの方曰く、店名にも入っているコーヒーが美味しいとのことだったので、水出しのアイスコーヒーとカレーライスのセットを注文。コーヒーは、グラスの中央に大きな透明の氷が1つ浮かんでおり、まるでウイスキーのような佇まいだ。深みのある味わいに、水出しならではのサラリとした質感が加わり、ゆったり楽しむのにぴったりだった。カレーライスは、大ぶりのニンジンや豚肉が入っており、食べ応え抜群だ。

バーノンノン

 山の上ホテルを定宿とした池波正太郎も通っていたという、ホテル1階のバーに行ってみた。本当は夕食後に訪れようと思っていたのだが、平日とはいえ混雑する可能性があったので、敢えて空席がありそうな夕方にした。メニュー表はないらしく、こちらの好みを伝えることで、お酒を用意してくださるシステムのようだ。
 隣りの人が飲んでいた小玉スイカのソルティードッグが美味しそうにみえたので、真似をさせてもらう。目の前で果実をカットして、種を取る。果肉を潰して、アルコールと混ぜる……。バーテンダーさんが作りながら「これの欠点は時間がかかることです」と、冗談めかして仰っていたのも頷ける工程の多さだ。ただ、見ている側としては非常に面白いため、全く退屈しない。
 運ばれてきたグラスの淵の約2/3には塩がまぶされており、残りの部分にスイカが飾られている。綺麗な赤色で見た目にも美しいカクテルは、上品な甘さと瓜科の持つさっぱりとした後味が組み合わさって、まさに夏の味だ。その後に注文した桃のカクテルも、淡い浅葱色で初夏を彷彿とさせる風味と色合いを兼ね備えていた。

おまけ
ヒルトップという名前について
 文学の話からは逸れるが、ヒルトップという名前は、実はGHQがその立地から付けた名前だそうだ。勝手にオーナーか誰かがオシャレだろう、と思って命名したとばかり思っていただけに、この話は驚きだった。それと同時に、現代が第二次世界大戦と地続きであることを改めて実感した。
 ちなみに戦前の10年ほどは女性教育に使われていたらしく、名前も○○会館といった名前だったそうだ。ホテルとしての歴史は、戦後に始まったようだ。

7月20日

文庫川村

 新書や文庫がほとんどを占める。近年に発売日された本も結構あるため、比較的お手頃なのではないかと思う。古書店の雰囲気を知る入り口にも、良さそうな店。

PASSAGE by ALL REVIEWS

 棚ごとにオーナーが異なる書店。出版社や著者はもちろんのこと、本を愛好する人々が出店している。訪れた日は偶然にも何人かの棚主が来店しており、各々の棚に対して商品を追加したり、見やすくなる工夫をしたりされていた。
 書店や出版社、著者の在り方や垣根が以前とは違う姿になってきていることを、この店内を見ると実感する。日々文章を書き、かつてはフリーペーパーの会社に編集者として勤務し、学生時代は書店でアルバイトしていたので、個人的に一応どれもを経験している。それぞれに役割があり、何かが不要だとは思わないが、かつての分担が揺らぐ以上、すべきことも変化しているのだろう。
 元々、私は小説家になりたいと思っていた。今でも諦めた訳ではないが、かつてのイメージを抱えたままでは、時代と合わない状態にすぐに陥るのではないか、となんとなく感じていた。その気持ちが、この書店に行って一層強くなったのだ。今の所、具体的な方法は見つかっていないものの、従来のことに固執するのは危険になっていくであろうことを、再確認する機会となった。

ミロンガ ※喫茶店

 近代文学の文豪たちが通った、とインターネットで見たので現在と未来の文豪たる私も行くことにした。前情報で、BGMにタンゴがかかっている、というのは知っていたものの、結構静かな雰囲気の所をイメージしていた。しかし実際は、かなり賑やかだ。隣りの会話も、よく聞こえる。良いとか悪いではなく、きっとこれがミロンガの日常なのだろう。考えてみれば、近代文学の文豪は調べると破天荒な人も多く、静かな印象の人ばかりではない。教科書や便覧では気取った顔をしているが、実際はここで歓談していたのだと思う。
 メニューを見ると、コーヒーの種類が多い。折角なのでその中から選びたいが、どれが良いのか分からない。店員さんにおすすめを尋ねて、ブラジルを注文。デザートも食べたかったので、コーヒーに合うとアドバイスを受けて、白いプリンも頼んだ。私が訪れた日は、ケーキやプリンが4種あり、他の種類も美味しそうだった。
 運ばれてきたコーヒーは深みがありつつも、飲みやすい口当たりで美味しい。加えて、ベリーソースがかかった白いプリンとの相性も良い。おすすめを伺って注文したのは、大正解だった。ちなみにプリンは、パンナコッタに似た見た目をしているが、味も食感も正しくプリンで、個人的には初めての体験だった。

小宮山書店

 行ってみたかった所の1つだったが、タイミングが悪かったらしく、ここ2日いつ行っても閉まっていた。今日、ようやく訪れることがるできた。店内は、映画や写真、ファッションが多い印象で、文学は武井武雄と三島由紀夫が多かった。三島作品は映像化されているものもあるので、小宮山書店の性質と親和性が良いのだろう。

@ワンダー

 昨日行った所と、恐らく同じ経営。ミステリーやSFがあるほか、アメコミの扱いもある。レジ付近には初版や似た時期に刷られたであろう黒岩涙香や江戸川乱歩、横溝正史の作品が陳列されており、ミステリー好きとしては楽しい。

北沢書店

 ブックハウスカフェの2階に位置する、洋書専門の古書店。店内は色々なジャンルの洋書だけでなく、地図やポストカード、切手といったアンティーク雑貨の扱いもある。本をだけでなく、ヨーロッパの文化に関心がある人におすすめ。

BOOK HOTEL 神保町

 1階は宿泊客ではなくても、入れるようになっている。ロビーに設置された本棚はどれも、テーマ別になっていた見やすい。また、表紙がこちらを向いているものが多く、本の内容をイメージしやすいのも嬉しいポイントだ。中には、外国語に翻訳された漫画もある。個人的に面白いと思ったのは、誕生日ごとに決められた本が収まった棚がある点だ。ただ、選定理由は分からない。

古書専門店Vintage

 雑誌や映画のポスターなどが並ぶ。雑誌のバックナンバーが沢山あるので、過去のものを購入したい人にもおすすめ。個人的には映画も雑誌もそこまで詳しくないため、あまり書けないが、その方面に詳しい人なら楽しめるだろう。

神保町古書店マップ ※問題があれば削除致します。


地図は下記より転載致しました。
参考文献
神保町古書店マップ「裏側(八つ折り)」(2023年8月21日1時43分閲覧)
神保町古書店マップ - BOOKTOWNじんぼう (jimbou.info)


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