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ICUダイアリーの実際とは? その2

今回は前回の続きです。ICUダイアリーの課題や、希望要望なども
詳しくお聞きしました。
お忙しい中、貴重なお時間をいただきインタビューに答えてくださった
Aさんにこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

ICUダイアリーのうまく活用されると、どんないいことがあると思いますか?

最近はコロナで面会ができないので、患者さんのご家族からどんな状態なのかの問い合わせが結構多いんです。

定期的に連絡しているドクターなどがいればいいけど、一般的な経過だとわざわざ電話することはないですし、その時にダイアリーを通じて伝えることができるのは安心材料にもなりますし、いいことですよね。

詳しいことや大きなことはわからなくても、人工呼吸器がはずれてた、あるいは乗っている、などだけでもいいと思います。

もちろん、どういった患者さんにやるべきなのか、どの段階で家族にダイアリーについて話すべきなのかなど検討事項はありますがね。

病棟への申し送り時にダイアリーは活用できそうですか?

私は個人的には、ICUでの状況や患者さんの反応などを転室した病棟でも理解してほしいし、連携としてあった方がいいと思うのですが、現状として、病棟が必要としているかというと、そこは活用できるのかはわからないですね。むしろ、そこをつなげていくのかも課題かもしれません。

本当は手術前からの関わりも大切なので、手術機管理チームとも連携が可能だといいのかもしれませんね。
術前診察時に患者に説明した内容をカルテにあげているのですが、メインは手術室のナースで麻酔科の医師で周術期という分野で、各々のパートで説明をしているので、一貫した情報を共有するなど、効果的な運用ができるといいなと思います。

退院した患者さんの状況はICUの看護師さんたちは知りたいと思いますか?

もちろんそれが可能であったら嬉しいですね!元気になった姿がみれたら、やりがいにつながると思います。

投函箱というのがあって、退院後になにかあればご意見を書いて投函してもらうものなのですが、以前、ICUの環境を改善するために睡眠の質や、照明や病棟内の音についてのアンケートをとったことがありました。

その中に「夜間のコール音や照明が気になった」というお声があったので、状態の安定している人は夜間はナースコールを小さくしたり、モニターを暗くしたり工夫するようにはなりました。

ICUダイアリーに入れる項目について何かご意見ございますか?

写真とテキストが打ち込めるのがあればよくて、そこにデザインが簡単にできればいいのかなと思います。ベースのテンプレートがあるといいですよね。色々細かいと逆にハードルがあがるかも・・・

スケジュールなどは時系列はいらないですし、毎日必要ないので患者さまの状態がステップアップした時など、トピックに沿っていればいいのではと思います。

家族や患者に共有したいなと思うこと、わりとささいなこと
例えば、ベッドから降りたとか、座ることができたとか、患者さんが文字を書いたとか…

その場合はそれを撮影して写真で取り込むだけにしておく。日記をつけるタイミングは、何かトピックがあった時がいいと思います。

また、リハビリはわかりやすくステップアップのかたちになって、
患者さんのモチベーションになると思うので、トピックとしていれるといいと思います。

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ICUダイアリーの内容を充実させるための項目について、色々なヒントをいただけました。何気ないことでも、ダイアリーを通して患者さんや患者さんご家族にとって嬉しい変化を知ることができ、元気になろうとする活力になるのではと思いました。そういった意味でもICUダイアリーのできることはたくさんありそうです。

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