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【絵本レビュー】 『あおくんときいろちゃん』

作者/絵:レオ・レオーニ
訳:藤田圭雄
出版社:至光社
発行日:1967年6月

『あおくんときいろちゃん』のあらすじ:

絵の具で描かれた青や黄色のまるが生き生きと動きまわり、絵本ならではの夢と感動をもたらしてくれる。作者が孫のために作ったという人間愛あふれる絵本。

『あおくんときいろちゃん』を読んだ感想:

「ただの絵の具の丸なのになんて表現力!」が私の第一印象です。うちの4歳児も感じるところがあったようで、じーっと見つめていました。そして緑になった時には、「あっ!」と大反応。

覚えている限り私には「大親友」というものはいませんでした。幼稚園でも学校でも行けば仲良く遊ぶ友達はいたけれど、もう一緒にいたくて!というような友達はいなかったように覚えています。小学校の時には「親友」という言葉さえ苦手と感じるくらいだったのですが、それは今もあまり変わっていないような気がします。ただ今は、親友を持つことよりもコミュニティを持つことの方に興味があるので、いろんな友達と助け合っていくことに重点が行っている、ということで納得しています。

現在4歳の息子を見ていると、彼の友達関係は私のとだいぶ違うことに気がつきます。時には羨ましいと感じることすらあります。「私、子供の時君みたいな友達がいたらよかったなあ」と思っている自分にちょっと苦笑いしてみたりとか。

息子には数人とても仲の良い友達がいるのですが、そのうちの一人はLちゃん。彼女がまだつかまり立ちをしていた時からのお友達です。息子はLちゃんより7ヶ月年上なので当時すでに走り回っていたのですが、ゆっくり歩くこと、待ってあげることなどをLちゃんの成長と共に学んだように思います。今はLちゃんも大きくなってあと数週間で4歳になりますが、息子が彼女をいたわる様子は傍目にもはっきりと見えます。もちろんケンカもよくして、1日遊んでいると、よそよそしい→近づき→遊ぶ→口喧嘩→距離を置く→近く→Lちゃんが息子の真似をする→二人で子犬のようにじゃれて遊ぶ→帰りたくない、というパターンを繰り返していきます。

これは遅れて着いた私に、ママ友達が話してくれたことです。ある日Lちゃんと遊んでいた時、別の仲良しのお友達が加わりました。息子は喜んでそのお友達と遊び始めたのですが、Lちゃんは急にシャイになってパパにくっついてしまいました。そしたら息子が戻ってきてLちゃんの隣に座りました。「あそぼうよ」というとLちゃんはパパに顔を埋めてしまいます。そのあと息子が彼女に言ったんだそうです。

「みて、あそこにいるのはFとT。ぼくのともだち。ふたりがLのともだちににもなったらいいな」

結局その日Lちゃんは他の二人とは遊ばず、息子はLちゃんが帰るまで一緒に遊んで、そのあとFちゃんとTちゃんと遊びました。そのママ友達は、「いたわり方がカップルみたいで!」と感動していましたが、私は彼がどこでそんな考え方を身につけたんだろうと感心していました。私が彼の年齢の時、こんな人間関係のスキルはなかったので、私から得たものではないことは明らかです。こんな小さい時に大切な友達のいる息子が羨ましいと思う母でございます。

『あおくんときいろちゃん』の作者紹介:

レオ・レオーニ(Leo Lionni)
1910年オランダ アムステルダム生まれ。イラストレーター、グラフィックデザイナー、および絵本作家として、米国でもっとも活躍した芸術家のひとり。「あおくんときいろちゃん」(至光社刊)「スイミー」「フレデリック」「アレクサンダとぜんまいねずみ」「さかなはさかな」「うさぎをつくろう」「じぶんだけのいろ」(以上好学社刊)などの作品がある。1999年没。ヴィル奈宝子も画家です。2015年には母娘で三人展も行いました。


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