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米国株の4月アノマリーの正体は?

春の訪れは新たな始まりを意味しますが、米国株式市場では特別な意味を持ちます。

米国株市場において、4月は統計的に見て株価が上昇する傾向にあることが知られています。

この「4月アノマリー」の背景として、税の確定申告という米国の年次行事が大きく影響していると説明されることが多いです。

しかし、本当に税の確定申告の日程が米国株式市場の動きに影響を与えているのでしょうか?

この記事では、3月下旬から4月にかけての株価の動きと、それが確定申告期間とどのように関連しているのかを過去のデータを使って探ってみたいと思います。

4月アノマリー

米国株式市場において4月は年間でパフォーマンスの良い月の一つです。
1944年から2023年の80年間のS&P500のデータでは、4月(+1.53%)は12月(+1.6%),11月(+1.56%)に続いて3番目に月間騰落率が良好な月となっています。

過去80年間のS&P500の月別騰落率

4月に株価が上昇する具体的な理由は完全には解明されていませんが、多くの専門家は米国の確定申告期間との関連を指摘しています。

確定申告と株価の関係

米国における確定申告と4月アノマリーが関連するとはどういうことなのでしょうか?

米国において、確定申告の期限は通常4月15日となります。
多くの投資家が税金の払い戻しを受け取る4月には、追加の資金が市場に流入することが予想されます。

つまり、税金の還付によって得られた資金は株式市場に再投資され、結果として株価を押し上げると考えられています。

一方、確定申告期間の影響は、3月下旬から4月上旬にも及びます。
投資家が確定申告に向けて資金を準備するため、この時期に株の売却を迫られる可能性があります。

このような行動は短期的に株価を下げる要因となりますが、4月に入ると新たな投資資金の流入によってこの下落が補填されることが一般的だとされます。

実際の過去のデータから見える動き

今回は1944年から2023年の間における3月と4月の株価推移を調べてみました。

確定申告のスケジュールの影響がどのように出るのかを確認するため、各日付の平均騰落率を算出し、株価の動きをグラフ化しました。
*厳密には非営業日の影響があるため、少しずれが生じます。しかし、大きな傾向を見るために簡略化して提示しています。

3月から4月にかけてのS&P500の動き

3月から4月のS&P500の動きを見ると、3月下旬から4月初旬にかけてやや横ばい気味の推移になっている期間が見て取れます。
かと言って、大きく下落するわけでもなく、階段の踊り場のような形になっています。

3月18日から4月30日までのS&P500

3月18日以降だけを切り出してみると、この4月初旬までの踊り場部分を抜けると急速に株価が上昇し始めていることが分かります。
まさに強い4月相場を象徴するような上昇ですね。

もちろん、これだけでは確定申告の影響なのかは断言できません。
しかし、米国株式市場では年度末から株価は停滞気味になり、その後は米国の確定申告の期限である4月15日よりもやや早い4月上旬のタイミングから株価の上昇が見られることが過去のデータから分かりました。

期限である4月15日よりも以前に確定申告を済ませて還付金を早めに受け取る人が一定数いることを考慮すると、期限よりも早いタイミングで資金が市場に戻ってくること自体は不思議ではありません。

まとめ

私自身もこれまでに何度か4月アノマリーと米国における確定申告のスケジュールの関係を耳にしたことがありました。

しかし、「実際にどの期間に影響がでるのか?」、「どの程度影響がでるのか?」といった疑問はずっと抱えていたので、今回過去のデータを調べてみてスッキリしました。

因果関係までは断言できませんが、米国における確定申告のスケジュールによる説明は十分妥当な仮説であると感じました。

まさに今週から年度末に近づいてきますが、今年の3月下旬、4月の米国株市場はどのように動くのでしょうか?
答え合わせをするつもりで市場の動きを追っていくのも面白いかもしれませんね。

↓の記事では4月の足踏み相場にどう対処するかについて書いています。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

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*実際の投資判断については自己責任でお願いします。

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