支う

みなさんは「支う」を読めますか?
「支う」と書いて「かう」って読むそうです。

1 棒やくさびなどを、物に当てて支える。当てがって支えとする。
2 鍵やかんぬきなどをかける。

と言う意味らしいです。

最初に知ったのは名古屋の方言としてだったと思います。
名古屋では「カギをかう」って言うと「かぎを掛ける」という意味って話をネットで見かけました。(確かTwitter)
不思議だなぁとは思ったんですが、すぐに北海道の方言「じょっぴんかる」を思い出しました。
「錠(じょう)をかける」って意味だと思うんだけど、「かる」がイマイチ分からねぇなってずっと不思議だったんですよ。
「支う」を知った事で「かう」からの変化で「かる」になったんじゃないかと予測できるようになりました。

北海道で「かる」といえばもう1つ「つっぺかる」があります。
鼻血が出た時に鼻にティッシュを詰める行為が「つっぺかる」。
使用用途が狭すぎないか?と思わなくもないのですが、こっちも謎だったんですよね。
カギ掛けるのと、鼻に詰め物するので何で同じ動詞なんだろう?と。

これも元の意味が分かると理解できますね。
引っ掛けるとか、支えにずる状態が「かう」であれば、かんぬき(たぶん後に同じ様な効果があるカギでも使われるようになった)をかけるのも、詰め物をして傷口を塞ぐのも同じ動詞になるのは分かる。

じゃあ、名古屋の言葉が北海道に行った(北海道開拓の際に愛知から北海道に移住した人達がいる)のかと思ったんですが、漢字が存在してて、辞書にも載ってるってことは方言じゃないなと気づきました。
たぶん、古い言葉が残っている地域と、そうじゃない地域があるだけなんじゃないかと。

で、調べてみたら、長野や山梨で「かう」をつかっている事が判明しました。
松本弁で鼻血が出た時の詰め物をする時も「かう」だそうです。
ドンピシャですね。

元同僚の方で山梨の出身の方がいるのでそちらにも聞いてみました。

「こっちに来てからほぼ標準語で話してるけど『かう』だけはどうしても言ってしまう方言。ちなみにボタンも『かう』です。標準語で『掛ける』を使う時にほぼイコールで『かう』」(意訳)

なるほどなぁと思って更に調べてみたら「普通のブレーキ(フットブレーキ)は『かける』だけど、サイドブレーキは『かう』」と言う話を見つけました。
サイドブレーキはフットブレーキとは違い支えてる感じがあるからでしょうか?
たぶん「支う」の使い分け方を意識してやってるのではないと思うのですが、感覚で使い分けている気がします。

他にも調べてみたら、秋田や青森でも「かう」を使うらしい事が判明。
使われている範囲が広くてバラバラな事を考えると、やっぱり方言というよりも古い言葉が残っているだけの様な気がします。

以上、「支う」の話でした。

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