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【#1】 歴史は全ての学問に繋がっている!?~映画「タイタニック」から学ぶ~

皆様、あの超有名映画「タイタニック」をご存知でしょうか?
アカデミー賞歴代最多受賞という記録を誇り、見たことはなくても名前と何となくの内容は知っている、という方がほとんどではないかと思います。

今年は、公開25周年を記念して”3Dリマスター版”が期間限定で上映されていました。(2023.2.10~2023.2.23まで)
再び、あるいは初めて、あの感動をスクリーンで堪能することができた人も多いのではないでしょうか。

しかし実は、
映画から歴史を読み解いていくと、タイタニックにはたくさんの面白い学びが詰まっているのです!

ひとつの映画から、どんな歴史を見て取ることができるのでしょうか?
ごくごく一部分ではありますが、今回の記事では具体的に3つのシーンを挙げ、タイタニックに隠れた学びを見ていきたいと思います。


主観になりますが…
歴史とは全ての分野が繋がって、重なって、山の頂上に成り立っているものだと思います。歴史は、全ての学問を究めていくと必ず辿り着く場所です。

その歴史を知ることは、広い分野への興味を引き出すきっかけになるかもしれない。
【勉強が楽しくなる、興味を引き出す、世界が広がる無料教材】を目指すこのサービスにとって、第1回の投稿のはもってこいの内容だと思いました。

〈タイタニックについて〉

初めに、タイタニック号の沈没事故と映画についてざっくりと説明します。見たことある・知っている方は飛ばしても問題ありません◎

タイタニック号について

  • イギリスの海運会社 ホワイト・スター・ライン社によって作られた当時最大級の豪華客船。

  • 1912年4月、乗客乗員約2200名を乗せた処女航海の最中に氷山に衝突。その約2時間40分後に沈没した。

  • 生還710名、1513名が死亡。

  • 乗客は一等客から三等客に分かれていた。一等客は豪華な部屋に高級料理、カフェや図書館などを楽しむことができた。一方で三等客の部屋は、2段ベッドが複数置かれただけの狭い相部屋であった。

映画「タイタニック」について

  • 1997年公開、監督はジェームズ・キャメロン。

  • 主演はレオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット。

  • タイタニック号が沈没した事故をもとに、事実を忠実に再現しながらも、”ジャック”と”ローズ”という架空の乗客のラブストーリーやその周囲の人間模様を描いた作品。

  • ジャックは貧しい若者。出航直前にポーカーで切符を手に入れて、タイタニックに乗船する。

  • ローズは上流階級のいわばお嬢様。婚約者とともに乗船していたが乗り気ではなく、ジャックと身分を超えた恋に落ちることとなる。

  • 生き残るため、沈みかけた船から海に身を投じる人や、水が流れ込む部屋の中で死を覚悟し眠りにつく夫婦、混乱して我を失う人など……様々な模様が見て取れる。これは、事実に基づいた再現だとされる。


さあ、下準備は出来ましたか?
ここからが本題です。映画に詰まった歴史を、シーンごとに紐解いていきましょう。
では…いざ出航!


〈シーン① 最期まで演奏を続けた音楽隊〉

―― タイタニック号が氷山に衝突。水が少しづつ侵入し、船は傾いていく。この船は沈むと誰もが確信し逃げ惑う中、「俺たちの仕事を続けよう」と最期まで演奏をし続けた音楽隊がいた。――

さて、どうしてこのようなシーンが生まれたのでしょうか?

この疑問に答えるため、まずは豪華客船の歴史を遡ります。
もともと長期間の船旅を楽しむための客船は、冬季に温暖地域への巡航サービスが企画されたのが始まりでした。
そして1844年、イギリスがクルーズを開始。これが広まると、大手海運会社に定着し普及していきました。
この大手海運会社の一つが、タイタニックを作ったホワイト・スター・ライン社です。

ホワイト・スター・ライン社は、同じくイギリスの海運会社と激しい競争を繰り広げ、数々の客船を生み出します。その競争の中で、ひときわ「豪華さ」にこだわって作られたのがタイタニック号でした。

その豪華さを象徴する設備・サービスのひとつとして、「音楽」があったのではないかと考えられます。
一等客はラウンジでピアノやその他楽器の生演奏を楽しむことができました。そのため、タイタニックには音楽隊が乗船していたのです。

少し話は逸れますが…
この時代、こういった船に乗って音楽を演奏する「船の楽士」によって日本にジャズが伝わるなど、音楽の広がりは交通事情に影響されたようです。


こうした時代背景を知ると、豪華客船に音楽隊がいた時代だったからこそ生まれたシーンなのだと分かりますね。

さて、別のシーンについても同様に考えていきましょう。
続いても、タイタニック号の「豪華さ」に関係する話です。


〈シーン②逃げる一等客、閉じ込められる三等客〉

―― 船底に近い三等客室は浸水が始まる。多くの三等客は、どうにかして救命ボートのあるデッキに出ようと走る。しかし、外に出るための階段は、目の前で船員によってゲートが閉められてしまった。意図的に閉じ込められたのだ。――

さて、どうしてこのようなシーンが生まれたのでしょうか?

ここには、当時の階級格差の様子が反映されていると考えられます。

19世紀後半から20世紀前半のイギリスでは、今でも残るほどの激しい階級格差の意識があったそうです。
産業革命を経験し、資本主義の社会が出来上がっていく過程で、生活レベルに差が生まれました。職業や収入、生活様式、家系などによって、階級は左右されます。

タイタニックにおいて、緊急時に三等客が杜撰な扱いを受けた理由の一つに、この格差の意識があったのではないでしょうか。

また、この船はイギリス→アメリカ行でした。
当時はアメリカへの移民・夢追い人が増え、自由や平等を訴える風潮が強くなっていました。
『イギリスからアメリカに行けば、階級など関係なく成功するかもしれない…』
そんな考えで、タイタニック号の切符を手に入れた人もいたかもしれません。

にも関わらず、閉じ込められ、自身の階級が一つの原因となり命を落とす。また、主人公のジャックとローズの恋も、その身分差を良く思わない周りの人間たちに引き裂かれていく。
…このような描写から、映画には階級社会への皮肉が込められていたのではないか、と個人的には感じます。

続いては、これまでと少し視点の違う話をしたいと思います。


〈シーン③火夫の肉体労働〉

―― 一等客室の隅々まで美しい様子を見ると、同じ船内とは思えないほど、船底で肉体労働をしている人々が映し出される。石炭を運び、燃やして、船を動かしている”火夫”だ。氷山に衝突した際には一番に水が流れ込み、逃げ遅れる人もいた。――

さて、どうしてこのようなシーンが生まれたのでしょうのか?
ここでは少し切り口を変えて、どうやって船は動いていたのか?という点からみていこうと思います。

まずはタイタニック号の仕組みについて。
石炭ボイラーが設置されており、その後方の蒸気機関によって3つのスクリュー(航空機でいうプロペラ)を駆動していました。

蒸気機関について簡単に説明すると、ボイラーで石炭を燃やし、発生させた蒸気の圧力でピストンを動かし、輪を回転させるものです。
つまり、輪を回転させるために必要な"押したり引いたり"の動きを、空気の力でやってもらう……というイメージでしょうか。


この蒸気機関は、産業革命に伴い発明され、1800年頃から船に使用されるようになったそうです。
それ以前は、船を動かす方法は人力(カヌーなど)から始まり、風力(帆をあげて風の力で動かす)、そして蒸気機関の発明後にも、石炭ではなく石油を使うエンジン、原子力が使われるなど、技術とともに変わっていきました。

タイタニックはあの時代に生まれたからこそ、蒸気機関の仕組みが必要で、石炭が必要で、火夫が必要で、船底で肉体労働を強いられる人々がいた……
だからこのシーンが生まれたということです。

このように、物理や化学の力によって技術は進歩し、それに伴い歴史は動いてきたのですね。


〈まとめ〉

タイタニックというひとつのテーマから、たくさんの学びが得られることを、少しでも楽しんでいただけたでしょうか?
文系・理系の学問全ては「歴史」に繋がっているような気がしませんか?
むしろ繋がっているというより、全ての学問は1つの「歴史」というカテゴリーの内部にあり、便宜上、特徴ごとに分野を分けているのだと個人的には思います。

何か興味を持った学問があったら、その隣にいる学問も見てみると、思わぬ所で繋がって新たな発見があるかもしれません。

それが、私の考える勉強・社会を知ることの面白さです。
そしてこれが、私がnoteをやる理由です。


例えば「船を作りたい」と思っても、その見た目のデザインを考えるだけで船は完成しません。
今回のタイタニックに関して言えば、蒸気機関の仕組みを理解し、ボイラー室やスクリューの設計をしなくてはなりません。階級社会のことを理解し、それぞれの部屋や動線を分けなければなりません。

この記事をきっかけに視野を広げて、様々な分野の勉強を楽しんでもらえたら、と思います。


読んでいただき、ありがとうございました。
次回もお楽しみに…!



※実際の沈没事故よりも、映画での描写を中心に取り上げて考察しているため、事実とは若干異なる可能性があります。
※個人的に調べた情報であるため、間違いがある可能性があります。

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