フーコーと法

前回紹介した関良徳氏の「フーコーの権力論と自由論」が面白かったので、引き続き、関氏の監訳の「フーコーの法」勁草書房2014年、オリジナル2009年を読んでみた。
 後期のフーコーもきちんと読まれており、解釈学から自己の形成と統治、そして他者への統治といったことや講義録もフォローされ、読み応えがある。特に第3章に性の歴史の「自己への配慮」と真理の表出であるパレーシアを組み合わせた再構成、その結果目指される生存の美学がうまくまとまっている。
 さらにゲイについても展開されていく。ここらへんは他のレビュー著作ではあまり展開しきれていない珍しい展開である。
 そういった個人の社会化、共生をえがき、著者はあらためてフーコーの講義からのギリシアの法とヨーロッパでその伝統が閉ざされ復活する様子をぶつけて、共生としての法は流動的で偶発的な真理、法の応答性は未来への可能性だとまとめる。さすがアメリカの明快な議論の展開の仕方である。
 うまい!一本!という結論である。

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