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映画「フェアプレイ」と転げ落ちる男

ネットフリックスに映画フェアプレイが予告された時から興味のあるテーマだった。

同期で婚約中のヘッジファンドのカップルの女性側が昇進することになり二人の仲はギクシャクし始め。

というストーリー。ネタバレになるのでストーリーはこれ以上書けないが、ポスターのダークな感じを見れば結論はなんとなくわかるだろう。

クロエ ドモントが長編監督デビュー作として脚本および監督した 2023 年のアメリカのエロティック スリラー映画。フィービー・ディネバー、オールデン・エアレンライク、エディ・マーサン、リッチ・ソマー

英語のヒアリング強化として英語音声プラス英語字幕で見たのでところどころストーリーが欠落してしまっている。もちろん怪しい時は日本語字幕で部分的に確認してるけど。

https://www.netflix.com/title/81674326


見終わった後、なんともやるせない気持ちになる。パートナーだけが昇進したら私もこうなるのかもしれないし、ここまで行かなくてもその生活に慣れるのに時間がかかるかもしれない。
 教訓的に見るなら、今の労働では男女は対等であるのでこのようなことはよくあると考えると若い男のメンタルを変えていかなくてはいけないかもしれない。男性目線で言うなら男性優位でいたいなら男の方は相手を脅威にならないくらい年下にするとか。女性目線だったらそうなっても自分を応援してくれる男を吟味するとか。あるいは,そのような女性だったらはじめから部下の男性をパートナーにするとか。(映画とか漫画ではある。見てないけどサンドラブロックの「あなたは私のムコになる」、漫画では最近人気の設定では。)
 この映画のストーリーが成り立つということは、アメリカでも女性のパートナーが出世するということにはまだ男が追いついていないのだろう。
 女性の監督を起用しているので、女性の譲れるところギリギリまで描いているとしてもいいかもしれないが、違和感があったのはスリラー仕立てになっていて、アメリカ映画だったら通常後半訴訟映画だったのではないのになぜ?と思ってしまう。結婚してないからか?
 このような男女の逆転の関係は日本のナラティブではもっと早くから奥田祥子氏が本をまとめていて読んだものもある。
「シン・男がつらいよ 右肩下がりの時代の男性受難 (朝日新書)」
「男という名の絶望 病としての夫・父・息子 (幻冬舎新書)」
「「女性活躍」に翻弄される人びと (光文社新書)」
 漫画だったら山田可南氏の「私の彼は仕事ができない」。こちらは付き合ってる彼氏が失業、再就職したらなんと彼女の直属部下に配属されてしまった、という話であるが彼氏はしれっとしていて安定している。
また、最後まで読んでないが柴門ふみ氏「非婚家族」。
 仕事で上司部下だったら家庭ではカップルはどう振る舞うのだろう?期待されるように男が上司ならば、それはいままで女性が我慢して成り立ってきたことなのだろう。逆だったら男が耐えられるかどうかは難しい選択と提示されているのだから。
 実は、この映画の男女はストーリーを進展させていくべくある設定がされていて、前半早くにわかる。もともとそうだったのである。それが明らかになってきた時の二人の行動を考えると、自分ことのように受け止める必要がないかもしれない。
 それに、ヘッジファンドなんて数年でレイオフされそうである。今のように市場の金を回収するべく金利を上げている状況では非常に厳しい。どのみち二人とも転職するはめになる。そう思うとここでギクシャクしなくても、と思う。
 男はこれまで男であることだけで優遇されてきた。多少のことは見過ごしてもらえたのではないか。告白しよう。私はこの映画をみて2日くらいなんでこうなった?自分なら?と頭がぐるぐるして夜もぐっすり眠れなかった。私もきっとすぐには受け入れられない。私の頭の中は十分古いことを痛切に感じた。もう五十過ぎなので許して。映画としてはすごく気に入った!でも見返すのが怖くて日本語字幕で見れない!ネットフリックスある方は是非!?

PS
この映画紹介をしたいので先に書いてあたためていた、「男も家事をしないと結婚してもらえない、そして自由」を先にリリースした。そうしたらノーベル経済学賞も男女がテーマ。続くものである。

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