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過去が変わるとき

ネガティブな過去がとてもポジティブなものに変わった。こんなことってあるのかと思って、私って素敵かもしれないって思えた。

私がずっと整理できていなかった過去の出来事。それは6年前。

私は中小企業に勤めて7年でかなりベテランの方だった。会社から必要とされていると思って、私なりに頑張っていて、結婚しても上手に仕事を続けたいと思っていた。

しかし、ある時に、癌で治療中の父の容態が悪くなった。母から連絡を受けて、次の週末帰省しようと思った。ちょうどシルバーウイークで連休だった。

帰省して、父に会ったら明らかに1か月前のお盆に会ったときとは違った。

寝たきりでしゃべれなかった。うなって反応している気もしたけど、意思疎通ができなくなっていた。

これもうすぐ死ぬってことなのか?

全く予想してなかった。急にしゃべれなくなっていく父に母もびっくりしていた。

ずっとこの状態なのか、死ぬ寸前ってことなのか、はっきりしなきゃと思っって、主治医の先生に聞いた。

『もって1週間~10日くらいだと思います』と言われた。

やっぱりか。そうだよな。冷静な私もいたけど、1週間で死んでしまう人を見守らなきゃと思った。完全看護の病院で看護の必要なんてないけど、ついててあげなきゃと思った。

会社に電話した。帰省する前にあらかじめ父の容態が悪いことやもしかしたらってことは上司に伝えていた。

『父の余命があと1週間~10日で、私はこのまま地元に残って父を見送りたい』と伝えた。

上司は、『だったら退職してください』と言った。

私はショックで、ほかに方法はないのか尋ねても無駄だった。

『わかりました、退職します』と言った。

その後、父は頑張って約1か月ほど生きてくれた。母と一緒に病院に泊まりながら付き添った。こんなに父と母と一緒に過ごすのは何年ぶりだろうと思った。

父が亡くなって、もう会えないのかと思うと悲しかったけど、やり切った思いもあった。私はそれ以上に、クビにされたことが悔しくて許せなかった。

地元の友達が父が亡くなって帰省している私に会いに来てくれたりしたけど、私は友達に父の悲しみよりも会社に対する不満と怒りをずっと聞いてもらっていた。

父の葬式には、母の勤務先、弟の勤務先から花が届いていた。夫の勤務先からは電報が届いていた。私の会社からは何もなかった。それも悔しかった。

悔しい気持ちと、ベテラン社員の私が急に抜けたことで会社に迷惑をかけてしまったことにも申し訳なさを感じていた。クビにするくらいだから、上司はとっても怒っていたんだろう。会社はあの後大変だったんだろう。

7年在籍していたのに、こんな終わり方をさせた会社が許せなくて
7年在籍していたのに、こんな終わり方をしてしまったことが申し訳なくて
ずっと父の死を静かに悲しむことができなかった。

これが私の中でネガティブな記憶として未消化のままずっとあった。


今日、弟と話していてこんな風に言われた。(いろんな話をしていたから何がきっかけか忘れたけど)

『あすかは、会社をやめてまで親父を見送ったんだから、あすかは愛がある人だよ、親父は幸せだったと思うよ。会社はあすかがいなくても回るとおもうけど、家族に代わりはいないもの。やっぱり家族にしか見送ることはできないよ。あすかは素晴らしいと思ったよ』

これを聞いて、
【私は会社をクビになったわけじゃなく、会社に迷惑をかけた人なわけじゃない。ただ愛の選択をしていたんだ。私にしかできないことを自分で選択していたんだ。なんて素晴らしいんだろう。】
って思えたんです。

私のネガティブな過去が、愛を選択したという素敵なポジティブな過去に変わった瞬間でした。

物事や出来事は、多面的だと思いました。
ある人はネガティブにとらえるし、ある人はポジティブにとらえるし、どうでもいいと思う人もいます。
私は、ネガティブな方でとらえて、そこから抜け出せませんでいた。

会社から見捨てられたという私の思いは、もしかしたら、会社側も感じていたんじゃないかと思いました。私が会社を選ばなかったということに。
そんな風に考えられた、恨んだりネガティブな感情を持ち続ける必要がないから楽になれます。

今日はいい日でした。

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