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肩腱板筋の作用

こんにちは!
3年目理学療法士の田中です.(insta:@output_nodeshi)
前回は肩関節腱板筋群の起始・停止について書かせていただきました.

今回は肩関節腱板筋群の作用編です('ω')
前回の内容を見ていただいてからこの記事を読んでいただけると
理解しやすい内容となっていますので,ぜひ1つ前の記事も読んでいただけると嬉しいです.


では本題に入っていこうとおもます!

①棘上筋の作用

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前回書いた通り,棘上筋は前部線維と後部線維に分かれます.
作用を把握するのに大切なのは,運動軸中心のどこに付着しているかだと思います.
棘上筋は内外転軸の上方にあるため,外転に作用します.
前部線維は内外旋軸の前方に位置しているため,内旋作用になります.
そして屈伸軸では前部線維は前方にあるため,屈曲に作用すると言われます¹⁾.


②棘下筋の作用

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棘下筋の主な作用は肩の外旋筋です.
ここでも大切なのは運動軸中心のどこに付着しているかです.
棘下筋の斜走線維は2つの付着部に分かれます.
大結節の後面に付着する線維は内外転軸の下方に位置するため作用としては内転です.また,上面に付着する線維は内外転軸の上方に位置するため作用は外転になります¹⁾.


③肩甲下筋の作用

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肩甲下筋の主な作用は肩の内旋です.
肩甲下筋は上部線維・中部線維・下部線維の3つに分かれます.
肩関節回旋中間位での外転肢位において,上部線維は下垂位で最も作用します.また中部線維は60°挙上位下部線維は120°挙上位で最も作用します⁴⁾.

肩甲下筋は他の腱板筋と共同して骨頭を関節窩に押し付けることが役割として大切になります.
肩甲下筋の各線維と上腕骨長軸の関係から,上腕骨長軸に対して直角になるような線維が作用すると考えられています.そのため挙上角度によって作用する線維が異なってくるということです.


④小円筋の作用

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小円筋の主な作用は外旋と内転です.
小円筋は棘上筋・棘下筋に比べて下方に位置しているため,上腕骨頭軸に対いて直角くらの位置になるはある程度の角度が必要になるかと思います.
そのため屈曲120°または外転150°での筋活動が最大になると言われています⁵⁾.

そしてもう一つ大切な役割があります.
小円筋は後方関節包に直接付着するため,肩の外旋に対して関節包の関節内への挟み込みを防止します
関節内は基本的に陰圧のため引き込む力が発生しています.その引き込みを防ぐために関節筋と言われる筋肉が各関節にはいくつか存在します.肩関節においての関節筋の一つとして小円筋が存在しているようです⁶⁾.


⑤Force couple(フォースカップル)

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皆さんはforcecoupleをという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
forcecouple関節が動く際に安定させる筋肉が作用することを言います.

肩関節におけるforcecoupleは沢山ありますが,代表的なものをここでは紹介したいと思います!

肩関節の屈曲動作・外転動作に作用する三角筋腱板筋群のforcecoupleがあります.三角筋は主動作筋(アウター筋)として作用し,腱板筋は補助筋(インナー筋)として作用します.

肩関節屈曲動作では,主動作筋の三角筋前部線維より先行して棘上筋・肩甲下筋が働きます.そして棘上筋・肩甲下筋(一部)の活動は挙上角度増大に伴い減少していきます.そしてそれに伴い棘下筋屈曲角度増大に伴い増加していきます.

肩関節外転動作では,主動作筋の三角筋中部線維より先行して棘上筋が働きます棘下筋・肩甲下筋は棘上筋を追いかけるように,外転角度増加に伴い活動が増加していきます⁷⁾.


今回は以上になります.最後まで読んでいただきありがとうございました.
前回は解剖学的なところをメインに書かせていただいたので,今回は少し臨床で使いやすい内容にないたのではないかと思います.
この記事を読んでいただき,少しでも読んでくださった方のお力になれたら幸いです.今後ともよろしくお願いいたします!

次回は肩関節のX線所見についてです!
それではまた…('ω')


【参考資料】

1)北村清一郎,他:運動療法 その前に! 運動器の臨床解剖アトラス.医学書院
2)前田和彦,他:棘上筋停止部に関する解剖学的検討
3)望月智之.他:肩後上方部の解剖(棘上筋,棘下筋,小円筋の構造について).Bone Joint Nerve.Vol3 No4 2013.10
4)中山裕子.他:肩関節挙上角度と肩甲下筋の筋活動の関節.理学療法学 第35巻第6号.292‐298
5)Tsuruike, Masaaki et al. “Electromyography activity of the teres minor muscle with varying positions of horizontal abduction in the quadruped position.” JSES international vol. 5,3 480-485. 
6)吉尾雅春.セラピストのための解剖学-根本から治療に携わるために必要な知識-
7)福島秀晃,他.運動肢位の変化と肩関節周囲筋の筋活動.関西理学17:3-16,2017

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