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6.2 恋しい東南アジア タイ④

僕は最後の日に熱中症になりました。

その日は朝からずっと炎天下の中で寺院を巡っていました。

あまりの暑さにペットボトルの水3本、フルーツジュースを2本も飲みました。

タイは至る所にマンゴーやザクロなどのフルーツジュースの屋台があります。その場でフルーツを絞って作る100%生搾りフルーツジュースがなんと100円ほどで買えるのです。
(東南アジアの生ものは危ないと言いますが、果物ならちゃんと氷で冷やされて置かれているものを選べば大丈夫でした。しかし、あくまで僕の経験上です。)

寺院を見学した後、カオサン通りとよばれるバックパッカーの聖地を目指しました。

結構距離があったため、タクシーを使おうとしましたが、その日は何か特別な日だったようで、交通網が混雑していてタクシーに乗れませんでした。
そのため、僕たちはここからさらに30分ほど歩きました。


カオサン通りに無事着いて、昼ごはんを食べるためにレストランに入りました。

僕はガパオとレモネードを頼んみました。
注文がテーブルに運ばれいざ食べようとした時です。

僕は食欲が全くないことに気づきました。

ホテルで朝食を終え、そこからジュースと水だけを胃に入れて歩き続けてきたのに、おかしいです。さらにだんだん視界がぼやけてきて、冷や汗が出てきました。そして、流石にコレはまずいと思ってレモネードを口にしようとしたところ、それさえも全く受け付けません。

その時やっとこれは熱中症かもしれないと思いました。

タイの飲食店は基本クーラーではなく扇風機のみで、そんなに涼しくもなく近くのセブンイレブンに涼みに行こうなどと思いましたが、動けませんでした。

この後も予定があったけれど、動ける気がしなくて、僕は一人でホテルに戻ろうと思いました。友達は、そんな無理に行かなくていいから、一緒に帰るとまで言ってくれました。

僕はいろんな意味で泣きそうでした。

けれども、この状態ではホテルにも帰れないし、最後の最後にこのような結末は悔しいと思いながら、僕は何故だかレモネードを無理やり飲み干していました。

数十分後、不思議なことに僕の意識はしっかりして、耳鳴りや冷や汗がとまったのです。

あれだけ水を飲んでいたのに熱中症になった僕を救った、無造作に選んだお店のレモネードには何が入っていたのでしょうか。はたまた、僕のアドレナリンでしょうか。

そしてなんと僕は無事動けるようになったため、最終目標のタイ式マッサージ屋さんに向かいました。

カオサン通りは今やバックパッカーの聖地という名が示す通り安宿街であるため、妖しい雰囲気のお店が沢山あります。

その中で、僕たちはガイドブックに載っていた目的のお店を見つけました。

中に入ると、薄暗い蛍光灯に照らされた受付に案内され、本当に大丈夫なお店かと不安を感じました。

そうこうしているうちに、お店の人たちがなにやら温かい飲み物と水の入ったバケツを持ってきました。

バケツに足を突っ込むように言われたのでそうしてみると、なんと言えない絶妙な温度でとても良い香りもして、僕の不安は消されていきました。

しかしその後、人の表情が見えるか見えなかいかほどの、より暗い部屋に案内され、既に中にいるお客さんと混ざって雑魚寝のような形でうつ伏せにさせられました。また僕は不安になりました。

一人につき一人、お店の人がついて、まずはふくらはぎ、腰、背中と背面をマッサージされていきました。

先程の熱中症の時とはちがって、あまりの心地良さから僕の意識はどこかにいってしまいそうでした。

ドーパミンが脳内に放出されるという現象を直に感じられたように思いました。

そして次は、あぐらをかく体勢になりました。後ろから脇下に腕を入れて固定され身体を左右にぶんぶん振り回されました。振り回されながら視界に入った友達を見ると、友達は少し工程が先に進んでいたようで、頭を掴まれて首をゴキっとひねられていました。よくテレビで見る光景ですね。

僕は次にあれをやられるのかと振り回されながら恐怖を感じていると、いつのまにか頭を掴まれました。あーーーついにあれがくると!と思っている間に、僕も首をゴキっとやられました。

驚きです。
今までの重さはなんだったのだろうと思うほど、頭が軽くなったのです。

そして、僕は幸福に包まれたまま最後の仮眠タイムに至りました。

暗い部屋を出ると、また受付に通されました。今度は、冷たい飲み物とスイカをご用意してくれていました。

温めて、ほぐして、冷やされて、至れり尽くせりです。

お会計をすると、なんと1時間全身コースで、1000円以下でした。

僕はすっかり、復活しました。
こんな天国を後にするのが惜しいです。

「この後、飛行機に乗るのもったいないね」なんて話しながら、僕たちはチェックアウトを済ませるためにホテルに帰りました。


全て荷物をまとめて、僕たちはタイでの最後の晩餐をしました。

お目当ては、「プーパッポンカリー」というカニと卵の入ったカレーです。

お店に着くと、今までとは違うクーラーの効いた高級そうなお店で、飛行機に乗るような楽な格好できた子どもは浮きました。

丁寧な接客のためか、僕たちが警戒されていたのかわからないけど、店員さん数人に背後で見守られながら、僕たちは「プーパッポンカリー」を食べました。

これまた天国の食べ物でした。

卵のおかげでふわふわとした食感で、唐辛子の辛さとカニの甘味が絶妙なのです。

僕はその日から、プーパッポンカリーが気に入って、日本に帰ってからも食べています。

僕のタイ料理屋で働いてる友達が珍しがるほど、日本ではまだあまり知られていませんが、メニューをよくみるとあると思うので、是非一度召し上がっていただきたいのです。

夜市や水上マーケットで得体の知れない肉やフルーツを食べてもお腹を壊さなかって僕は、どこにでもある日差しという敵に負けてしまいました。

しかし、レモネードとマッサージと友達の優しさで僕は無事復活し、真夜中の便で日本に帰りました。

タイを満喫した僕は、すぐに眠りについてしまいました。

飛行機の座席に飛び込んだら一瞬でもう日本だったのです。


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