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妥協なき言論と表現の自由こそ、世俗に生きる知識人が死守すべき砦である

エドワード・サイード著、大橋洋一訳『知識人とは何か』平凡社、1998年。

スペインの哲学者オルテガがそうしたように、サイードもまた専門家・専門化を批判の対象としている。彼ら・それらは国家などの「失敗する神々」の側に立っているからである。

しかし、知識人が何のよるべもなく存在することは不可能である。ではどのようにすれば知識人は知識人たり得るのか。それは常に批判的な精神を持って主張することによってである。批判的な議論を自由に行える言論空間を守ることが重要であり、知識人の使命だとしている。

著者のサイードはイェルサレム生まれのアラブ・パレスチナ人。今見ても、これは非常に厄介な生い立ちに見える。しかしサイードは、イスラエルに対しても、パレスチナに対しても同じような姿勢で臨んでいる。この地域を巡る問題の複雑性を考えると、このような姿勢をとることは容易でないことのように思える。


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