E. H. ノーマン著、大窪愿二編訳『クリオの顔』岩波文庫、1986年。
本書の存在を知ったのは色川大吉『歴史の方法』で度々引用されていたことによる。そこでの引用部分が面白いと思ったため、本書に手を伸ばすことにしたのである。
これまで、ノーマンという人物の存在は全く知らなかった。彼はカナダの外交官で日本語が堪能な上、日本を愛し、日本に関連する多くの論考を遺した人物のようだ。本書に収められている論考は、ノーマンの外交官人生と赤狩りに追われた時期に書かれたものである。
ノー
辺見じゅん『収容所から来た遺書』文春文庫、1992年。
Mrs. Green AppleにSoranjiという曲がある。この曲は映画「ラーゲリから愛を込めて」の主題歌となっている。そして、この映画の原作となっているのが本書である。つまり、一つの曲をきっかけとして、本書にたどり着いたのである。
映画のタイトルにある「ラーゲリ」とは、ソ連による強制収容所を指す言葉だ。本書は、ラーゲリでの抑留生活について、山本幡男という実在の人物を主人公に描いた物語である。そこからは酷寒と貧相