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価値探しの夏休み「さとキャン」

実家のふるさとでキャンプする、略して「さとキャン」です。
外で遊ぶのが大好き、虫が大好きな、お子さんのいる家庭には、おそらく興味のある夏休みの話ではないでしょうか。また、子供だけでなく大人にとっても、何か自分らしいことを見出したい、発揮したい人にも、ぜひ読んでみてほしいです。


子供たちに最高の夏休みを!

私は熊本出身で東京暮らし、小学生男児2人を含む3人の子がいます。子供たちにとって夏休みの有意義な過ごし方のひとつとして、サマーキャンプなどの自然学校や自然体験サービスなどの選択肢もたくさんあります。
でも、高額な費用をかけて自然体験をさせるのは、なんだか釈然としない…。だって、私の田舎には自然が溢れているのだから。

「自分の小さい頃は…」みたいなオジサン臭い話はしたくはないのですが、夏休みってどこかに出かけるでもなく、とにかくワクワクする毎日でした。自宅周辺で友達と遊ぶ日もあれば、1人で外で遊ぶことも多かったです。遊び場は無限にありましたから。

そこで昨年の夏、東京で暮らす我が子たちに、とにかく「最高の夏休みにしてやろう!」と純粋な気持ちで考え始めたのがきっかけです。さらに、この機会を使って、この「あたらしさと」プロジェクトの方向性を探索してみようと考えました。

テーマは「価値探し」

当時、私はこの「あたらしさと」プロジェクトで石貫の魅力をどう見出そうかと、友人と議論している最中でした。自分でその「価値」を定義するのではなくて、まず子供たちの目線で見つけてもらうのはどうかと考えました。

真夏の盛りに野外で寝泊まりするのは、正直楽しめないと思い、デイキャンプ3日間の企画にすることにしました。
当初は漠然としていましたが、以下4つの”ねらい”が実現できればと考え、地元の協力者に声をかけてアクティビティを計画していきました。

  1. とにかく思いっきり楽しんで「遊ぶ」こと。子供たちにとって、一番の基礎的な価値は遊びだと思い、その環境と機会を用意しました。

  2. 但し、全てが用意されたものではなく、自分でチャレンジして「作る」こと。失敗する可能性も残したまま、何かを生み出したり、獲得する体験になるように心がけました。

  3. 里の魅力を引き立てて「食べる」こと。キャンプと言えば、食事はつきものです。自然の中での食事は美味しく感じます。食を楽しむ企画を考えました。

  4. 自分自身で何かを「発見」してもらうこと。来た人自身で価値あるものを見つけてもらえれば、ワクワクが高まるし、私自身も気づかないものが得られないか期待しました。

さとキャン基地にて

自然と共に過ごす3日間

運営は家族と知人に完全なるボランティアで協力を募ったので、大人数は対応しきれません。参加者は知り合いを通じて呼びかけ、我が家を含めた5家族での開催となりました。途中抜け、途中参加もありましたが、運営側も含めると24名、子供は小学低学年を中心とした10名です。初めて顔を合わせる子たちが多かったですが、打ち解けるまでに時間は掛かりませんでした。

当日を迎えるまでのワクワク感を高めるため、”しおり”を作ることにしました。3日間の”かつどう”内容をマップで示し、どんなことができるかをイラストで伝えました。

「さとキャン」しおり(表紙)
「さとキャン」しおり(中面)

4つの”ねらい”に沿って、主な活動内容をご紹介します。

1.遊ぶ

  • アスレチック
    自宅敷地内に自生する木を使って、簡易的な遊具を設置しました。ブランコや木登りなど、正直これだけでも子供たちは十分満足します(笑)

自然を使った手作りのアスレチック
  • 川遊び
    敷地に小川が隣接していて、浅瀬なので小さな子でも安全安心な川遊びスポットです。私も小さい頃から本当によく遊びました。

暑い夏は涼しくて快適!

2.作る

  • カブトムシ仕掛け作り
    我が家には徒歩10〜15分ほどで登ることができるクヌギ山があります。昔はよくカブトムシやクワガタが木を蹴れば落ちてきましたが、最近はあまり見かけなくなりました。この山でまだカブトムシを捕まえることができるのか?チャレンジです。ペットボトルを使って、バナナや酢を数日寝かせた餌にしたワナを仕掛けます。子供たちも一人一つずつ、自分の手でワナを作ります。
    仕掛けたワナを翌日の早朝、確認します。カブトムシを捕まえられた子もいれば、もちろん捕まえられなかった子も、クワガタだった子もいます。悔しくて泣いてしまう子もいます。でもそれが自然です。また次どうやったら捕まえられるか、工夫してみよう!

地元の”虫博士”の子が作り方をレクチャ
クヌギの木の高いところに紐で吊り上げます
翌日に捕獲した虫をみんなで見せ合う
カブトムシがいた!
  • 竹水鉄砲作り
    これまた敷地内に自生する竹を使って、おもちゃを作ります。小川で遊ぶための水鉄砲です。筒と押し棒を、竹のどの節目を使うか自分で決めます。 使い古しの雑巾の切れ端などを使って、ちょうど良い大きさになるように巻きつけます。これが意外と難しい。大きすぎても入らないし、小さすぎても水が出ない。巻きつけが甘いと、雑巾部分がスッポリと筒の中に取り残されます。
    これは私もやってみてわかったのですが、コツがあります。竹は地面に近いところほど太いです。筒の節目をどちらに残すかで、筒全体に対して入り口の広さが変わるんですよね。ここから先は、皆さん想像してみてください。

「僕はここからここまで!」
糸を巻き付けるのは、ちょっと力が入ります
「失敗した〜」
「大成功!」

3.食べる

  • そうめん流し
    もうひとつ竹を使ったアクティビティ&ランチです。夏といったら、そうめん流しですよね。楽しいだけでなく、自然の中で食べるとなぜ美味しく感じるんでしょうね。あっという間に無くなってしまいました!

「取れた!」「こっちまで流れてこないよ〜」
竹は半分に割った後、ハンマーやノミなどで節目をきれいに削り落とします
  • スイカ割り
    畑で採れたスイカを収穫し、小川で冷やした後でスイカ割りをして楽しみます。自然にあるもの、家にあるもので、楽しく美味しくいただきます。

スイカ採取
「こっち、こっち、今!」
みんなでいただきます!
  • ピザ作り
    手作りピザのクッキングです。生地をこねて、思い思いの形にしたら、お好みの具を載せて炭火グリルで焼きます。焼きたてのピザは格別ですが、さらに自分で作ったものが焼き上がったら、なんだか嬉しくてたまりませんよね!

手でコネコネして生地づくり
しばらく寝かせます「美味しくなりますように!」
生地ができたら、好きなように具を乗せます
「焼けたかな?」
ついつい食べすぎちゃう!

4.発見する

  • 生き物探し
    3日間を通して、子供たちには1つミッションを与えました。「”石貫いきもの図鑑”を作りたいから、生き物を見つけたら写真を撮って集めよう!」と。
    虫を見つけたら捕まえて、大人に写真を撮ってもらう。また、玉名牧場にも協力いただき、動物の観察や餌やり体験もさせていただきました。 撮った写真は印刷して、黒板に書いたマップ上の見つけた場所に貼り出して、ひとまず完成です。いずれ記録写真を元に本当の図鑑を作れたらなと思っています。
    3日間の最後には、石貫いきもの図鑑を完成させた子たちに表彰状を渡して、さとキャンは終了しました。

「何かいる!」
トンボ、GET!
大きなカエル!
玉名牧場で牛の餌やりをしました
「この虫はどこで見つけたかな?」
表彰式!
3日間お疲れ様でした

“あなた”らしさ

この「さとキャン」には、私の家族や友人、地元の知人が準備段階から絶大なる協力をいただきました。子供たちのケア、食事の準備、カブトムシの捕獲に至っては事前の下見やトライアルまで。本当に感謝しています。

私は「価値探し」をテーマにしたこの3日間から、恵まれた地元資源の価値を子供たちの笑顔を通して、確信が持てました。ただ、それだけでなく、もう一つの「価値探し」の可能性を感じました。

それは、自分自身の価値を探すことにも繋がるのではないかと思うのです。
「僕にはできなかったことを君はできたね」「でも僕はこんな珍しいものを見つけられたよ」「君と一緒にいるとこんなに楽しいんだね」そんな子供たち自身の価値を見つけ合うこと。
また一方、運営に協力していただいたい大人たちも、それぞれで自分のできること、スキルを発揮して、みんなで手作りした「さとキャン」です。
3日間、とにかく楽しいものにする、チャレンジする、美味しいものを食べる、新しい発見をするために、力を合わせて出来上がったものです。この中で私自身も自分らしさを発揮することができたし、各場面で関わった大人も”あなた”らしさを出せたように感じています。
何もないようで既にある、見えていなかった里にあるものに、そこで過ごす人が加わることで新しい価値が生まれるような気がしています。

さあ今年の夏は、どんなことを企画しようかな。これからワクワクしています!


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