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フードロスを考える⑤ ~開発は試作の連続、試作品の行方は?~

こんにちは! あたたけ です。

引き続き『フードロス』の話です。
前々回が販売の現場、前回が製造の現場でのフードロスでした。

今回は『開発の現場でのフードロス』を考えます。

あたたけも20年くらい前は食品企業で開発をしていましたが、
今も開発の現場に立ち会うことが、けっこうあります。

で、フードロスの視点から見ると、
『試作品をどうするか』という大きな問題に気づきます。

あたたけの場合、別にゼロから立ち会うわけではなく
『ある程度の形ができてからの検討を深める段階』
『ほぼ決まってからの最終確認段階』など、
だいぶ絞り込まれた段階での打合せに参加することがほとんどですが
それでもけっこうな種類の試作品が示されます。

当然、開発担当者のレベルで考えると、『会議のテーブルにのる』までに、それはもう大変な回数の試作が行われているわけです。
さらに、商品として決まるまでにもそれが続く。。。。。。


さらにさらに、開発完了(商品決定)と前後して、
テスト製造=実際の製造ラインでの試作』が行われることがあります。

食品という『そこまで高級品ではないもの』を
流通、販売しようとすると、それなりの大量生産になりがちです。
当然、キッチンレベルで作る場合とは条件が変わりますので、
テスト製造はとても大切です(by品質管理・食品安全担当)。
で、『実際の製造を見越してのテスト』ですので、
けっこうな量(いわゆる1ロットくらい)作らないと意味がないわけです。

と、商品が開発・発売されるまでに作られる試作品を考えてみましたが、
これらの開発途中に作られた大量の試作品って、
食べきれるわけでもなく、けっこうな割合で廃棄されてしまうんですよね。

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さて、試作品に限らず、販売や製造時の期限切れについても
フードロス削減のためには
(安全性が担保できるのであれば)持って帰ればいい!』と
思うかもしれませんが、これもなかなか難しいのが現実です。
(安全性の担保という壁がそもそも高いのですが)

試作品や廃棄品といっても『会社の財産』なので、
個人で持って帰ると懲罰対象になる会社も多い気がします。
(どこまで厳密にしているかは別ですが)

また、持って帰る機会が特定の人(関係部署)に偏ると
不満(不公平感)がゼッタイに出ますね。
となると、『組織に属する全員に機会が均等に与えられる』ことが
求められるでしょう。

さらに、『廃棄になったら持って帰って良い』とかになると、
『廃棄になることを前提で仕入れる』とかに繋がるでしょうね。

この辺りは組織の規模が大きくなるほど難しいのかもしれません。
イマドキは、ガバナンスとかコンプライアンスとかうるさいですし。

『SDGs、フードロス』と『ガバナンス、コンプライアンス』
どっちを取れば良いんでしょうね?
両立しようと思ったら、
組織や社内規定を根本から見直さないと難しい
気がします。

あたたけが良く見るテレビ番組に
『どこそこの会社の、○○が美味しい』みたいなのがあります。
そういう番組でたまに聞くのが
『会社のトップまで巻き込んだ開発会議で通すのが大変』みたいな話です。
見かたを変えると、そういう会社のトップの方って、
『開発段階でのフードロス』に気づいているはずなんですよね。

で、それと同じ会社が(小売や製造関係なく)、
『フードロス削減』を消費者に見える形でアピールしていると、
消費者にアピールするのも会社としては大切やろうけど、
 足元の改革には取り組んでるの??

とか、なかなかに性格の悪い感想が出てきますね。
(どこの会社とは言いませんが)

外向きのアピールをいくら行ったところで、
内向きの変化を起こさないと何も解決しない
気がします。
内向きの変化、つまり、会社のありようから見直し、
フードロス削減やSDGsに取り組んでいる会社ってあるんですかねぇ。。。

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さて、何回かにわたり、小売の立場から
(事業系)フードロスのことを考えてみました。
販売、製造、開発と色々な場面を考えましたが、結局のところ、
『自分たちにもできる、当たり前のことを当たり前にする』ことが
基本であり、限界
なのかなぁというのが、あたたけの結論です。
(結論ありきの話の展開になった可能性は否めませんが。。。。)

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それでは今回はこの辺りで。

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