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HACCPを上手く使ってる? ~給食での事故から考える~

こんにちは! あたたけ です。

前回まででHACCPをまとめ終わりましたが、
今回は『HACCPが形だけで終わってない?』という話です。

さて、少し前の話ですがこんな話題がありました。


経緯(≒推測される直接的な発生原因)を抜粋しますね。

<経緯> 修正前
 調理指示書において皿うどんの麺を2~3分程度揚げるとしていたが、指示書通りに揚げ、様子を見たところ調理員が揚げ不足と判断し、必要以上(10分程度)揚げたことで固くなってしまい、児童等がこれを喫食し歯が欠けるなどの事故が発生した。
<経緯> 修正後
 麺の連続投入による油の温度低下により、徐々に1回の揚げ時間が長くなってしまった。そこで、喫食時間に間に合わなくなる恐れがあったため、1回の投入量を増やしたことで、結果として10分程度揚げた。そのため麺が固くなってしまい、児童等がこれを喫食し歯が欠けるなどの傷を負った。


個人的には『なぜ経緯が修正されたのか』という経緯が気になりますが、
まぁ、いろいろと事情があるのでしょう。
上の情報だけでも考えさせられる点がありますので、整理してみます。

まず、『調理指示書』には何が記載されていたのか?
『調理』の『指示』の『文書』なので、
調理方法、つまり、加熱条件などの記載があったと推測できます。

修正前の経緯には加熱時間(2~3分程度)の記載があります。
修正後にはこの辺りは削除されていますが、
全く根拠のない文言というわけでもないでしょうから
加熱時間は記載されていたのでしょう。

では、加熱時間以外は何が記載されていたのか?

修正後の経緯には、あたたけ的にだいぶ引っかかる表現が。。。
『麺の連続投入』『油の温度低下』『1回の揚げ時間が長く』・・・

さて、以前もまとめましたが、加熱には複数の要素が関わります。
『一度に入れる食材の量』や『投入前の油の温度(≒余熱)』は
決まっていたのか気になるところですね。

スライド1


さらに、今回の『揚げすぎ』を踏まえれば、
加熱時間の上限』は決まっていたのかも気になるところですね。
(と、エラソーに書いてますが、事が起こってからは好きに言えますね。
 当事者からすれば、先に言えよ!って話です。)

工程中で『増えるハザード』としては、
『細菌の増殖』の他、『アクリルアミド』なんかが言われてましたが、
『過加熱による食材の硬化』も言われるようになるのか?

うーん、もしかしたら今回の事件を例に挙げ、
そんな話をする人も出てくるかもしれませんね。

あたたけ的には、商品価値(味・見た目)の確保という意味での
作業上の限界となる基準値(OL:Operation limit)』を考えれば
良いのかなと思います。
だって、『どれくらいの調理で、人に危害を与える硬さになる』って
はっきり決めることは難しいですからね。
『おいしく食べられる範囲で、これぐらいを目安に』って決めて、
逸脱したら、『モノを確認⇒判断』で充分だと思います。

スライド2


また、『調理指示書』の細かい調理基準はあくまでも目安であって、
『出来上がりを見て判断する』という基準だったかもしれません。

モニタリング対象が
『モノ自体(出来上がりの状態、中心温度など)』なのか
『調理工程(各種の加熱条件)』なのか、それは組織次第なので
どっちが正しいというわけではありません。

ただし『モノ自体のモニタリング』は、
数字を見れば良いというものではありませんので、それなりの
『手間(例:連続的な中心温度測定)』もしくは
『力量(例:食材のブレを踏まえての確実は出来上がり状態の判断)』が
必要だということは忘れてはいけませんね。

スライド3


ちなみに、今回の内容は『起こったこと』からの視点でまとめましたが、
『起こる前、基準を決める段階』の視点では、
『HACCPのCL設定』での注意事項となります。
(原料自体のハザードは少ないと思いますので、
 今回の加熱工程自体はCCPではないかもしれませんが。。。。
 一般飲食店などでの『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』では
 『加熱は全て重要管理』としがちですけどね。)

よろしければCLの記事も見てくださいな。


あくまでも、あたたけの勝手な推測ですが、今回の件は、
『すでにHACCP(の考え方)は取り入れている』のに
起こった事故
ではないのかなと思います。

『過加熱による硬化』はハザードとして想定していなかったとしても
単純にCL(もしくはそれに準ずる基準)で
考えが甘い面があったのではないかなと思います。

まぁ、そこまでは仕方ないとして、
『調理指示書』などの各種ルールや文書を作って満足
とりあえず形が整っているからOK
見直しや改善なんてメンドクサイからしない、
とかになってなかったのか、気になるところです。

これを他人事と思わず
『振り返り確認』『継続的改善』の意識向上に繋げたいものですね。

スライド4

スライド5

それでは、今回はこの辺りで。

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