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しらゆりの恋は

※昨今の猛暑により、
夏のコンテナガーデンにみずみずしいペチュニアやベゴニアなどを植えるのを諦めています。(水やりが大変だしな)

多肉植物(※)は水不足でも日照りでも強いので、もっぱら多肉寄植えコンテナで庭先を飾っています。

(※)一部のグラプトペタルム、パキフィツム、セデベリアなど高温多湿に強い種中心。

本日は、そんな多肉の鉢に、こぼれ種で突如として咲いた二輪のしらゆり写真。

水やりをしていないのに、暑さに負けず健気に花を開く姿は、
私の、百合に対する清楚というイメージを完全に覆しました。

花に赤い筋が入っているので、おそらく台湾原産の帰化植物、タカサゴユリ

繁殖力が強く、こぼれ種で増えるので要注意外来植物らしいですが、美しいものは美しい。
百合は連作を嫌うらしいので、今しか見られないかもしれないレア感もあります。

夏の野の茂みに咲ける
姫百合の知らえぬ恋は苦しきものを

〈現代語訳〉
夏草の茂みにひっそりと咲いている
ひめゆりのように
人知れぬ恋に悩むこの苦しさよ

大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ) 万葉集1500

女性の、切ない片思いに悶える気持ちを素直に詠んだ歌ですね。

ひめゆりは赤が鮮やかな百合ですが、
百合は夏の野にひっそりというよりは強健な性質と目立つ花で、ずいぶんたくましく華やかに思うのですが。いかが思われますか。

派手で鮮やかだからこそ、誰にも気づいてもらえない片恋の切なさが際立つ、といった所でしょうか。

うちギャルでさいつよで陽キャなのに
あの男、地味なあのコ選ぶとかマジありえない〜

という感じでしょうか(華やかでもオツムと性格に問題ありそうだな)

万葉集には、百合を詠んだ歌が十首以上あるのですが、
何となくこの歌の人知れぬ恋と、多肉鉢の略奪愛のギャップがおかしくなったの夏の日でした。


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