いろいろな内発的動機づけ

ずいぶん昔から学校では,内発的な動機づけ(やる気)をもつことが重要だと言われてきました。

内発的動機づけは個人の内部から沸き起こってくる,行動を開始して継続させる要素です。それに対するのが外発的動機づけで,自分の外から与えられる要素によって行動が始まり継続することを指します。

外発と内発の間

以前も記事で書いたことがあるのですが,内発的動機づけと外発的動機づけの間には,いくつかの動機づけがあります。

◎外的動機づけ:報酬や罰による。
(例)「褒められるから」「怒られるから」
◎取り入れ的動機づけ:不安や恥,自己価値による。
(例)「やらないと不安だから」「やらないと恥ずかしいから」「やると安心するから」
◎同一化的動機づけ:重要性や価値観による。
(例)「将来役に立ちうそうだから」「目標を達成するため」
◎内発的動機づけ:活動それ自体が目的。興味・関心による。
(例)「面白いから」「興味があるから」

具体的に考えてみた方がわかりやすいですよね。たとえば,大学受験の勉強をする理由を考えてみましょう。

◎勉強しないと親に怒られるから→外的動機づけ
◎よい大学に入れば皆にすごいと言われるから→取り入れ的動機づけ
◎その大学に入ることで将来目指す職業に近づくから→同一化的動機づけ
◎勉強をして知らないことを知るのは楽しいから→内発的動機づけ

皆さんがいま取り組んでいる行動の理由は,どのようなものでしょうか。

内発的動機づけは1種類ではない

一般的に内発的動機づけは,「面白いからそれをやる」というように解釈されます。しかし実は内発的動機づけには,含まれている要素が一つだけ,というわけではなさそうです。

この内容を考えておくと,内発的動機づけの理解がもう少し深まりそうです。

複数の内発的動機づけ

では,どのような内発的動機づけの種類があるのでしょうか。ヴァラランド(Vallerand, J. R.)たちの枠組みから見てみましょう。

◎理解志向的内発的動機づけ(intrinsic motivation to know)
新しいものごとを知ることや,何かを理解したいと考えることがこの動機づけに相当します。好奇心,探索行動,学習目標の達成,内的な知性に関連します。

◎達成志向内発的動機づけ(intrinsic motivation toward accomplishment)
何かを成し遂げようとしたいと考えることがこの動機づけにあたります。価値のあることについて上達したいと考える,熟達動機づけ(mastery motivation)と呼ばれる動機づけがこれに含まれます。何かに「うまくなる」ということは,自分の価値を高めたり,自信を得たりすることにつながります。

◎刺激志向内発的動機づけ(intrinsic motivation to experience stimulation)
「楽しさ」「美しさ」「楽しさ」「わくわくする」といった,刺激の経験を目的とする動機づけです。知的な刺激を求めて討論に参加したり,ワクワクする感覚を求めて授業に参加したりすることがこの動機づけにつながります。

ひとくちに「内発的動機づけ」といっても,その中身は多面的だということがわかります。つい「面白いから」ということを内発的動機づけと考えてしまうのですが,このように複数の側面を考えれば,内発的動機づけへのアプローチも考えやすくなりそうです。

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Atsushi Oshio

小塩真司。早稲田大学文学学術院教授。専門はパーソナリティ心理学。性格の構造,発達,適応に関心があります。 研究室:http://www.f.waseda.jp/oshio.at/index.html Twitter: https://twitter.com/oshio_at

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