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退屈さの背景にある要因

割引あり

「つまらない」という感覚はネガティブな価値をもち,現在の活動への不満を意味します。退屈だと感じることは,現在の活動が満足のいく物ではないことを思い出させ,何か別のより有意義な活動を模索するように私たちを駆りたてます。¥

退屈さというのはずっと続くものというよりは一過性のものです。しかし,退屈になりやすさという観点からは,一種のパーソナリティのように安定した傾向としても観察されます。


主体性の感覚

退屈さを抱いているときというのは,周囲との効果的な相互作用に失敗していることを意味します。それは,私たちの主体性に対する脅威として感じられると考えられます。

心理学では主体性はエージェンシー(agency)という概念として昔から研究されてきています。退屈さを抱いているときというのは,自らの活動の主体性を感じられていない状態を意味します。主体性の喪失は,自分の活動に対するコントロールの喪失につながるのです。

退屈さの複雑さ

しかし一方で,退屈さもなかなか複雑な様相をもつ概念です。

これまでの研究では,退屈傾向が高い人は自己統制や自己コントロールが低い傾向にあることも示されています。また,退屈傾向が強い人は,運動を重視した行動を取らず,行動を開始するのに苦労する傾向も見られます。いわば自らを起動するのに失敗しがちだということです。

最近の研究では,退屈傾向が強い人はあれこれ考えて反すうしやすいということも報告されています。

どうも,退屈しやすい人というのは,自分自身をコントロールしにくく,何かをするのにも上手くいくだろうという感覚に欠けるようです。

退屈さの背景要因

これらを踏まえて,退屈さの背景にある要因を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Exploring the relationship between boredom proneness and agency)。

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